夕映えに

陽が落ちるまで輝きたい、くさぐさの記録(日々の出来事、読書、スポーツ、友だち)

BS 映画「楢山節考」(昭和33年作品)を観る。   ー姥捨て現代考ー

2011-11-29 19:28:01 | Weblog

  日曜日の夜、山田洋次が選ぶ映画家族編50選での放映でした。
 「楢山節考」は信州に伝わる姥捨て伝説(実際にもあったとされるが)を元に
 深沢七郎氏によって書かれた本が原作です。当時本は読んでいます。

  映画は「二十四の瞳」で有名な木下恵介監督で田中絹代と高橋貞二主演
 の映画です。後年他の 監督でも制作されていますが・・・・

    映画はロケでなく全てセット
田舎の民家はもとより楢山への山の中の様
 子、木々、山道のうねり、川の流れ、そして、からすまで飛ばすと言う、50数
 年も前でまさにセットだけでもかなりの制作費を駆使して作られたのです。

  また音楽は全て太棹(三味線)を使っての浄瑠璃語りです。まさに歌舞伎
 の舞台を見ているような錯覚さえ起こしました。
     

  もちろん中味は信州の寒村で70歳になると、食減らしの為に楢山まいり
 に出るのです。楢山とは姥捨のことで。田中絹代さん演じるおりんは楢山へ
 へと、息子辰平に背負われて行きます。
  
おりんの歯は子供たちの唄にうたわれるほど立派で歯が丈夫だというこ
 とは、食糧の乏しい村の年寄りとしては恥かしいことでした。おりんは 自分
 の歯を石臼にぶつけて欠いたのでした。
田中絹代さ
んはこのために自分の
 前歯を3本抜いて演じたそう。(後ほどの話でこの映画の為なら全部でも抜く
 と言うすごい女優さんでした。)

  現代では考えられない事実として行なわれた楢山まいりでした。しかし
 
衣食住足りている今の世の中でも身体の弱った両親は施設へと送られ、
 本人も周りもこれを良しとする風潮です。施設では食物は与えられ、飢え
 や寒さもしのげ楢山のようにカラスの餌食にはならないですが・・・・・・
     
  
厄介払いの高齢者はわが子の手によって殺害されることも巷にあり、
 姥捨てとどこかでつながるような気がしました。