英語と書評 de 海馬之玄関

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英文読解 one パラ道場:極秘指令「マグナカルタの全貌を公開せよ!」

2023年08月06日 08時08分45秒 | 英文読解 one パラ道場

↗️画像はウェブ検索からお借りしています

 

*10年前の平成の御代に書いたこの記事。わたしたち的にはどうということもない「娘」なのですが

(↖ネグレクト❗ 児童相談所に通報される?)、――だって、拠点のデボンシャーネタと違うし――、

姉妹ブログで、ここ数日、毎日、三桁のアクセスをいただいている。ということで、

口下手な渡辺麻友さん的なこの「48グループ」随一の孝行娘、本家記事も再掲させていただきます。

どうぞ、ご贔屓に。

 

・イギリス英語の入門書紹介――役に立つのにお洒落で楽しい「イギリス英語」の招待状のようなもの

 https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/2387050ede4ca0a2947e1c5783157128

 

・英文読解 one パラ道場:AKB48 渡辺麻友の最後の総選挙2017スピーチ

 https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/c55e09a9c257656371d48e182ff95c2b 

 

 



 

2013-03-15 15:28:19


日本にカルタが伝来したのは16世紀の後半。種子島に鉄砲が持ち込まれたのと同時代に(1543年)、ポルトガル船によってもたらされた。ちなみに カルタの語源は ポルトガル語の Carta 。この輸入カルタをベースに日本でも「天正カルタ」と呼ばれるものが作られた。作ったのは 筑後の三池(現在の福岡県大牟田市)の職人たちで、その一人“貞次”の作品が 一枚だけ現在も兵庫県に現存している。当時の文献などからも「三池の歌留多」として 全国的に名を知られていたことが知られ、このことから 大牟田市は「国産カルタの発祥の地」であるとされる。

(大牟田市・三池カルタ記念館の案内より抜粋)



今回紹介するのは「マグナカルタ」を巡るニュース。
ちょうど1年前の「オールドニュース」です。

ところで、日本で謂われる「マグナカルタ」(1215年)が制定されたのは、日本でも、正しい法(regular law)の、時代にあわせた再確認という位置づけがそれと通底する「御成敗式目」(1232年)が制定されたのと同じ頃。また、ラテン語の「マグナカルタ:Magna Carta」の英語訳は「Magna Carta Libertatum:the Great Charter of the Liberties of England」 ですが、「Carta」も「Charter」もその語源は、英語の「カード:card」(紙・板状の紙)を意味するラテン語系の言葉。日本語のお正月の「カルタ遊び」の「歌留多・カルタ」もポルトガル語を経由して日本語に入った同語源の言葉です。

まずは、紹介する英文を妙訳した日本語の報道。TOEICにせよ、実務翻訳にせよ、英語力や日本語力の前にそのテクストの内容をどれだけ知っているかが、テクスト理解については大きいですから(笑)


▽「マグナカルタ」の謎解明へ、制定800年に向けプロジェクト

英イースト・アングリア大学に拠点を置く研究チームは22日、現代民主主義の礎とされるマグナカルタ(大憲章)が2015年で制定800年を迎えるのを前に、調査プロジェクトを開始すると発表した。

調査には91万ポンド(約1億2000万円)が投じられ、3年かけて英国やフランス、アイルランドにある300カ所以上の公文書保管所から、マグナカルタの起草者や文案の着想などを探り、現代社会における重要性を検証する。

研究チームを率いる歴史家のニコラス・ビンセント教授は「マグナカルタはあまりに有名なので、すでに研究がなされているものと思われていたが、実際には1914年以降、きちんとした研究は行われていなかった」とし、これまでばらばらだった資料を一つに集めたいと語った。研究結果はインターネット上でデータベース化されるほか、マグナカルタ制定800年を記念して2015年にロンドンの大英図書館で行われる展示の資料とされる。

マグナカルタは、当時のジョン王の権限を限定し、英国民の権利を定めたもので、貴族の反乱を受けて同王が1215年に署名し制定された。英国憲法に定められている自由の基盤になっているほか、米国憲法や独立宣言の土台とされている。


(ロイター・2012年3月23日


ちなみに、上に「日本で謂われる「マグナカルタ」(1215年)が制定されたのは」と記したのは、実は、史上有名なこの最初のマグナカルタ(1215年)は、その制定の僅か9週後、ジョン王の懇請を容れた教皇インノケンティウス3世が、国王は神と教会以外との約束に縛られるものではないとしてその廃棄を命じたことにより無効になりました。而して、「マグナカルタ」と呼ばれる国王が貴族達に対してなした約束というか誓約を記した文章は(普通名詞の「マグナカルタ」?)は、実は、その後もほぼ毎年と言ってよいくらいの頻度で60回近く更新され、よって、現在も英国の実定法である版の「マブナカルタ」は、1225年版のものが英国の制定法記録簿である「諸憲章確認の法律:statute of confirmatio Cartarum」(1297年)に記入されて現在に至っているものです。

