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赤江

 塾が終わって、日曜日の恒例となっている散歩に出掛けた。愛犬タロウを連れての散歩はなかなか骨が折れるが、それなりに楽しい一時であるから、私も妻も楽しみにしている。
 昨日は雨が降っていて、傘をさしての散歩だったため、公園を訪れる人は一人もいず、まさに貸し切り状態だったのは面白かった。いつもなら公園の高台にあるベンチに腰掛けてビールを飲みながらとりとめのない話をして時を過ごすのだが、雨が降ってはそれもかなわず、いつもの場所とは対角線にある屋根付きのベンチに座ることにした。公園の緑も雨で霞みがちで、森閑とした中、雨の音が聞こえるばかりで、妻との会話も声を落としがちになってしまった。
 小一時間もそうしていただろうか、タロウを繋いであった鹿舎の柵に近づいて行ったところ、いつもは舎の中にいてこちらを窺っている鹿の「赤江」の姿が見えない。
「おい、変だぞ」
と妻に声を掛けたら、
「でしょう、さっきから変だなと思っていたけど、まさか・・」
「いないのかな・・」
すると、「赤江」の紹介が書いてある標識にこんな張り紙がしてあるのを見つけた。


 嗚呼!!知らなかった。受験の終わった3月の半ば過ぎから、この散歩を再開したのに、赤江がいないことに何故気付かなかったのだろう。いつだったか、久しぶりに赤江の写真は撮った気がするのだけど、それ以来鹿舎に近づかなかったということなのだろう。それにしても迂闊だった・・。
 調べてみたところ、3月17日に散歩を再開した記事があるから、その時に赤江の写真を撮ったかもしれない。携帯の写真ギャラリーはすぐに削除してしまうから残っていない。だが、ひょっとしたら、このブログにアップロードしてあるかもしれない、と思って探してみたら、あった!!!


 命日から察すると、最期から1週間前の姿・・。思い返せば、妻が「赤江!!赤江!!」と叫んでも、蹲ったまま動かなかったような記憶がある。かなり衰弱していたのかもしれない・・。
 だが、偶々にせよ、彼女の最後の写真を残せたのは運がよかった。帰り際に公園を管理している人に話を聞いたところ、老衰が死因だったそうだ。享年が何歳だったのかははっきりしないようだったが、天寿を全うしたと思いたい。
 成仏しろよ。

 係の人によれば、この後鹿舎は壊されるだろうとのことだったが、それは勿体ない。鹿の害で困っている地域もあるのだから、殺さずに捕獲してこの鹿舎で飼育してはどうだろう。
 市に陳情してみよう。


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