発達障害を持つ方の就労がなぜ難しいのか・・・?
成人当事者への聞き取りでは、
「職場での対人関係がうまくいかない。だんだんと気まずい雰囲気になってきて、結局はやめざるをえなくなってしまう。」
という方が多いそうです。
たしかに、中には周囲から追い込まれ、退職を余儀なくされた人もいるが、案外、自分から辞めてしまう人が多いのだそうです。職場環境に耐えられない脆弱性=発達障害者の自滅傾向
これは、発達障害の特性に根ざした根本的な気質が根底にあり、「気の持ちよう」などの精神論や本人の努力だけでは、乗り越えることは難しいようです。
自閉症ゆえの困難とは、社会性・コミュニケーション・想像性の3つの困難と言われていますが、
就労場面で困難となっていることを具体的にあげてみると、
・自分の適性を正しく把握しにくい
・仕事のスケジュールを組んだり、優先順位を決めるのが苦手
・頼まれた仕事を断るべきか、優先すべきか判断できない
↓
職場で、混乱したり無理をすることになりやすい
・真面目だが、ズルさに欠ける仕事ぶり(手を抜くところがわからない)
・生真面目で熱心だが、周りと歩調が合わない
↓
同僚や上司との対人関係に支障をきたしやすい
・誰もが簡単に出来ることでも、どうしようもない苦手があったりする
・得意と苦手の差が極端
↓
サボリやより好みしているとの誤解を受けがち
・自分で疲れを把握できず、過集中と冬眠状態(動けない状態)を繰り返す
・忙しくなったり急かされたりすると、不安が高まり混乱する
↓
精神不安や体調不良を起こしやすい
職場には、混乱の元である「不安」の種がいっぱいあります。
当事者のとって、「不安」は、能力を減少させるだけでなく、自閉的で頑なな気質が強くなってしまいます。
その気質とは、たとえば、
・いつもの習慣やいつもの環境へのこだわり
・状況に合わせて自分を切り替えることができない
・自分の感情や思いとのズレ・葛藤
・ゼロ百的な極端な思考
・柔軟に対応しきれない頑なさ
などがあげられます。
不安から能力が目減りし、ミスが増える上、頑なな言動が増える
周囲との関係がこじれると、孤立し、助けを求めることが出来ない
周囲の視線がどんどん厳しくなり、不安からさらにミスをする
「もうここには居場所がない」と辞めることになる
こうした自滅傾向こそ、安定就労を阻んでしまうのだそうです。
では、ここで、職場で求められているものを考えると
・自分で時間管理をし、例えば営業なら、どこを回るか自分で決めなければならない
計画性と、自由行動
・目標を与えられると、手順・方法などを自分で決めなければならない
目標設定と状況把握・優先順位判断
・成果を求めればよいというわけではない複雑さ
・曖昧なルールの中で状況に合わせ、複雑な判断を求められる
広い視野と高度な判断
どれも、働く上で必要なスキルですが、「想像性の困難」を持つ当事者にはハードルが高すぎて、自力で越えることは容易ではありません。
だからこそ、身に付けたいスキルが、
・困り事を伝える力
・周囲を見回し真似る力
・質問をする力
・情報や助言をもらう味方を見付ける
・身の回りの片付け・持ち物管理
だそうです。
私達にとっても必要なスキルであり、実際、意識せずとも使っていて、これなくして仕事はできません。
働いている高機能自閉症の人達は、こういう力を身に付けた人が多く、安定就労を目指す就労支援でも、まず、こういうスキルを学ぶそうです。
それ+「ある程度、確固たる自分」を見つけるための心理支援を行っているそうです。
やっと目指すものを書くことが出来ました。
私なりの考えを入れ、ややこしい書き方で申し訳ありません。
長くなりますので、また、次に続きます。