じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

長岡弘樹「傍聞き」

2020-02-15 21:50:15 | Weblog
★ 長岡弘樹さんの「傍聞き(かたえぎき)」(双葉文庫)から表題作を読んだ。長岡さんと言えば最近ではドラマにもなった「教場」が有名だが、「傍聞き」はそれに先立って書かれ、2008年日本推理作家協会賞短編部門を受賞した作品だ。

★ 女性刑事、今は娘と二人暮らし。警察官だった夫は犯人の逆恨みにあって殺された。強行犯係に勤める彼女は帰宅時間が遅い。そのせいからか娘との関係が悩みの種。ときどき口をきいてくれなくなる。コミュニケーションの手段は時間のかかる葉書でのやり取りに。

★ 作品中、多くの業界用語が出てくる。傍聞きもその一つ。ターゲットの人物にそれとなく話を聞かすのだ。

★ この傍聞きが巧みに使われていた。娘の葉書の意味もやがて明らかになる。
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検察私物化

2020-02-15 10:47:40 | Weblog
★ 「桜」に次いで、政権の傲慢なやり口が目につく。

★ 高検検事長の定年延長問題、首相は法解釈を変更して断行するようだ。集団的自衛権もそうだが、この政権、都合の良い解釈変更が気になる。新聞紙上でも「検察の私物化」という批判が多くなってきた。

★ まずもってわからないのが、なぜ政府が解釈を変えてまで、高検検事を検事総長に据えようとするかだ。


★ 朝日新聞、山田伸さんの「国会語を勝手に翻訳」と題する風刺画が面白かった。こういうのも首相に言わせれば、「意味のない風刺画だよ」って感じかな。

★ 意味があるのかないのか、最後は国民が判断することになるのだが。
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村上陽一郎「ペスト大流行」

2020-02-14 21:41:25 | Weblog
★ 中国・武漢で猛威を振るう新型コロナウィルス。懸命の封じ込めにもかかわらず、感染は中国全土へ、そして世界へと拡大している。交通機関の発達により多数の人々が世界を駆け巡る時代だ。封じ込めには限界がある。

★ 日本でも全国で発病者が確認されるようになってきた。最初は中国への渡航者や中国からの旅行者と接した人が中心であったが、徐々にそうした経緯を経ずに感染、発病する人が増えているようだ。日本人に免疫のないウィルス。散発する拡大はもはやキャリアーが日本全体に広がっていることを物語る。いつアウトブレイクしてもおかしくない。

★ 小集落や地方都市なら隔離・封鎖もできるが、東京をはじめとする大都市やあるいは分散して拡散したなら、封じ込めは難しい。対外的には鎖国しか方法はなかろう。横浜港に停泊するクルーズ船は未来の縮図なのかも知れない。

★ そんな危機感を感じながら、村上陽一郎さんの「ペスト大流行」(岩波新書)を読んだ。以前読んだことがあるので再読だ。

★ 致死率が50%に迫るペストのヨーロッパでの大流行は14世紀。そしておよそ300年後の17世紀も繰り返された。なぜか250年から300年周期で繰り返すという。

★ 流行の前に異変があるという。気候の変化、干ばつ、寒冷な夏、洪水による農村の疲弊、トビバッタの大発生。大飢饉や火山の噴火も。まだ細菌による感染といった発想のなかった時代である(北里柴三郎たちがペスト菌を発見するのは1894年である)。病因については空気の腐敗や占星術的なめぐり合わせに求められた。神の裁きに恐怖し、あやしい宗教や呪術が流行ったに違いない。病気への不安からかユダヤ人の迫害が起こったという。

★ 今回の新型ウィルスでも感染者数、死亡者数の統計が混乱している。古い時代ならなおさらだ。当時の死者については厳密な数字がない。おおよそ1000万人とも2000万人以上とも言われている。ペストによる社会変動で中世が崩壊したと言われる。

★ 新型コロナウィルスの拡大。ウィルスは人の身体を冒すだけではなく、中国人(あるいはアジア系の人々)への偏見といった心への「感染」、経済的、社会的な打撃を与えている。爆発的な感染力の一方、致死率は2%程度に抑えられている。死者数だけで言うなら季節性インフルエンザの方が深刻だ。

★ アウトブレイク自体は季節の変化や人々の免疫の獲得によって次第に収束していくであろう。と同時にワクチンが開発されるまでは蔓延し、周期的な流行を繰り返すかもしれない。恐れるべきはウィルスの突然変異であり、これは新型インフルエンザも同様だ。人類あるいは生物とウィルスとの長年にわたる戦いはこれからも続くであろうし、その戦いあるいは共存が進化をもたらすのかも知れない。

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槇原ショック

2020-02-13 18:48:41 | Weblog
★ 今日昼のNHKラジオ、パラリンピックが話題で出演者のリクエストで「世界で一つだけの花」が流れていた。

