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裁判?

裁判官():これからヤモリ三匹(太郎・花子・次郎)に対する暴行の疑いで、被告人・塾長()に対する裁判を開廷いたします。まずは、検察側の証人尋問を行います。
検察官():はい。それでは最初の証人・ヤモリ太郎くんの証人尋問から始めます。太郎くん、あなたが塾長から受けた暴行について証言してください。
ヤモリ太郎():はい。ボクがいつものように夜10時頃、塾の教室の窓に貼り付いてエサの蛾を捕まえようとしていました。すると急に窓が開いて軍手をした塾長の手が伸びてきて、ボクを捕まえました。ボクは驚いてしまって気を失いそうになりましたが、塾長が「やった!捕まえたぞ!」と大声で叫んだものですから、はっと我に返って塾長の方をギロッと睨んでやりました。ボクと目が合った瞬間に塾長は「ギャー!」と奇声を発してボクの体を離したものですから、何とか逃げ出すことができました(気の弱い男です・・)。その際、2階の窓から地面まで落下したので、着地に失敗したボクはしばらく動けませんでした。幸い軽い打撲ですみましたが、あの時の恐怖を今でも忘れられません。なんとか塾長に対して罰を与えてくださいますよう、お願いします。
検察官():塾長の暴挙の一端が明らかにされましたが、まだこれは氷山の一角に過ぎません。次に花子さん、証言を始めてください。
ヤモリ花子():ワタシはあの時のことを思い出すと今でも恐怖で体が震えます。太郎さんが命からがら逃げ出したわずか5分後位だったと思います、ワタシが隣の窓ガラスに止まっていた蛾に狙いを定めていた時に、突然塾長が窓を開け私を捕まえました。2度目なので少し慣れたのか、何のためらいもなくワタシを捕まえました。ワタシは何をされるのか恐ろしくてたまらず、じっと目をつむっていましたが、お腹のあたりに何かが触れるのを感じました。ちょっとくすぐったい気がしてうっすら目を開けてみると、塾長がマジックでワタシのお腹に何か落書きをしているのです。「何するの!」と心の中で叫びましたが、恐ろしくてとても声にはなりません。塾長は何度も上からなぞりながら大きく×印を書きました。これが証拠の写真です。


何の目的があってこんなことをするのか分かりませんが、書き終えると満足そうにワタシを窓の下に戻してくれました。命は助かったとホッとしましたが、油性マジックなので全然消えません。このままでは恥ずかしくてとても出歩けません。ワタシの体をこんなにしてしまった塾長が許せません。厳罰をお願いします。
検察官():本当に無茶なことを・・。怒りがこみ上げてきますが、ここは冷静になって、一番大きな被害に遭われた次郎さん、証言をお願いします。
ヤモリ次郎():ジブンの体を見てください。尻尾が途中で切れております。


言うまでもなく、これも塾長の仕業です。花子さんに×印をつけて、さらに落書きをしたくなったのでしょうか、塾長は窓枠でじっと身を潜めていたジブンを見つけ出して、捕まえようと軍手をはめた手を伸ばしてきました。人間に捕まえられるなんて初めてでしたし、太郎と花子のことも隠れて見ていたので、もう恐ろしくてパニックになってしまいました。思い切り噛み付いてやろうとしましたが、手の動きが早くあっという間に捕まってしまいました。塾長の手の中で、思いっきり体を捻じ曲げて逃げ出そうともがいていたら、ブチッと音がしてジブンの体が急に自由になりました。助かった!と思った瞬間、身体のバランスがうまくとれません。あっと思って後ろを振り返ったら、塾長の軍手にジブンの尻尾が握られていました。「尻尾が切れた!・・・尻尾ってまた生えてくるんだろう?」などと言う塾長の声が聞こえましたが、そんなに簡単なものじゃありません。まだ生えてきてくれないので、このままじゃ動きにくくて蛾を捕まえることもままなりません。いつまで生きていけるか心配です。ジブンをこんな目に合わせた塾長に断罪をお願いします。
裁判官:よろしい、よく分かりました。すぐに判決を下します。この三匹のヤモリに対する暴行により、塾長は・・・。
 

 すみません、天地神明に誓って、もう二度とこんなにひどいことはしませんから是非ともお許しを!!

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