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インド式計算

 インドは近年IT産業で目覚しい発展を遂げ、金融関係でも世界的に活躍している、というようなことを取締役にまで出世したマンガ「島耕作」で知った。経済のグローバルな動きにとんと無知な私では、「いつの間にインドが・・」という気がしないでもないが、中国に次ぐ人口と広大な国土を持った国であるから、そうした急速な発展も可能なのだろう。
 などと思ってみたのは、先日書店で「インド式計算」というコーナーを見つけたからだ。何種類もの本が出版されているようだが、その一冊「インド式計算練習帳」(青志社)を手に取ってみた。「日本人の計算方法を根底からひっくり返すオドロキのインド式計算テクニック」と宣伝文句が表紙に踊っている。パラパラめくってみると面白そうだったので買ってみた。
 0を発見したのがインド人であることは、かつて岩波新書で読んだことがある。そうした歴史を振り返ってみれば、インドの数学のレベルが高いのも推測できるが、果たして「インド式計算」とはどういうものなのだろう。
 初級編では、2ケタ同士の足し算・引き算、4ケタ同士の足し算・引き算を「インド式」に計算する方法が紹介されている。しかし、私のように子どもの頃そろばんを習った者にとってはさほど驚くべき方法ではなかった。そろばん塾で暗算の練習をしたことがある者なら、ある程度のケタ数の足し算・引き算は何の苦にもならないはずだ。「インド式計算法」と言っても、分配法則や結合法則を、そうとは意識せずに使っているだけのものに過ぎず、そろばんほどの独創性はない。公文式の算数も基本計算を繰り返し学ぶことで一定の成果はあるようだが、そろばんの力とは比べるべくもない。永六輔らがそろばんの復権をプロパガンダしているように、私も幼少期にそろばんを使った計算力を身につけるべきだと思っている。
 しかし、中・上級編の掛け算になると日本のやり方とは違うユニークな方法で計算している。2ケタ×2ケタを13×28を例にとって試してみる。

  

まず、日本式の筆算と同じような式を書き、下に1本線を加えておく(ここに繰り上がった数を書く)。そして、一の位の数同士の掛け算、3×8=24の4を一の位に書き、2を繰り上げておく。次に十の位の数と一の位の数を斜め同士掛け合わせ(たすき掛け)、1×8=8、3×2=6、それと繰り上がった2を全て加える。8+6+2=16。6を十の位に書き1を繰り上がらせておく。最後に十の位同士の数を掛け合わせ、1×2=2と繰り上がった数1とを足して、2+1=3を百の位に書けば、364という答えが出て計算終了!。慣れるまではちょっと大変だが、何度か練習してみると日本式の筆算よりも早く簡単にできる。
 しかし、この方法は2ケタ同士の掛け算にしか使えない。(ケタ数が増えても応用できなくはないが、やたら煩雑になって面倒くさい)そこで、3ケタ以上の掛け算には次の計算方法がまさに「目から鱗」状態にしてくれる。

  

135×642で試してみる。まず、縦横3マスずつの正方形を書き、各正方形に対角線を同じ方向に1本ずつ引き、その枠外に135と642を写真のように書き並べる。次に、右上の正方形には5×6の答え30を対角線の上と下に書き入れる。左上には1×6の答えを06と対角線の上下に書き込む。このやり方で9個のマス全てを埋める。そして、次には書き込んだ数を斜線に沿って足していく。(2から斜めに2、4から斜めに0+1+7=8、6から斜めに0+2+2+0+2=6、5から斜めに3+8+1+4+0=16、6を書いて1を繰り上げる。3から斜めに、繰り上がりの1も加えて、1+6+0+1=8、1から斜めは0)この足し算の答えを枠外に書き込み、左上から並べた86670が計算の答えとなる。これは何ケタ同士の掛け算にも使えるし、九九と1ケタの足し算だけでできるので、四角を書くのが面倒でなければなかなか優れた計算方法だと思う。
 
 他にもユニークな方法があるかもしれないが、今のところ私の身についたのはここまでだ。
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