重要なことは、英国でも「マグナカルタ」(1215年~1225年~1297年)は長らくほとんど忘れられていた存在だったこと。現在、しかし、それが「米国憲法や独立宣言の土台」とさえ理解されるに至っているについては、コモンローの成立過程において(あるいは、エクイティーに対するコモンローの擁護、および、国会主権の原則の台頭に対するコモンロー裁判所の<利権>の擁護のプロセスにおいて)例えば、エドワード・コーク(Edward Coke, 1552-1634)が「マグナカルタ」を錦の御旗に掲げたこと、その後の清教徒革命(Puritan Revolution, 1641年~1649年)で、清教徒側が自派の正当化イデオロギーの根拠として「マグナカルタ」を援用した、5世紀の時を越えてなされた所謂「マグナカルタの再発見:rediscovery of Magna Carta」の歴史の偶然が大きいと言えると思います。

尚、「コモンロー」そして「マグナカルタは英国憲法に定められている自由の基盤になっているほか、米国憲法や独立宣言の土台とされている」というセンテンスに憑依する些か複雑な事情に関しては下記拙稿に記した「註」をご参照ください。


・瓦解する天賦人権論(3)
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/020d0b0574e4828cbf5469a451e685e9







University of East Anglia unveils Magna Carta research project
A project to bring an 800-year-old document into the 21st century has been launched at the University of East Anglia.Magna Carta is known around the world as the cornerstone of British constitutional liberty.

Now a £910,000 project to track down lost originals and create an online database of new commentary, images, translations and research findings about the document is underway.

The three-year project will see researchers sift through more than 300 archives in the UK, France and Ireland, in a bid to trace lost originals. An original from the 1297 issue of Magna Carta, sold in New York in 2007, realized $21 million.

The team will also be on the look-out for new evidence about King John – popularised as a cruel villain in the legend of Robin Hood – to see whether he really was a monster.

And they will undertake the first complete commentary on the document – which will be available as part of an online resource for members of the public and historians alike.

Prof Nicholas Vincent from UEA's school of History, who is leading the project, said: “This work will transform academic and public understanding of Magna Carta and King John.

“There have been studies devoted to particular aspects of Magna Carta’s history, but no attempt since 1914 to bring together all of the strands in our understanding.

“We will research who wrote it, what it means, whether its clauses were obeyed at the time, and how it marked a watershed between a lawless and lawful government.

“We will create the first clause-by-clause commentary on various reissues of the document – which will be freely available online in time for the anniversary celebrations in 2015. And look at its continued significance in the modern day.

“We will also piece together historical evidence about King John. Was he a monster as popular legend supposes? More than half of the surviving evidence lies buried in the archives and has never previously been either searched or assessed.”

Prof Vincent was responsible for uncovering two original Magna Cartas in 2007, alongside three Forest Charters.

“This will be the first ever comprehensive survey of all the surviving originals,” he said. “It is certainly possible that more exist. They tend to turn up in archives, where someone thinks they have a copy rather than an original.”・・・

As well as making their research available online, a series of public lectures and an exhibition are also in the pipeline to help raise public awareness about the important document.・・・


(420 words)

【出典:Reuters, 22 Mar 2012





【語彙】
avoid:避ける(cf. avoidは、mind, appreciate, deny, consider, enjoy等々と同様に、目的語が準動詞の場合、目的語に動名詞のみを取る/不定詞を取らない他動詞ですよぉー!), hold down:価格を据え置く/コストを維持する, equipment:装備(「装備/備品」の意味のequipmentは、「furniture:家具」「information:情報」と同様に不可算名詞)

unveil:秘密を明らかにする/ベールを脱ぐ, launch:発射する/発進させる/企画やビジネスを立ち上げる, cornerstone:基本/要石/根本理念, constitutional liberty:憲法が認める自由(cf.「liberty」は抑圧を前提としたそれからの解放、「freedom」はより抽象的かつ一般的な行動の自由の意味です。「personal liberty:人身の自由」「freedom of expression:表現の自由」),

track down:追い詰める/追い求める, research finding(s):調査によって発見された事柄, sift:厳密に調べる, archive:古文書・公文書保管所, in a bid to-V:~をしようとして, realize:~の値段で売れる,

look-out for:~を捜す/~に気をつけて注意する,
popularise/popularize:通俗化する, villain:菅直人の如き破廉恥な悪党,

as part of:~の一環として/~の一部面として, strand:ある全体を構成する要素や素材, watershed:分岐点, look at:考察する, significance:重要性,

piece together:パーツを組み合わせて何かを組み立てる, surviving evidence:現存する証拠(cf. evidenceは、「equipment:装備/備品」「furniture:家具」「information:情報」と同様に不可算名詞ですよ),

uncover:発見する/暴露する/摘発する, three Forest Charters:「林野憲章:The Charter of the Forest, Carta de Foresta」(1217年にマグナカルタの細則として制定され、その後もマグナカルタと同様数次にわたり再確認された法規、自由人による森林の利用の権利等について定めているもの),

comprehensive:系統だった/組織だった, exhibition:展示会,
in the pipeline:計画などが進行中である, public awareness:普及啓発/市民の関心




