英語と書評 de 海馬之玄関

KABU家のブログです
*コメントレスは当分ブログ友以外
原則免除にさせてください。

街は英語教育の<素材>の宝庫 (2) 名詞の複数形の意味

2005年06月18日 18時10分52秒 | 街は英語教育の素材の宝庫

前回に引き続き小田急線の車内の告知文から取材しました。
これまたよくある「優先席についてのお願い」です。

Priority Seat

Please turn off mobile phones in this vicinity.
PLease offer these seats when needed by other passengers.

Elderly passengers, Disabled passengers, Passengers with small children,
Expectant mothers, Passangers with pacemakers or other medical devices


KABU試訳:優先席
     この周辺では携帯電話の電源はお切りください。
     これらの席を必要とされる他のお客さまがおられた
     場合には席をお譲りください。(例えば、以下のようなお客さまです)
     
     年配のお客さま・障害をお持ちのお客さま・
     小さいお子さまづれのお客さま・妊娠中のお客さま・
     ペースメーカーその他の医療機器をお使いのお客さま

パート7(読解問題)の課題文が現在よりもかなり短かった頃、6~7年前のTOEICならそのまま出題されてもおかしくない良質の英文だと思いました。わずか35語の中にTOEICの問題でも正解・不正解を分かちかねない重要な単語が幾つも含まれていますし、"PLease offer these seats when needed by other passengers."はパート5や6の問題に(単語・熟語・語法・文法問題に)容易に加工できるでしょう。

◆重要単語:
vicinity(周辺・近隣) elderly(年配の・年老いた) 
disabled(障害のある・体の不自由な)  expectant(期待されている・予想される)medical devices(医療機器)

◆文法論点:
"PLease offer these seats when needed by other passengers."の when 以下は文法的にはどう考えればいいのか? これは、when や while などが導く副詞節の主語と主節の主語が同じで、副詞節の述語動詞がbe動詞(+α)の場合には、when や while の後ろの主語+be動詞は省略されるというルールが適用されているものです。省略されている部分を括弧に入れるとこのセンテンスはこうなります。つまり、

PLease offer these seats when (these seats are) needed by other passengers.

尚、when の後の述語動詞が will be needed ではなく are needed になるのは、副詞節の中では未来のことを述べる場合も現在時制を使うためです。これ、高校入試の最重要論点でセンター試験でもTOEICでも常連の文法ルールです。為念。


さて、この記事の本題:「名詞の複数形の意味」の話に入ります。
普通名詞の複数形にはその種類全体を表す用い方があります(総称用法)。例えば、以下の緑色の部分は、目の前にある特殊な何個かの「携帯電話」や何人かの「年配の乗客」を表しているのではなく、「すべての携帯電話」や「すべての年配の乗客」を意味しています。これが複数名詞の総称用法です。総称用法の複数名詞には冠詞(複数だから不定冠詞の a/an ではなく定冠詞の the になりますが、)がつかないことに注意してください。

Please turn off mobile phones in this vicinity.
PLease offer these seats when needed by other passengers.

Elderly passengers, Disabled passengers, Passengers with small children,
Expectant mothers, Passangers with pacemakers or other medical devices



実はこの点に関して微妙な英文(笑)を見かけました。これまた小田急! 小田急の携帯メール情報配信サーヴィス(goopas)の6月19日の記事です(小田急さん題材の提供どうもありがとうございます)。

"Natto" are strongly smelling, sticky, fermented soybeans.
(納豆は強いにおいとネバネバのある、発酵した大豆です)


どうでしょうか? 最後の soybeans は問題ないのですが、最初の"Natto"はなぜ複数扱いになっている(述語動詞にis ではなくare が使われている)のでしょうか? 「納豆」は one dish や one kind of dish なのだから複数形で総称を表すのは無理だと私は思うのです。よってここは、例えば、

"Pasta" is thin noodles. (パスタは細い麺類です)のように
"Natto" is strongly smelling, sticky, fermented soybeans.

となるべきではなかったか、そしてどうしても「納豆というものは総て」という総称的な意味を強調したいのなら、別の総称の表し方を用いて(参考:『ロイヤル英文法 改訂新版』84頁)表現するしかなかったのではないか。例えば、

The Natto is strongly smelling, sticky, fermented soybeans.
A Natto is strongly smelling, sticky, fermented soybeans.

とした方がよかったと思います。皆さまはどうお考えでしょうか?


ブログ・ランキングに参加しています。
応援してくださる方はクリックをお願いします


 ↓  ↓  ↓

にほんブログ村 英会話ブログ


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
納豆は・・・ (ハイジ)
2005-06-29 00:12:58
Nattoは、大豆を発酵させて作ったひとつのdishですから、やはり単数扱いだと思います。

日本固有のものですし、私の感覚ではこれは無冠詞ではないかと思いますがいかがでしょうか?



いつも興味深く読ませていただいています。

よろしかったら遊びにいらしてください。
返信する
納豆と鳩サブレと妖怪と (KABU)
2005-06-30 09:06:29
>ハイジ先生



「ひとつのdishですから、やはり単数扱いだと思います」、そうだと思います。しかも無冠詞が適当だと私も思っています。じゃ、なんでこの筆者は"are"を使ったのか? 著者たる彼女/彼のその錯覚に興味を持ったのです(でも、やっぱ単数で無冠詞でしょう)。我らが神奈川県民の誇り(?)、「銘菓鳩サブレ」を考えても、少し広く「サブレ」や「カステラ」を考えても、単数&無冠詞でしょう? やはり錯覚の謎が解けない。



で考えますに、多分。いらぬお世話かもしれないけれど(笑)、彼女/彼は、納豆が嫌いなあまり(大笑)、日本のあちこちで出された個々の納豆を、それこそいろんな個性を持つ妖怪(鬼太郎・ぬらりひょん・ぬりかべ・いったんもめん・・・)のように具体的な個性を持つ納豆として感じられたのかな、と(いや本当は、単なる入力ミスだけだった可能性が強いとは思いますけれどもね)。



そうそう。ハイジ先生のブログへのご挨拶もまだですよね。このブログ開設ののっけから公私多忙で<ご近所挨拶>もままならない状態でした。今週から少しづつ廻らせていただきます。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。