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ジェイエスピー社員が綴る日替わりブログ

新・思い出ダイバー 15

2018-02-08 10:00:00 | 日記
母「ゆっくりしてきたら?」

目の前の全てを放り出し、ただ逃避のために祖母の家がある長崎に行ったことがある(かなり前にも記事にしたことがあるが、それって6年半も前だった、という事実に愕然とした)。その時は弟と二人で行ってきた。後から聞いた話では「一人で行かせたら心配だったから」という理由だった。

自分ひとりで抱え込んでしまい、どこにも誰にもそれを見せることができず、ただただ自身に殻を纏いその内部で下を向いていた、ような気がする。そんな状態で暗ーい顔をして帰省してきた息子に対して発した母のセリフが冒頭の「ゆっくりしてきたら?」である。

長崎に行くなんて超絶楽しみだーー!という子供の頃の純粋な気持ちはどこに置いてきたのか、ロマンティック浮かれモードになることなく淡々と荷物をバッグに詰め込むと、長崎までのチケットを鋼の兄のように練成し、本来向かわなければならない場所とは正反対の場所に弟と向かう。飛行機を降り空港を出たその先は、記憶の中にある風景そのままであった。

行くと決めたその日に祖母に連絡をした。明日そっちに行ってもいい?と。非常識も甚だしい。が、祖母は喜んで出迎えてくれた。おばあちゃん、本当にありがとう。

長崎にやってきた目的は「ゆっくりする」だ。でも伯父がちょっかいを出してくる。でもそのちょっかいが嬉しかった。

「もう酒を飲めるな?オレの行きつけに連れてってやる。鳥も酒も美味いから、行くぞ!」と何故か車のキーを握り締めている。それ、どうするんだろう?と疑問に思いながら後ろをついて歩くと、当然のように駐車場で車のエンジンをかける。二人ともそれに乗る。行きつけの店まで15分ほどのドライブだ。行きつけの店の駐車場に車を入れ、二人で暖簾をくぐり店のカウンターに腰を下ろす。うん、鳥と酒が絶品だ。ここで初めて砂肝の刺身というものを食べた。伯父は「砂ずり」って言ってたっけ。一緒に酒を飲む「ゆっくりしにきた」甥っ子を見ながら、早かねー、何て言っていた。伯父は何も聞かない。ただ自分が美味いと信じている店を甥っ子に自慢したい、それだけのように見えた。いや、そう見せていたのだと思う。そして、代行タクシーというものもここで初めて知った。

ある日「よし、いいところに連れて行ってやる」という伯父のセリフに、少しだけそっち(どっち?)の期待をしながら車で向かった先は、爆音モーターが耳をつんざく競艇場だった。私は「モンキーターン」の知識しか無い状態だが、周りの熱気に感化されたのか似非予想屋になりながら舟券も買ってみると、トータルで500円くらいの浮きだったかな?伯父を含めた競艇を嗜む人たちは「※△◆○~~~!(※)」とレーサーを応援しながらレースの行方を見守っていた。帰り際に「(照)のじいさん、つまりオレや(照)の母親の親父な、競艇で「えらい目(※)」にあったことがあるんだぞ」と母親なら絶対に言わないことも教えてくれた。ヤバイ、じいさんヤバイよ。

午前中は高校野球のTV中継を見る。太陽が昇りきる前に祖母と一緒に買い物へ行き、クーラーの効いた部屋でごろごろしながら午後を過ごす。晩ご飯の手伝いをしながらお腹を空かせ、4人で食卓を囲む、という日々が続いた。

弟が「兄ちゃん、オレ、バイトあるから帰るね」と一人で帰ってしまうと、さてどうしたものか。あ、伯母さんの家に遊びに行こう、と早速電話してみる。そこには私から見て姉・兄・妹のいとこがいる。子供の頃はプールに行ったり、犬の散歩に行ったり、川に泳ぎに行ったり、カブトムシを探しに行ったり、爆竹に箱ごと火をつけて怒られたり。夏の過ごし方はここで覚えたといっても過言ではない。

「今日、何をしようか」ということを布団から起きて上がってから考え、その通りに行動したり行動しなかったり、全くストレスを受けない生活を2週間ほど過ごすことができた。祖母、伯父、伯母、いとこたちは特に何かを聞いたりはしない。だが、私が「こんなことがあってね・・・」とポツリポツリ漏らした言葉を掬ってくれた。恐らく距離も関係も近すぎる両親だとこうはいかなかっただろう。

長崎に行くと決めた日から鳴り続けている私の携帯電話。日が経つにつれて鳴る間隔が長くなっていったが、必ず毎日2回は鳴る。

帰路の空港で通話ボタンを押した。

---終わり

※配慮してフワっとした表現でお送りします。


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