少し前にがん治療最前線のようなことを載せましたが、今日は末期がん患者
の在り方について、昨夜のNHKスペシャルで緩和ケアーに取り組む医師の姿と
患者を取り上げてみました。
私は姉も、二人の従兄弟もがんで病院での死となりました。ですからがんと
なると他人事でなく、身近に感じてしまいます。
今回は横浜市でホスピスに勤めていた医師が、様々な死と向き合い 、
終末期がんの患者をいかに苦しみを取り除き、家族の中で穏やかな死を
迎えることをと、訪問治療に取り組んだのです。
70余名と言う患者(診療所から30分範囲)を受け持ち、看護師などの
スタッフとの連携でした。患者の家を訪ねる度に先ず30分ぐらいは患者の
気持ちを聞き、「何を願っているのか」(死期を悟っている患者にも願いはある)
患者、家族、との納得の治療をしていました。
その中で特に気になった患者(末期胃がん余命1月)で32歳と言う青年がい
ました。父母はどうしても延命措置を(抗がん剤や放射線治療など)と、願った
のですが、本人は、自分らしく生きたいことを頑固に貫きました。
おしゃれな青年でしたから、医者が訪問するたびに、すばらしくおしゃれ
(似合っていました)をして迎え、副作用で髪が抜けることもなく、3か月後に
亡くなりました。人間としての誇りでしょうか。
高齢で乳がんの方もご主人に迷惑を掛けるから、「自殺したい」と訴えて
いま したが、ヘルパーによる訪問風呂できれいになり、明るさが戻りました。
診療所のカレンダーの日付けの下に書かれた名前に「旅立ち」と記されて
たのが印象的でした。亡くなった後も訪れ、家族の方の話を聞いていました。
末期がんを家で迎えられることは患者にとってうれしいですが、現実は高齢者
だけの家族だったり、子どもたちも仕事を持っていたりで、どこまで家で見ら
れるか問題もあります。また件(くだん)のような医師も地方では見つけられま
せん。
最近の医療政策は、病院とて長く置いてはくれないのです.ある程度までは
診ても長く罹るようだと家へ帰されます。高齢者の場合は、病院から、老健
施設へのたらい回しが現実です。
末期がん患者へ理想的なケアーの一つでした。