この日曜日は、絶好の運動会日和となりました。
丘の上にある小学校は、そう広くない運動場の割に児童がどんどん増え続け、家族総出の応援には座る場所の確保も難しい程、人・人・人であふれかえっていました。
昼食時には、体育館や校舎の一部が解放されるものの、演技・競技中は、立ち見で通り道すらなくなってしまいそうなぐらいぎゅうぎゅう詰めの感じです。
それでも、息子を含む子ども達の成長ぶりに感動した、良い一日となりました。
特に、息子は3日前から風邪をひいてしまい、参加できるだろうかとハラハラさせられたりして、私自身も、腰や股関節の調子に一喜一憂しながら、ようやくこの日を迎えることができたので、小学校の門をくぐるなりホッとするありさまでした。
毎年、運動会に持っていく大切なもの。
それは、応援の気持ちをいっぱい詰め込んだお弁当と、父のカメラ。
父は、脳炎を発症し、高次脳機能障害を持つようになりました。
その父が、孫である息子の運動会での様子を撮影するんだと、リハビリを重ね、忘れてしまったカメラの使い方を何度も何度も練習し、麻痺の残る手で、幼稚園最後の運動会での息子の勇姿を撮ってくれました。
父が息子の運動会を見に来てくれたのは、そのたった一度きり。
翌年、父は亡くなりました。
カメラが趣味だった父と違って、私は全くの素人で、機械が苦手。
説明書を読むのも気力が続かなくて、もったいないけど宝の持ち腐れです。
おまけにやたらと大きくて重いカメラなので、旅行などには持って行く気になれません。
それでも、運動会だけは、このカメラで撮りたいと思いました。
私には重いだけで、全然機能も使いこなせてはいないのだけれど、カメラを構えてファインダー越しに息子を見るとき、父もまた一緒に見ているような気がするのです。
だから、来年も再来年も、息子が小学校を卒業するまでの間はずっと、このカメラを持って、息子の運動会の応援に行きたいと思っています。
さて、息子が楽しみにしていた80メートル走。
残念ながら、結果は最下位でした。
練習と本番と、みんなの本気度が違ったかもしれません。
でも、いつもまじめで一生懸命な君のことを、母は誇りに思っています。