★ それから数時間、この歌をつくった(作詞・作曲)槇原敬之氏が覚せい剤所持で逮捕されたという。彼は以前にも覚せい剤で逮捕され、「二度としない」ということだったのに。

★ 令和に改元されたとき、記者会見で安倍総理がわざわざ引用した曲名だが、思わぬ事態となった。

★ 曲に罪はないけれど、当分は放送が自粛されるだろうね。

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バカヤロー解散

2020-02-12 17:53:00 | Weblog
★ 衆議院予算委員会、辻本議員の質問が終わった直後、安倍総理の「意味のない質問だよ」というつぶやきがマイクに拾われた。

★ 最近お疲れ気味の安倍総理、野党からのネチネチとした追及に遂に業を煮やしたのだろうけれど、この発言は野党の思う壺だ。

★ 意味のない質問だと思っても、無視すれば良いものを同じ土俵でけんかをするあたり、人間らしいというか、まだまだ器が小さいというか。

★ そう言えば、昭和20年代後半、吉田茂総理の「バカヤロー解散」を思い出した。といっても、まだ生まれていなかったから文字で読んだだけ。映画「小説吉田学校」ではほぼ忠実に再現されていた。

★ あの時代の政治家は絵になる。吉田内閣の時は与党内からの造反もあって解散になったんだったかな。

★ 今日の予算委員会で印象的だったのは、ポスト安倍の一人と言われる石破氏がよくテレビに映っていたこと。それにしても目が怖い。北村大臣はいつも通り官僚の文章を読むだけで、加藤厚労大臣や河野防衛大臣と比べると差が歴然。それはともかく、何とか怒らせよう、興奮させようとする野党議員の質問に、今日は冷静な対応で乗り切っていた。 

★ 政治の世界、一寸先は闇という。衆議院解散はオリンピック後というのがおおよその予想だが、もしかすると早まるかも(予算が通った後で解散も)。カギを握るのは新型コロナウィルスかな。
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横山秀夫「赤い名刺」

2020-02-11 20:12:42 | Weblog
★ 横山秀夫さんの「臨場」(光文社文庫)から「赤い名刺」を読んだ。

★ 女性の縊死体が発見される。所轄からの臨場要請に、倉石義男検視官(警視)と調査官心得・一ノ瀬和之警部が現場に向かう。この女性、一ノ瀬とはちょっと訳ありだったが、不倫がバレるのを恐れて口に出せない。自殺として処理しようとしたのだが・・・。

★ 文章の歯切れがいい。倉石検視官はまさに内野聖陽さんだ。「職人気質とやくざな物言い」(12頁)。組織に縛られず「死体」の無念を晴らすためなら上ともぶつかる。魅力的な無頼派だ。

★ テレビドラマが第2シーズンで止まっているのが残念だ。


★ ところで現実世界では、検事総長の人事をめぐり、政府が東京高検検事長の「定年延長」という異例の決定をしたという。元法相夫婦の公選法違反事案やIR汚職など、政治家の不祥事が政権与党に延焼しないように、にらみを利かすためではないか、などといった憶測が飛んでいる。

★ 捜査への介入か。「あ・うん」の呼吸ってやつかな。法とか正義とか守る人達が、それで良いのかな。

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映画「スノーピアサー」

2020-02-11 16:48:40 | Weblog
★ もうひとつポン・ジュノ監督作品。映画「スノーピアサー」(2014年)を観た。

★ 地球温暖化に対処するために散布された冷却材によって地球は雪と氷に覆われた極寒の世界になってしまった。人類はほぼ絶滅。生き残ったのは永久機関で動く「スノーピアサー」という列車に乗った人々だけ。

★ これだけなら現代版「ノアの箱舟」だが、乗り合わせた人々の処遇に大きな差があった。前方車両には上流階級が、後方車両には下層階級、中でも最後尾は共喰いさえせざるをえないような過酷な環境下に置かれていた。

★ 最後尾の乗客、カーティスは貧困階層の人々と共に革命を企てる。凄惨なバトルの末、遂に最前列に到達したのだが・・・。


★ 列車という閉鎖された空間での生活が18年。もはや列車そのものが「神」のような聖なる存在となっている。首相という女性の演説、それは「予定説」のようだ。救われるべき人は最初から決まっている。人はその運命を受け入れ持ち場で生きるしかないと。支配階級にとっては実に都合の良い理屈だ。

★ 自給自足型の「スノーピアサー」は地球の縮図ともいえる。大切なのはバランスだという。生態系を壊さないバランス。しばしば起こる反乱、戦乱、革命も人口調整のためだという。何となく納得させられるから恐ろしい。

★ カーティス役はクリス・エヴァンス、拘束されている列車のエンジニア・ミンス役にソン・ガンホ。この映画のソン・ガンホは「20世紀少年」の豊川悦司さんのようだ(ソン・ガンホは作品によって蛭子さんのように感じる時もあるが)。ミンスの娘役にはコ・アソン。「グエムル」でも印象的な演技だったが、更に芸に磨きがかかったようだ。