【和訳】

University of East Angliaがマグナカルタ調査プロジェクトの概要を公表
800年前の文書を21世紀の現在に蘇らせるプロジェクトがUniversity of East Angliaで立ち上げられた。
マグナカルタは英国流の憲法が保障する自由の、その要石として世界中で知られている。

而して、このたび91万ポンド(約1億2000万円)が投じられるプロジェクトによって、所在がわからなくなっている原典資料を捜しだし、もって、新しい注釈・画像・翻訳ならびにその調査を通して発見される資料がオンライン上のデータベースに収録されることになる。

この調査プロジェクトによって、研究者は3年間にわたり英国・フランスそしてアイルランドにある300箇所以上の古文書保管所をくまなく精査して所在不明になっている原典資料を捜し出すことになる。1297年の版のある原典資料は、2007年にニューヨークで競売にかけられ2100万ドル(約17億円)で落札されたこともある。

このプロジェクトの調査チームは、ジョン王に関する新しい資料も探索することになっている。ジョン王と言えば、ロビンフッドの伝説の中で卑劣かつ暴虐非道な菅直人の如き悪漢という通評が定着している向きもあるけれど、ジョン王が本当にそんな「てめーは人間じゃねぇー!」という菅直人ばりの悪党であったのかどうかもまたこの調査プロジェクトによって明らかにされる、鴨。

加之、調査チームはこれまで一度もなされたことのないマグナカルタの完全な注釈を作成するタスクも引き受けたとのこと。しかも、その注釈はオンライン上のデータベースに収録され搭載され、歴史研究者であると一般の人々であるとを問わず利用可能になるとのことだ。


このプロジェクトを率いる、University of East Angliaの大学院歴史学研究科のNicholas Vincent教授は、「このプロジェクトによってマグナカルタとジョン王に対する一般の認識は一変することになるでしょう」と述べている。

「マグナカルタに至る経緯やマグナカルタを巡る紆余曲折については、そのある部分については精力的な研究がこれまでも行われてきたとはいえ、1914年を最後に、マグナカルタに関するすべての認識や知見を一同に集めてみようという試みは行われたことはなかったのです」

「このプロジェクトを通して、私達は、誰がマグナカルタを書いたのか、そのテクストの条項はどんな意味なのか、その条項はその当時本当に遵守されたのか、そして、マグナカルタはどんな意味で人治と法治の政府を分かつ分水嶺と言えるのか、これらについて調査研究していくつもりです」

「而して、このプロジェクトは、1215年以降度々発せられた様々なマグナカルタの条規について史上初めて1行単位で注解を施す初めての注釈を産み出すことになるはずです。しかも、その注釈は2015年のマグナカルタ制定800年の記念式典に間に合わせて、オンライン上で無料で利用可能にするつもりです。もって、現在においてもマグナカルタが無視できない重要さを保っていることが自ずと理解されるという塩梅です。

「我々はこのプロジェクトの中でジョン王を巡る歴史学的な資料をもまたつなぎ合わせその全体像を明らかにするつもりです。本当にジョン王は世評の通りの、菅直人の如き化け物のような悪漢だったのかどうか。現存する証拠資料の過半は資料保管所に眠ったままになっていて、それらはかって一度も調査されたこともなければ調査の目にさらされたことすらないのです」ともVincent教授は語ってくれた。

Vincent教授は2007年になされた二つのマグナカルタ、ならびに、三つの林野憲章の発見に中心的な役割を果たした方なのである。

そのVincent教授は、「今回のプロジェクトは現存するすべての原典資料に対する系統だった調査としては、これまで一度もなされたことのない調査になるでしょう」「そして、更に多くの原典が現存している可能性が高いのです。それらの資料は古文書保管所に流れ着いていく傾向があるのですが、ある資料の複写版だと思われていたものが、実は、原典資料自体であると思われているというのは、日常茶飯事なんですからね」とも述べている。・・・

プロジェクトの成果をウェブ上で利用可能にするのと同時に、一般の公衆に向けた連続講演会の企画、および、資料の展示会の企画もまた計画中とのこと。もって、この重要な文書に対する一般の認知度と関心が高まることをプロジェクト側は期待している。・・・




★University of East Anglia:

The University is located in the city of Norwich in the region of East Anglia which is comprised of the counties of Norfolk and Suffolk with Cambridgeshire (and Essex).The distances to Norwich are respectively

London 115 miles/185 km, Birmingham 160 miles/255 km, Manchester 190 miles/305 km, Newcastle 250 miles/400 km, Liverpool 250 miles/400 km, Edinburgh 375 miles/600 km

Amsterdam 153 miles/246 km, Paris 264 miles/426 km, Rome 906 miles/1458 km, Dubai 3359 miles/5406 km, New York 3495 miles/5625 km, Beijing 4966 miles/7992 km, Los Angeles 5440 miles/8755 km, Tokyo 5848 miles/9411 km, Bangkok 5850 miles/9413 km.


(The UniversityのあるNorwichは、Norfolk、Suffolk、Cambridgeshire、ならびに、EssexとともにEast Angliaの都市。国内と世界の主要都市からNorwichまでの距離は各々・・・)





福岡県大牟田市の三池カルタ記念館




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