「WONDER ワンダー」
R・J・パラシオ 作 中井はるの 訳
今年の小学校高学年の部の課題図書で、夏休みに入ると予約待ちでなかなか借りられなくなるため、早々に図書館から借りてきました。
ところが、息子は全く興味を示しません。
421ページ。読書があまり好きではない息子には、気も萎える分厚さです。
ならば、少し読み聞かせてみようと思い、2晩読み続けたものの、聞くのが辛そうに思えて諦めました。
代わりに、私がこの児童書を一気に読んでしまいました。
何度も涙が溢れ、息子にこそ読んでほしい本だと思いました。
主人公のオギー(オーガスト)は、息子と同じ10歳です。
どこにでもいる普通の少年なのですが、「顔」だけが色々な問題があって、生まれてから27回の手術を受けた後も、一目見るなり驚かれ、不気味がられてしまいます。
そんな彼が、初めて学校へ通うことになって・・・。
自分自身ではどうしようもない「顔」のせいで、人から驚かれ、蔑まれ、疎まれ・・・どれだけ傷付き、苦しんだことでしょう。
障害や差異に対する、驚愕、戸惑い、嫌悪。。。
オギーは、親友だと思っていた友人が、先生に頼まれたために仕方なく自分の傍にいたことを聞き、ショックを受けます。
この本は、オギーだけでなく、彼の姉や友達など彼を取り巻く人々の視点からも書かれていて、彼らの葛藤を知ることで、より深く状況を考えることが出来ます。
オギーを排除しようとする人がいる一方で、彼を一途に愛し守ろうとする両親や、戸惑いながらも弟を大切に思う姉、自分が仲間外れになってもオギーと友達でいることを選んだ少年、その他にも、彼を温かく見守る人達が存在します。
「いつどこにでも意地悪な人っているのよ。だけど、ママが信じてるのは、それからパパも信じているのは、この地球上には、悪い人よりもいい人のほうが多いってこと。いい人たちが、おたがいに見守ったり助け合ったりしているの」
これは、オギーの母親の言葉です。
人に顔を見られることを嫌い、人前で顔を隠してばかりいたオギーが、家族の愛情や友達との友情、それに、先生達にも支えられ、周りの人達の協力を得ながら大きく成長していきます。
そして、そんなオギーの存在がまた、多くの人の心を変えていくのでした。
5年生の修了式で、オギーは、そのままの自分でいることで、多くの心を動かしたと、その勇気と功績を讃えられ表彰されました。
母親がオギーに伝えた「ありがとう」
「オギーがママたちの人生にくれた、すべてのものに。うちの家族に生まれてきてくれて、ありがとう。そのままのあなたに、ありがとう」
私にとっては、息子、〇〇こそ「WONDER」です。