★ クラス会というのはどうも成功者の集まりのような気がして、私は二の足を踏んでしまう。
★ 森村誠一さんの「永遠のマフラー」(角川文庫)から「人生のB・C(ベースキャンプ)」を読んだ。主人公の元に大学のクラス会の案内が届いた。
★ 案内を受け取り、彼は学生時代の甘酸っぱい思い出に浸る。彼には退屈な講義を並んで受けるガールフレンドがいた。容姿端麗にして高級なブランドを身につけている。実は銀座のクラブで働いているという。今では売れっ子作家の仲間入りをした主人公だが、当時はただの貧乏学生。どう考えても釣り合うはずはないのだが、一度だけ結ばれたことがあった。
★ それから20年。期待と不安を胸に彼はクラス会に出席する。同窓生の内には各方面で活躍している人もいれば、行方知れずの人もいる。そして主人公はかつてのあこがれの女性と再会を果たすのだが。
★ 最後は切ない。何も恐れるものの無かった学生時代、まさに人生のベースキャンプを懐かしく思える作品だった。
★ 年月の流れは早すぎる。老いは残酷だね。