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チョーク

 私の塾では、個別指導を行っており、学校や大手予備校のような一斉授業は行っていない。したがって、黒板を使って説明する機会はあまり多くないのだが、教室としての存在感を示すために各教室に黒板は設置してある。あれば工夫次第で指導に幅もできる。例えば、英語の時間には教科書の本文を覚えさせて黒板に書かせるのも有効な勉強法である。個人の能力は様々であるから、一回さっと書いただけで簡単に覚えてしまう生徒もいれば、何度もノートに書き写してやっと覚える生徒もいる。一般的に言えば、社会の用語や英語の単語などは見ているだけでなく、書いて覚えるのが基本だと思う。丸暗記は真の学力を育てないとも言われるが、昔から漢文の素読などで明らかなように、暗記は学習の基礎作りには欠かせないものだ。スポーツで単純な動作を反復練習して基礎を身につけるのと同じように、学習でも基礎事項をしっかり覚えておくことが不可欠だ。特に脳の柔軟な若い頃に、そうした記憶力を高めておくのは、その後の学習に大きな力となる。

 もう塾を始めてかれこれ25年近くなるが、チョークを使って黒板にうまく字を書くことができない。ボールペンで紙の上に書く字でさえ大したものではないから、当然なのかもしれないが、それでも余りに拙すぎる・・。


ポイントのまとめを黒板に書いたものだが、生徒から「何て書いてあるの?」とよく質問される。自分としては丁寧に書いたつもりでも、読みにくくては話にならない。これでも上手くなったほうだと思うが、まだまだ修行不足だ。チョークの持ち方が難しくて、力の入れ加減がよく分からない。力を入れすぎるとキーキーいやな音を立てるし、弱すぎると途切れて点々になってしまう。私が学生の頃でも、素晴らしく上手な字を書く先生もいれば、何を書いているのか判読できない先生もいてノートに写すにも一苦労した記憶がある。字は人となりを映し出すとも言われるが、その伝に従えば私などひどい評価しか与えられないだろう。恥ずかしい限りだ。
 チョークも近年は進化していて、手につきにくい材質の物が売られるようになった。私が現在使っているのは馬印の「DCチョーク」というものだが、このDCが何を意味するのか分からない。成分表示には「炭酸カルシュームを使用」としてある。一方、手につきやすい旧来のチョークは「焼きせっこう製」と表示があるから、製法が違っているのかもしれない。試しにDCチョーク(白)と普通のチョーク(赤)で手につき具合を確かめてみた。

 

差は歴然としている。確かにDCチョークはほとんど手についていない。(赤のDCチョークは売られていない)DCチョークをよく見てみると、表面の下から3分の2辺りまで薄い皮膜が施されている。この皮膜が、チョークの粉が手につくのを防いでいるのだろう。なかなかの工夫だ。当然この違いはしっかり価格に反映されていて、普通のチョークが1本約4.1円であるのに対して、DCチョークは7.3円、2倍近く違う。だが、手につくかどうかだけでなく、書き心地もDCチョークの方が柔らかくて書きやすい。黒板消しで消すのも楽なので、どうしてもDCの方を選んでしまう。このように何か付加価値をつければ、少々高くてもよりよいものを買うという現代の消費者の購買欲を刺激する装置がここにも働いている。

 でももう少しきれいな字が書くようにしなくちゃいけないよなあ。生徒に迷惑・・。

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