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こんにちは。

 19日、私の弟に男の子が生まれた。双子の父親でもある弟にとっては、3人目の子どもだ。2600gの小ぶりな子だが、母子ともに元気だと、その夜弟から電話がかかってきた。まずは元気がなにより、心から祝福した。双子のときは女の子が2000gで男の子が1600g、ともに生まれてから1ヶ月以上保育器の中ですごしていた。それが今度の子は生まれてすぐに自分の腕で抱けたと、嬉しそうに弟が話した。私も初めて病院で二人を見たときはあまりに小さくて驚いた。これで本当に育つだろうかと心配になったが、順調に大きくなって今ではかなりのやんちゃ振りを発揮している。嬉しいことだ。
 昨日金曜日に赤ちゃんに会いに行った(名前はまだ決まっていない)。弟家族の住むマンション近くの産婦人科病院で弟が通うには便利だが、双子の子ども達の面倒は義妹の実家でみてもらっているそうだ。病室をノックして入っていくと、義妹のベッドのすぐ横にベビーベッドが並べられていて、その中で眠っていた。
「ずっと寝てるんですよ」
と義妹が教えてくれる。写真を撮るときにフラッシュをたいてもまぶしそうにするだけで、目を開けないのだそうだ。その辺りは高校生の頃、家ではずっと寝っぱなしだった弟によく似ているのかもしれない。私の父は一緒について来なかったので、8人目の孫の顔を見せようと思って写真を撮った。


生まれたての赤ちゃんは、日に日に顔が変わっていく。最初は双子の男の子に似ていたのが、だんだん女の子の方に似てきたと義妹は言う。私が見る限りはどちらにも似ているようだし、似ていないようにも見える。結局私たちがいる間ずっと寝ていて一度も目を開けなかったので、どういう顔なのかよく分からなかった。
「目は奥二重で上の男の子に似ています」
と義妹が解説してくれたが、まあ、私の血を引く男なんだから、カッコいいに決まっている・・。
 赤ん坊の手のひらはよくもみじに喩えられるが、触ってみると本当に柔らかい。
「生まれたばかりの赤ちゃんの手ってめちゃくちゃ柔らかいね」
と私が言うと、頭をそっと撫でていた妻が、
「当たり前でしょ、そんなこと」
と私をバカにしたが、赤ちゃんを触るなんて久しぶりだから感触を忘れてしまっていた。耳たぶもプリプリしていて実に気持ちよさそうだ。


これくらいの赤ちゃんを見れば「可愛い!」と溜息をつくことしかできない。人間の始まりはこんなにもいとおしい姿なんだと少しばかり感動した。できればこんな無垢のまま育っていってもらいたいが、そんなに簡単なものじゃない。だが、生まれてきたことを祝福してくれる人間が周りにたくさんいることだけはいつまでも忘れないでいて欲しい。私からのお祝いの印として、次の詩を贈ろう。

  「奈々子へ」 吉野弘
赤い林檎の頬をして 眠っている奈々子
お前のお母さんの頬の赤さは
そっくり 奈々子の頬にいってしまって
ひところのお母さんの つややかな頬は
少し青ざめた

お父さんにも ちょっと酸っぱい思いがふえた
唐突だが 奈々子
お父さんは お前に多くを期待しないだろう

人がほかからの期待に応えようとして
どんなに自分を駄目にしてしまうか
お父さんは はっきり知ってしまったから

お父さんが お前にあげたいものは
健康と 自分を愛する心だ

人が人でなくなるのは 自分を愛することをやめた時だ
自分を愛することをやめる時
人は他人を愛することをやめ 世界を見失ってしまう
自分があるとき 他人があり 世界がある

お父さんにも お母さんにも 酸っぱい苦労がふえた
苦労は 今は お前にあげられない

お前にあげたいものは 香りのよい健康と
かちとるにむずかしく はぐくむにむずかしい
自分を愛する心だ




幸せな人生を歩めるように。

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