最近、読書にはまっている。
とはいえ、私の経歴書を見たことがあるなら「さも当然」と思う方がいるかもしれない。なぜなら私は、某大学の文学部日本文学文化学科卒の人間で、卒論が芥川龍之介論という、これまたIT業界とは縁も所縁もない学歴の持ち主だ。
だがもうひとつ、あまり知られていない事実もある。
私は読書は実は苦手な方だ。
どれだけ苦手かというと、大学時代に近現代文学専攻と豪語しておきながら、夏目漱石の「吾輩は猫である」をまだ最後まで読み切れていない。(それでも 2/3 くらいは読んだ) 芥川龍之介が卒論のテーマなのは、単に短編が多いからである。要するに飽きっぽいのだ。
そんな私だが、昨年くらいから突如(?)小説を頻繁に読むようになった気がする。きっかけは「君の名は。」を映画館で観たときからだ。
「君の名は。」は今年の正月にもテレビ放映されていたので多くの方は御覧になったかと思うが、私自身は映画館で観た後にブルーレイディスクも購入し、正直何度も観ている。が、宣伝文句でもあるような「泣かせる作品」とか「感動させる作品」とか、そんな感想は私は抱いていない。(何を持って「感動」というかは定義が曖昧だが)
どちらかというと「非常に良くできた作品」。つまり伏線が多く、一度観ただけでは完全に理解するのはほぼ不可能で、それでいて「何度でも観たい」と思わせる作品力を伴っている。これが私の「君の名は。」という作品の評価だ。
それから新海誠氏の原作小説も複数冊読んだ。(映画に比べ小説は…ここでは触れないことにしておく)
最近主に読んでいるのは、ライトノベル。通称「ラノベ」である。とはいうものの「ラノベ」の定義もこれまた曖昧で、仮に本屋で「小説」と案内された棚に置かれている本でも、出版社が変わるだけで「ライトノベル」と案内された棚に並んでしまいそうなものは山ほどあると思う。結局のところ「ラノベ」という分類で本を売ることは、単にマーケティング手法の一つに過ぎないのかもしれない。
前置きが長くなったが(前置きだったの?)、私は最近昼休みにも読んでる本の正体、それは「冴えない彼女の育て方」というラノベである。
昨年もアニメ化されてご存知な方も多いかと思うが、簡単に内容を説明するとこんな話である。
春の桜が舞う日に美少女と出会い、そんな美少女をメインヒロインにしたゲームを作りたい!…と思った自称オタク高校生だったが、実はその美少女はクラスメイトで、何度も学校の廊下ですれ違っていたはずなのに、顔も名前も覚えていなかったという、そんな「冴えない」ヒロインを理想のメインヒロインに育てていこう!
正直、読み始めた頃はここまでハマるとは全く思っていなかった。なぜなら会話文が多く、情景描写も少なく、文章自体は非常に薄く感じたからだ。確かに芥川龍之介を大学時代に研究していた私にしてみると、小説というよりも漫画に近い感覚だった。
だけど読んでいて「えっ?」と読み返してしまう部分がかなり多かった。たしかに文章は常にハイテンションな内容ではあるが、特に読者をそれほど突き放しているわけでもなく、どこか味わい深い。つまり、絶妙な心理描写がところどころに詰まっているのだ。そこへ漫画のようにスラスラと読み進められるノリの良さも相まって、中毒のようにハマりやすいというのがこの作品の良さなのかもしれない。
そして作品に出てくる美少女たち。金髪ツインテールの幼馴染、黒髪ロングの先輩、いつもべったりな従兄弟、なついてくる妹系キャラ・・・作者の丸戸氏が自ら「王道」と評しているが、飽きのないキャラ設定も作品の魅力の一つだろう。
なお作品自体は、恋愛に鈍感な主人公と、冴えないメインヒロイン、金髪ツインテールの幼馴染、黒髪ロングの先輩の、三角ならぬ四角関係で話は進んでいくのだが、話が進めば進むほど誰が「冴えない」のかわからなくなってくるところも面白い点である。最初はもちろんこのメインヒロインが冴えないはずだったのだが、登場人物それぞれが問題に直面して、その自分が納得できない部分をなんとか理解しようとして、結果的にどこか「冴えない」登場人物に陥ってしまうのだ。よく考えたら人生ってそんなものなのかもしれない。