★ 地球の人口100億人時代。戦争や疫病や飢饉も人口調節の営みなのだろうか。
 
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映画「グエムル」

2020-02-11 01:57:51 | Weblog
★ 「パラサイト」のアカデミー賞受賞を記念して、同じくポン・ジュノ監督による「グエルム 漢江の怪物」(2006年)を観た。

★ アメリカの研究施設だろうか、そこから多量の毒物が廃棄される。毒は漢江に流れ込み、突然変異した怪物が人々を襲う。

★ まるで昼行燈。仕事に精を出すわけではない、家業の雑貨店(海の家のような感じ)の店番をしては居眠り、釣銭を誤魔化してはへそくりを貯める。そんな男の娘が怪物にさらわれた。男は娘を救うために怪物と戦うことに。

★ 家族の絆が印象的だった。軍や政府に対する社会批判を表立ってするのではなく、家族の戦いを通してさりげなく訴えかけてくる。

★ 政府(いやアメリカ軍)は、怪物がウィルスをまき散らしているとして、危険区域を封鎖(防護服に身を包んだ人々。この光景は最近よく見かける)。男とその家族は保菌者として追われる。やがてウィルス殺傷を名目に謎のガスが散布される(ベトナム戦争の枯葉剤のように)。

★ 一件落着し、アメリカ軍は「ウィルスはなかった。誤情報だった」と発表するのだが、何か不都合な真実を隠蔽しているような後味を残す。

★ ビキニ環礁での水爆実験がゴジラを生んだ。怪物は人の心の闇の具現化なのかも知れない。

★ 単純な怪物映画だと思ってみたが、怪物は何かの象徴で、暗にアメリカへの批判が込められているように感じた。
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映画「モダンボーイ」

2020-02-10 14:59:55 | Weblog
★ アメリカのアカデミー賞は韓国映画の「パラサイト」が受賞した。機会があれば観てみたい。そう言えば「万引き家族」もまだ観ていないなぁ。どちらも世知辛い世相を反映した映画のようだ。

★ 今日は、韓国映画「モダンボーイ」(2008年)を観た。日本人としては少々心に痛みを感じる映画だった。

★ 舞台は日本統治下の韓国。朝鮮総督府に勤めるエリート官僚が、あるダンサーに一目惚れ。彼の友人である日本人の検事の計らいで、二人は顔見知りになるのだが、彼女には裏の顔があった。

★ 日中戦争が始まりいよいよ戦火の足音が聞かれる時代。朝鮮独立に向けて抵抗運動も激しくなる頃の話。

★ シリアスなようでコミカル。日本(日本人)を悪者扱いすると思いきやそれ一辺倒でもない。旭日旗があふれんばかりに映し出され、君が代さえ流れる。ベースは愛の物語なのだけれど。いずれにせよセットがすごい。

★ 奇妙な気分は、「それでも夜は明ける」(2013年)を白人が見るような感じかな。
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私立高校入試

2020-02-10 03:13:25 | Weblog
★ 1年はあっという間だ。今日2月10日は京都(京阪神)の私立高校入試だ。この1年間、よく戦った。

★ 今年の私立高校志願者数は例年通り。少子化(中学卒業者数の減少分)の影響は公立高校の方が多そうだ。私立は募集が死活問題だから,営業を頑張られている。

★ 京都の志願者数トップは今年も大谷高校。第2位の京都橘の2倍、3000人を超えている。うちの塾生も3人が公立高校の滑り止め(併願)で受ける。

★ 京都橘、花園、京都学園が1500人台で続く。京都学園はここ数年大きく志願者を減らしていたから、今年は復活だ。

★ 続いて、福知山成美、京都文教が1200人台。安定と言うところだ。しかし、この「安定」を維持するための営業活動には涙ぐましいものがある。

★ 京都廣学館、京都明徳、京都成章、ここまでが1000人台だ。京都廣学館、かつて(南京都学園時代)は吊革にぶら下がって遊んでいたり、大挙して電車に乗っていると近寄りがたい雰囲気の生徒が多かったが、最近はレベルアップが目覚ましい。先生方の努力の成果だね。

★ 昨年、志願者が激減した京都産業大学附属は約200人増やして元の900人台に戻した。一方、昨年約300人増やして1000人台に乗せた龍谷大学附属、今年は100人減らして900人台に。関西では関関同立に次ぐ産近佛龍。ライバル校の競争はこれからも続きそうだ。

★ かつて瀕死状態だった女子高も最近は復活。校舎をきれいにしたり、進学先を開発したり、新しいコースをつくったり、経営努力が実っている。努力を怠る(あるいは制度や慣行でがんじがらめで改革できない)公立高校はますます没落しそうだ。統廃合も現実味を帯びてきた。

★ それはともかく、生徒たちには頑張って力を発揮してほしいものだ。

★ 2月17日、18日には公立高校前期、3月6日には公立高校中期の入試がある。
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