goo

面接

 一昨日の夜遅く、息子から電話がかかってきた。
「あのさぁ、履歴書の書き方だけどさ」
息子は自分のアパートの近くのスーパーでアルバイトを始めようとしていると妻から聞いていた。
「資格ってところには何を書けばいいの?英検2級とか書いた方がいいのかな?」
「スーパーのバイトに英検は関係ないだろう。それよりも書道3段とか5段とか書いとけばいいんじゃないの」
「そうかなあ・・。受かった大学の名前を全部書くっていうのはどう思う?」
「はあ?」
「説明書にはなるべくたくさん書いた方がいいって書いてあるから」
「そんなもん関係ないだろ。英検なんて書いたら、外国人が客で来たときに相手させられるぞ。話せるか?」
「そうだね・・。それじゃあ書道にしておくよ。それと、長所は何て書いたらいいと思う?」
「えっ?そんなもの自分で考えて適当に書いときゃいいじゃん。素直な良い子ですとか・・」
「そんなんでいいの?じゃあ、そうしとくよ、ありがとう」
電話を切ってしばし呆然とした。大丈夫か?と心配になった。意味不明なことを言って来るのは相変わらずだ・・。
 
 息子の学部は授業が午後からしかないので、午前中学校に行く前にバイトするつもりらしい。「講義にはちゃんと出てよ」と母親から釘を刺されたら、「朝早く起きれて規則正しい生活ができるようになるからいいと思うよ」と、前向きな返事をしたそうだ。娘が1回生の頃は、朝早くからの講義には起きられずによく欠席したらしいが、息子にはそうした心配はいらないかもしれない。
 
 昨日の午前中にもまた息子から電話があった。今度も私が出たら、
「あのさぁ、今から面接に行くんだけど、どういう恰好をしていったらいいと思う?普通の服でいいのかなぁ」
「スーツでも着ていくつもり?バカじゃないの?学生のバイトなんだから、普段着のまま行けばいいと思うよ。そんなに堅苦しく考えなくてもいいって。ダメだったら他のバイト探せばいいんだし」
「分かった、ありがとう」
まあ、よく分からないことは何でも尋ねて一つ一つ覚えていくことは大切なことだが、ちょっと考えれば分かるだろうと思えるようなことまで聞いてくるから、唖然としてしまう。「もう大学生なんだから」と言いたいけど、息子もそれを察知するのか、私が小言を言う前に電話を切ってしまう。
 息子は今までバイトなどしたことがないから、緊張するのは当然なのかもしれないし、あれこれ心配するのも無理ないのかもしれない。私の塾にもアルバイトをしたいと言ってくる大学生が時々いて、面接することもあるが、やはり誰もが緊張している。そうした初々しい気持ちをいつまでも持ち続けていればいいが、世間ずれしてくると何にでもすぐに慣れてしまい、言葉遣いなどが雑になる。まったく今の若い者は・・などと年寄りくさいことを言いたくはなるが、それが今の若者気質なんだと悟ったような気持ちでいたほうが彼らと接するには何かと便利なような気がする。
 思えば、就職のためにどこかの会社の面接を受けたことが今まで一度もない私のような者が、息子に立派なアドバイスを送れるはずもない。ただ、自分をそのまま出して、それを受け入れてくれるような場所で社会的な見聞を広められるなら、それは大いに意味あることだから、面接がうまく行き採用されたらいいなと思っている。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする