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今年、鯨肉窃盗という破廉恥な罪を犯しただけでなく、その被害者たる捕鯨船の乗組員諸氏に対して謝罪もしていないグリーンピース。このテロリスト集団の活動が少し穏便になるそうだ。そんな報道を目にしました。出典は”Greenpeace softens protest tactics,” The Associated Press, Dec. 11, 2008「グリーンピース抗議戦術をソフト路線に変更」。
この記事を読んで最初に抱いた私の感想は、「グリーンピースもとうとう背に腹はかえられなくなってきたのかな」です。実際、グリーンピースジャパンの支援金支払済サポーターは公称でさえ(同日本事務局長・星川淳氏によれば)「今年は、鯨肉の問題でのイメージダウンがあって、【昨年までの6000人から】5500人ほどに落ち込んで」いるらしい(下記URL参照)。而して、グリーンピースジャパンの内情に少しでも通じている方なら(幹部筋には、例えば、福島瑞穂氏の内縁の夫等々社民党系の人脈も少なくないものの)その支援者の中核は代々木系(共産党系)のプロ市民であり、その総支援者実数も5500人どころか3000人前後ではないかという<噂>を耳にされたことはおありでしょう。
http://promotion.yahoo.co.jp/charger/200812/contents03/vol26.php
正直、組織内部の情報の真偽を確定することは難しい。けれども、少なくとも、捕鯨問題に関しては自民党から共産党まで全政党が捕鯨推進派である我が国の現状において、共産党系の人々も捕鯨問題を理由にグリーンピースから距離を置いていることは十分推測できることだと思います。
蓋し、捕鯨問題から手を引かない限りグリーンピースが日本でその「環境テロビジネス」を拡大することは不可能。よって、「抗議戦術をソフト路線に変更」とは、我が国における(「鯨を殺すのは残酷だがカンガルーやラクダを殺すのは残酷ではないとでもいうのか!」等々)反・反捕鯨論が圧倒的な世論の趨勢を鑑みた上で世界のグリーンピースが総体で下した経営判断なのかもしれない。そう私は感じました。畢竟、正義は勝つ。
けれども、この記事を読んで要注意と感じたこともある。それは、「抗議戦術をソフト路線に変更する」理由としてグリーンピースが挙げているのが日本の特殊性だということです。つまり、この環境テロリスト集団は(日本国内ではなく世界に対して)姑息な世論操作を仕掛けつつあるのではないかということ。
すなわち、いまだに「秩序意識」が強い(深読みすれば「お上の言うことには逆らわない」意識が残る)日本社会の「特殊性-後進性」がゆえに、彼等が常套する「直接行動」(=身体生命への危害を加えない範囲での、軽微な権利侵害を伴う直接的な行動)はこの社会では難しい、と。畢竟、自分達の路線は倫理的には間違っていなかったが、日本社会の後進性を看過していたため、目的合理性の観点からは今までの活動の仕方には反省すべき点もないわけではない、と。そう彼等は主張しているのではないのか。
もし、この推測が満更邪推ではないとするならば、そのような態度と認識は傲岸不遜である。而して、欧米でもグリーンピースの直接行動なるものに眉を顰める向きは少なくなく、また、日本でも彼等の行動が取り分け大きな反発を受けているのは捕鯨問題にほぼ限定されることを鑑みればそのような彼等のロジックは成立しない。そう私は考えています。尚、捕鯨問題に関する私の基本的な考えについては下記拙稿をご参照いただければ嬉しいです。
・鯨と日本の再生
http://kabu2kaiba.blog119.fc2.com/blog-entry-306.html
・反捕鯨論の文化帝国主義的で傲慢な謬論を逐条撃破する
http://kabu2kaiba.blog119.fc2.com/blog-entry-313.html
・書評☆星川淳GPJ事務局長『日本人はなぜ世界で一番クジラを殺すのか』
http://kabu2kaiba.blog119.fc2.com/blog-entry-318.html
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Environmentalists in the icy seas, risking life and limb to save whales from the harpoons of Japanese hunters ― it makes for good headlines in the West and has even spawned a TV series, "Whale Wars."
But such efforts by environmental groups like Greenpeace have done nothing to slow Japan's annual hunt, which kills about 1,000 whales a year.