もうひとつ。アニメ版第2期は「冴えない彼女の育て方♭」というタイトルになっているのだが、この「フラット」の意味がまた秀逸である。
「わたしはフラット……感情表現が適当で、後に引かない、喜んでるのか怒ってるのか哀しんでるのか楽しんでるのかよくわからない女の子。それがわたし、加藤恵」
(「冴えない彼女の育て方」GS3巻より)
そんな魔法の呪文を唱えてる三次元の女の子がもし近くにいたらそれはそれで確かに怖いけど、こういう読者を振り回すメインヒロインというのはなんとも悪どい。が、この作品の「フラット」にはもう一つの意味がある。
1. 「へーそうなんだー」と常にフラットに返事をするヒロイン
2. 主人公のハイテンション「#」に対して、ローテンション「♭」なヒロイン
本来「フラット」の意味は、「真っ平ら」という意味と「半音下げる」という意味の2つがあるはずだ。だがしかし、この作品の「フラット」の解釈はその2つの意味が何故か両立しているのだ。これが狙いすましたものなのか、たまたまそうなったのか、それとも元々この2つの意味は繋がっているのか、どれかはわからない。けれど、これはこれで考える余地ができてしまうのも面白い。
なんて全巻読み進めてたら、とっくに「吾輩は猫である」の文章量を超えそうではある。
何に対してもジャンルにこだわらず、楽しくできればそれでいいのかな?と感じる今日この頃なのであった。(雅)
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横浜に拠点を置くソフトウェア開発・システム開発・
製品開発(monipet)、それに農業も手がけるIT企業
とはいえ、私の経歴書を見たことがあるなら「さも当然」と思う方がいるかもしれない。なぜなら私は、某大学の文学部日本文学文化学科卒の人間で、卒論が芥川龍之介論という、これまたIT業界とは縁も所縁もない学歴の持ち主だ。
だがもうひとつ、あまり知られていない事実もある。
私は読書は実は苦手な方だ。
どれだけ苦手かというと、大学時代に近現代文学専攻と豪語しておきながら、夏目漱石の「吾輩は猫である」をまだ最後まで読み切れていない。(それでも 2/3 くらいは読んだ) 芥川龍之介が卒論のテーマなのは、単に短編が多いからである。要するに飽きっぽいのだ。
そんな私だが、昨年くらいから突如(?)小説を頻繁に読むようになった気がする。きっかけは「君の名は。」を映画館で観たときからだ。
「君の名は。」は今年の正月にもテレビ放映されていたので多くの方は御覧になったかと思うが、私自身は映画館で観た後にブルーレイディスクも購入し、正直何度も観ている。が、宣伝文句でもあるような「泣かせる作品」とか「感動させる作品」とか、そんな感想は私は抱いていない。(何を持って「感動」というかは定義が曖昧だが)
どちらかというと「非常に良くできた作品」。つまり伏線が多く、一度観ただけでは完全に理解するのはほぼ不可能で、それでいて「何度でも観たい」と思わせる作品力を伴っている。これが私の「君の名は。」という作品の評価だ。
それから新海誠氏の原作小説も複数冊読んだ。(映画に比べ小説は…ここでは触れないことにしておく)
最近主に読んでいるのは、ライトノベル。通称「ラノベ」である。とはいうものの「ラノベ」の定義もこれまた曖昧で、仮に本屋で「小説」と案内された棚に置かれている本でも、出版社が変わるだけで「ライトノベル」と案内された棚に並んでしまいそうなものは山ほどあると思う。結局のところ「ラノベ」という分類で本を売ることは、単にマーケティング手法の一つに過ぎないのかもしれない。
前置きが長くなったが(前置きだったの?)、私は最近昼休みにも読んでる本の正体、それは「冴えない彼女の育て方」というラノベである。
昨年もアニメ化されてご存知な方も多いかと思うが、簡単に内容を説明するとこんな話である。
春の桜が舞う日に美少女と出会い、そんな美少女をメインヒロインにしたゲームを作りたい!…と思った自称オタク高校生だったが、実はその美少女はクラスメイトで、何度も学校の廊下ですれ違っていたはずなのに、顔も名前も覚えていなかったという、そんな「冴えない」ヒロインを理想のメインヒロインに育てていこう!
