じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

立松和平「蛍の熱」

2024-06-17 14:55:50 | Weblog

★ 今年は梅雨入りが遅れているという。6月は「水無月」ともいう。旧暦とはいえ「水がない月」とはどういうことか。語源は諸説あるようだが、「無」が当てられている「な」は「の」が転じたものだというのが有力だそうだ。「水無月」は「水の月」だという。

★ 京都では氷を模したういろうに小豆を乗せた和菓子が出回る。じめじめした季節にちょっとした清涼感が漂う。

★ さて今日は、立松和平さんの「卵洗い」(講談社文芸文庫)から「蛍の熱」を読んだ。昭和20年代の田園地帯には多くのホタルが夜ごとほのかな光を放っていたそうだ。

★ 「卵洗い」は、父親の実家に住む少年の目で当時の暮らしを描いている。母親は食料品店を営み、卵がヒット商品になっている。父親は近所の農家を訪れては、卵を仕入れてくる。

★ 「蛍の熱」は蛍狩りをし、家に持ち帰った家族の静かな就寝風景が描かれている。エアコンなどなかった時代、今から思うと相当に寝苦しかったであろうが、部屋に設置された蚊帳の中で家族が寄り添って寝ている。

★ 天井の電球を消すと蛍が光を放つ。それは家族の呼吸と息を合わすかのようだという。

★ テレビもスマホもゲーム機もない。素朴な生活の中で、みんな、時には愚痴をこぼしながらも一生懸命に生き、そして死んでいく。一夜光り輝いた蛍が翌朝には色を変えて死んでいる。

★ 無常を感じ、それでも人々は力強く生きている。

☆ 気候不順の折、食あたりに備えて正露丸を買ってきた。小粒の懐かしい丸薬だが、あの独特のニオイが困りものだ。書斎には置けず、寝室に隔離したが、寝具にまでニオイが付きそうで気がかりだ。このニオイが効き目なのだろうがね。

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