So the organization is taking a softer approach to its antiwhaling campaign in Japan, where many don't approve of protests and civil disruption.
Japan's whaling fleet left last month for its annual hunt in the Antarctic Ocean, but for the first time in years no Greenpeace vessels were in pursuit.
At a subdued event in Tokyo on Tuesday, directors from Greenpeace offices worldwide gathered to protest Japan's continued whale hunts and the treatment of two of its antiwhaling activists who were arrested for stealing whale meat.・・・
氷山漂う凍てつく海を背にした環境保護活動家。日本の捕鯨船が放つ銛から鯨を守るために体と命を危険にさらすことを厭わない彼等は欧米の新聞の見出しを飾る好個の材料であり、また、「鯨戦争」の如きTVシリーズを数多生み出す原動力になってきた。
グリーンピースのような環境保護団体のそんな努力は、しかし、日本による毎年恒例の捕鯨を押しとどめる効果は全くない。而して、日本は例年1,000頭もの鯨を殺しているのである。
このような事態を鑑み、グリーンピースは日本におけるその反捕鯨運動に関してはより穏健な取り組みを採用しようとしている。日本では彼等の反捕鯨運動、すなわち、反捕鯨の抗議行動や市民生活に混乱を巻き起こす行動を容認しない人々も少なくないのだから。
日本の捕鯨船団は、先月、南極海での今年度の捕鯨に出航した。しかし、ここ数年では初めてのことなのだが、その船団を追跡するグリーンピースの船舶の姿は見られなかった。
日本の捕鯨の継続と鯨肉を盗んだ疑いで逮捕された二人の反捕鯨活動家に対する取り扱いに抗議するため、火曜日【2008年12月9日】の東京で催された行事に世界各地のグリーンピース事務局から責任者が集まった。而して、その抗議の模様も控えめで抑制のきいたものだった。(中略)
"About three years ago, Greenpeace began to realize that the way to win the campaign, by that I mean the way to stop whaling in the Southern Ocean, was to gain support inside Japan," said Steve Shallhorn, the director of Greenpeace Australia.
The group's clashes with whalers at sea have received largely negative press in Japan.
"Compared to the U.S. and Western Europe, Japan is less tolerant of deviant behavior. Anything that's a little out of the ordinary is a little bit disturbing," said Robert Dujarric, director of the Institute of Contemporary Japanese Studies at Temple University Japan.
These days, whale meat is considered a delicacy that few can afford to eat regularly, but it holds a special place in the hearts of many older Japanese because it was widely served during the lean postwar years when other meats were more rare and expensive.・・・
The Japanese have hunted whales for centuries, and many consider it an honorable profession and a proud part of Japanese heritage, despite heavy criticism from abroad.
「3年程前にやっと、グリーンピースは反捕鯨運動を成功させる方法が何かということ、蓋し、南極周辺の大洋での捕鯨を止めさせるためには日本国内での支持を獲得しなければならないということを理解し始めた」と、グリーンピースオーストラリアのS. Shallhorn事務局長は述べた。
捕鯨船乗組員と海上で激しくやり合うグリーンピースの行いは日本では極めて否定的に論評されてきた。
「アメリカや西欧と比べて、社会の規則を逸脱する行為に対して日本社会は寛容ではない。【日本社会では】何事につけいささかなりとも通常と異なる事柄はなんらかの苛立ちや戸惑いを呼び起こしがちなのです」と、そうテンプル大学日本校の現代日本研究所のR. Dujarric所長は語ってくれた。
今日では、鯨肉は誰もがそう頻繁に口にできるものではない高級な食材と考えられている。けれども、年配の日本人の中には鯨肉を特別な存在であると感じる人もけして少なくない。というのも、戦後の食糧難の時代、他の肉が鯨肉に比べれば一層稀少であり、かつ、高価であった時代に鯨肉は広く供給されていたからだ。(中略)
日本人は数世紀に亘って捕鯨を行ってきた。よって、日本人の多くは捕鯨を尊敬に値する立派な職業と考えており、而して、諸外国からいかに激しい批判が加えられようが、捕鯨を誇るべき日本の伝統文化の一斑と考えている人々が日本人の多数を占めているのである。
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