平成19(ワ)8449,14328
先願たる地位の確認について、確認の訴えを否定しました。
また、マウス抗体に関する発明の技術的特殊性を考慮して、各発明者の貢献割合を認定しています。 . . . 本文を読む
今回は、最高裁と世論との関係について書きます。
同書の142ページ以下に、最高裁が、行政処分の取消しを積極的に認容した東京地裁の判決(裁判長の名前から藤山判決とよばれる)についてどのように対応したかが記載されています。
その中の一つが、林試の森公園事件です。これは、林試の森公園の拡張に関して、隣に官舎があるにもかかわらず、これを温存して民有地を収用した行政処分の違法性が争いになった事件です。
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前回は滝井元判事が「妥当な結果は何かから考える」という見解をお持ちであることに触れました。本書によれば、北川元判事(裁判官出身)も講演で「妥当な結論が大事。結論が間違っていたら三文の値打ちもない」と述べていたそうです。
現在の最高裁判事の考え方はわかりませんが、仮に、「結果の妥当性」を重視する方が多数を占めているとすれば、ロクラク、まねきTVともに、TV局側勝訴の結論が妥当と考えているとの推測が . . . 本文を読む
今回は、服部先生の「支配管理型の特許侵害について」について書きます。
同論文は、サービス提供事業者が発明の構成要件該当性の一部に該当する行為を行い、ユーザーが残りの構成要件を該当する行為を行っている場合についてサービス提供事業者に特許侵害が肯定されるか否かについてを論じています。最近話題のロクラク、まねきTV事件と同一構造のサービスについて、特許権侵害の観点から検討を加えるものであり、時宜を得た . . . 本文を読む
平成18(ワ)474:市川裁判長
請求認容
特許権者がバンダイ、被告がエポックです。対象特許は、カプセル販売装置に関するものです。街でよく見かけるガチャポンですね。
以下、対象特許の請求項1にかかる発明(以下「本件発明」)に絞って解説します。
本件発明の課題は、収納ケース内の物品を取り換える際の面倒であり、解決手段は収納ケース自体を取り換えることを可能とする構造の採用です。
直感的には進 . . . 本文を読む
コンビニ買ったので、全く期待していませんでしたが、予想を遙かに超えた面白さでした。さすが「このミス」大賞受賞作です。
トリックの斬新さには賛否両論ありそうですが、音楽青春小説として読ませます。
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平成20(行ケ)10290
請求棄却
進歩性を否定した審決を維持したものです。
本判決は、本願発明及び引用発明の認定に際し、明細書の記載を参照しつつ、詳細な認定を行っている点に特徴があります。容易想到性については、熱接着を加圧により行うことは、当業者に自明であるとしています。
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著作権の制限規定の解釈に関して、政策形成過程にも目配りをし、司法の役割という観点から論じられています。
賛否については保留しますが、19ページに言及されている「写真で見る首里城事件判決」(那覇地裁判決平成20.9.24)は重要です。同判決は、損害の軽微さと関係特殊的投資(埋没費用)を理由として、損害賠償を認めつつ、差止請求を否定したものです。
まねきTV/ロクラクのケースは格別、いわゆる代行サ . . . 本文を読む
本論文は、職務発明制度について、使用者・従業者間の取引と考える「契約アプローチ」と国家が政策的に置いた装置であると捉える「制度アプローチ」との二つの理論枠組みがあるとされ、両アプローチからの各論点における帰結が検討されています。
僕は、職務発明制度は、産業の発達という特許法の目的を実現するために使用者・従業員間の調整を図った制度と理解しますので、「制度アプローチ」を支持します。 . . . 本文を読む
まず、使用者が職務発明を自己実施している場合の「使用者が受けるべき利益の額」の算定方法に関する裁判例を適切にまとめておられます。本論文を参考にして多数の裁判例のルールを僕なりにまとめると以下のとおりです。
①使用者が職務発明を自己実施している場合、使用者には通常実施権が存在することに鑑み、売上高のうち、独占権がもたらした「超過売上高」をベースに利益を算定する。
②超過売上高に利益率を乗じて利益 . . . 本文を読む
平成22(行ケ)10055
請求棄却
容易想到性を理由とする拒絶査定不服審判請求不成立審決を支持したものです。
引用発明に周知技術を適用してコラーゲンを魚由来とすることは容易想到であると判断しています。その理由との一つとして、BSE問題が騒がれていたことから、畜肉由来のコラーゲンに代えて魚由来のコラーゲンを使用する動機づけがあるとしていますが、「BSE問題が騒がれていた」という事実がなかった . . . 本文を読む
原判決破棄、差し戻しの判決です。
先日のまねきTV最高裁判決が全員一致であったことに続き、本件も全員一致です。
本判決は、複製の主体の認定に関して、「複製の対象、方法、複製への関与の内容、程度等の諸要素を考慮」すると述べた上で、本件について、「サービス提供者は、単に複製を容易にするための環境を整備しているにとどまらず、その管理、支配下において、放送を受信して複製機器に対して放送番組に係る情報を . . . 本文を読む
平成20(行ケ)10096号
容易想到性を肯定した審決を取り消した裁判例の論評です。
同論評は、動機付けに関して、「「課題」に関して言えば、発明者が認識した課題に拘泥することなく、本願発明の課題とは別の課題でも論理付けが可能であることを説示する判例は数多くあり、また、審査基準でもその旨の記載が存在する」と述べていますが、賛成です。本願発明の課題と異なる課題を解決するためであっても、本願発明(特 . . . 本文を読む
Juristの特集「揺るぎない知的財産立国を目指して」の巻頭論文です。必読ですね。
「はじめに」の部分で、知的財産制度は「イノベーション促進の脇役であるという点を忘れてはならない」とあります。これは重要な点です。また、イノベーション促進のカギは「自由」であるところ、知的財産制度は「情報の独占」を認める制度なので、一定の弊害(「独占による弊害」)があることも重要です。もとより、このことは、知的財産 . . . 本文を読む
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