★ 法相更迭。陳謝しても心が伝ってこないから火に油を注いだ。辞任ドミノの始まり。この内閣は長くは続くまい。政治がごたついている間に、急速に円高が進んでいる。とはいえ、いったん上がった物価は簡単には下がるまい。果たして誰が得をするか。
★ 政治家といえば、山本周五郎さんの「晩秋」に出てくる進藤主計(かずえ)のような人物はもはやおるまい。
★ 山本周五郎さんの「晩秋」(青空文庫)を読んだ。都留は居候先の主から、ある人物の世話をするよう申し付けられる。その人物とは、藩政の実権を握り、民に負担を強いた人物、進藤主計であった。そしてこの人物こそ、重税政策を批判し切腹に至らしめたられた都留の父の仇であった。
★ 今は主君の代が変わり、主計は政治を私物化したのではないかと詮議されている。
★ 都留は母から譲り受けた懐剣を胸に、本懐を遂げる時を狙っていた。ところが、秘密裏に行われる詮議を小耳にはさみ、また主計という男の生きざまを知る中で、心が揺れ始める。
★ どうやら主計は藩の基礎を築くためにわざと悪役を買って出ていたのようだ。そして藩政の基礎が固まった今、自らの指図で自らを断罪しようとしているのである。
★ 時は晩秋。主計も人生の晩秋を迎え、心残りを一つ一つ消しているようであった。多くの誤解を甘んじて受け入れる私心なき姿に心を打たれる。
☆ 地味な仕事を愚痴っていた大臣。ニュースで大々的に取り上げられるとは皮肉なことだ。