正直、読み始めた頃はここまでハマるとは全く思っていなかった。なぜなら会話文が多く、情景描写も少なく、文章自体は非常に薄く感じたからだ。確かに芥川龍之介を大学時代に研究していた私にしてみると、小説というよりも漫画に近い感覚だった。
だけど読んでいて「えっ?」と読み返してしまう部分がかなり多かった。たしかに文章は常にハイテンションな内容ではあるが、特に読者をそれほど突き放しているわけでもなく、どこか味わい深い。つまり、絶妙な心理描写がところどころに詰まっているのだ。そこへ漫画のようにスラスラと読み進められるノリの良さも相まって、中毒のようにハマりやすいというのがこの作品の良さなのかもしれない。
そして作品に出てくる美少女たち。金髪ツインテールの幼馴染、黒髪ロングの先輩、いつもべったりな従兄弟、なついてくる妹系キャラ・・・作者の丸戸氏が自ら「王道」と評しているが、飽きのないキャラ設定も作品の魅力の一つだろう。
なお作品自体は、恋愛に鈍感な主人公と、冴えないメインヒロイン、金髪ツインテールの幼馴染、黒髪ロングの先輩の、三角ならぬ四角関係で話は進んでいくのだが、話が進めば進むほど誰が「冴えない」のかわからなくなってくるところも面白い点である。最初はもちろんこのメインヒロインが冴えないはずだったのだが、登場人物それぞれが問題に直面して、その自分が納得できない部分をなんとか理解しようとして、結果的にどこか「冴えない」登場人物に陥ってしまうのだ。よく考えたら人生ってそんなものなのかもしれない。
もうひとつ。アニメ版第2期は「冴えない彼女の育て方♭」というタイトルになっているのだが、この「フラット」の意味がまた秀逸である。
「わたしはフラット……感情表現が適当で、後に引かない、喜んでるのか怒ってるのか哀しんでるのか楽しんでるのかよくわからない女の子。それがわたし、加藤恵」
(「冴えない彼女の育て方」GS3巻より)
そんな魔法の呪文を唱えてる三次元の女の子がもし近くにいたらそれはそれで確かに怖いけど、こういう読者を振り回すメインヒロインというのはなんとも悪どい。が、この作品の「フラット」にはもう一つの意味がある。
1. 「へーそうなんだー」と常にフラットに返事をするヒロイン
2. 主人公のハイテンション「#」に対して、ローテンション「♭」なヒロイン
本来「フラット」の意味は、「真っ平ら」という意味と「半音下げる」という意味の2つがあるはずだ。だがしかし、この作品の「フラット」の解釈はその2つの意味が何故か両立しているのだ。これが狙いすましたものなのか、たまたまそうなったのか、それとも元々この2つの意味は繋がっているのか、どれかはわからない。けれど、これはこれで考える余地ができてしまうのも面白い。
なんて全巻読み進めてたら、とっくに「吾輩は猫である」の文章量を超えそうではある。
何に対してもジャンルにこだわらず、楽しくできればそれでいいのかな?と感じる今日この頃なのであった。(雅)
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株式会社ジェイエスピー
横浜に拠点を置くソフトウェア開発・システム開発・
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