In a series of moves that appear to have been planned carefully, Mr. Putin has taken Crimea, won huge popular support in Russia and in much of Crimea and left the West holding financial responsibility for the rest of Ukraine.
There is no doubt that Russia may seek to annex more parts of Ukraine. Russian military intervention is possible, but the Crimean strategy has proven much easier. Time and momentum are on Russia’s side, so Mr. Putin can be patient. If Ukraine’s eastern and southern regions continue to flounder while Russia grows richer, it is only a matter of time before large separatist movements will develop in these areas.
将棋に喩えればそれが登場した当時の藤井システムの如く、指されてみればそれは事前によく練られたものと今では誰もがそう思うだろう一連の手筋によって、プーチン大統領はクリミアを手にし、ロシア国内と大部分のクリミア半島エリアで巨大な世論の支持を獲得した。他方、西側諸国にはクリミアを失ったウクライナに対する財政支援の責務が残されただけという構図。
隴を得て蜀を望む。クリミアを手にしたロシアがウクライナの他の地域をも併合したいと虎視眈々なのは間違いない。実際、ロシアにとってウクライナに対する軍事介入も不可能ではないのだ。けれども、クリミアで用いた戦法はロシアにとって軍事介入などよりも遥かに効果的かつ廉価なことがそのクリミアで証明された。天の時、地の利、人の和のいずれもがロシアにある。よって、「鳴かぬなら鳴くまで待とう不如帰」とばかりにプーチン大統領にはことを急ぐ必要さえない。要は、ロシアが更に豊かになっていくのに対して、ウクライナの東部や南部が今後も経済的に呻吟を余儀なくされるとすれば、それらの地域でロシアによる併合を見据えた分離派が今よりも一層力を持つことは単なる時間の問題でしかないのだから。
Russia will make a success of Crimea as an example for others: pensions, government wages and other incomes can roughly double to meet Russian averages. The experience of debate and referendums in Quebec, Scotland, Catalonia and other regions all point to plausible democratic routes to exit that Russia can encourage.
A stable Ukraine, with an economy that catches up to its neighbors, is the best defense against disintegration. There is a chance to keep Ukraine united with its current borders (less Crimea), but it would require a striking change in Ukrainian economic strategy – something very hard to pull off with so many levers of power in the hands of the established political elite, who remain well entrenched.
クリミアにおけるロシアの勝利はウクライナの東部と南部の人々にアピールする実例にするだろう。なんといっても、クリミアでは、年金、公務員給与およびその他の所得はロシアの平均水準に合わせるべく大凡二倍になったのだから。他方、ケベック、スコットランド、カタロニア等々の地域で行われてきた議論と住民投票の蓄積はすべて、ロシアが蜀を求める上で、誰にも反論が難しい妥当かつ民主的な出口戦略をロシアに示唆している。
ならば、近隣諸国にけっして引けを取らない経済状況を具現した、ウクライナ国内の安定した政治的と社会的の状況こそ分離独立に抗する最良の方策である。すなわち、ウクライナには(もちろん、最早、クリミアが戻ってくることはないにしても)国家の政治統合を維持する目が全然残っていないわけではないということ。もっとも、肉を切らせて骨を斬る、骨を斬らせて命を絶つ、ウクライナがその国家の政治統合を維持するためには、経済財政分野における尋常ならざる異次元の政策転換が不可欠なのだろうけれども。而して、その政策の転換には、いまだに根強い既成の政治指導者層の手から相当の政治的な権限と影響力を奪いさるといった、実に、困難な措置が不可避なのだろうけれども。
Russia controls many of the levers for Ukraine’s success. It is Ukraine’s largest trading partner. Ukraine is heavily in debt to Russia and relies on Russia for most of its energy imports. Russia has been selling Ukraine natural gas at well below world prices. Russia also has substantial ability to promote riots, political intrigues and general instability. In short, unless Ukraine can normalize relations with Russia, it has little hope for growth.・・・
One thing that Ukraine could do soon, to encourage growth and harness the goals of the Maidan revolution, would be to move quickly, and in a high-profile manner, against all forms of corruption. ・・・Simplification of the tax system, changes in regulatory policy and changes to the judiciary can also reduce corruption.
他方、ロシア。ロシアはウクライナの成功のための鍵束の持ち主なのだ。ロシアはウクライナの最大の貿易相手国にして、巨額の債権国、更には、ウクライナはそのエネルギー資源のほとんどをロシアからの供給に頼っているという塩梅。実際、ロシアはこれまで国際的相場よりもあきらかに寛容な値段でもって天然ガスをウクライナに供給し続けてきている。あるいは、視点を変えてみれば、ロシアにとってウクライナ国内で暴動を引き起こすことなど御茶の子さいさい、政権交代再交代や国内を無政府状態に陥らせることさえけっしてやってやれないことではない。要は、ウクライナの経済成長には対ロシア関係の正常化が欠かせないということだ。・・・
その経済を成長させ、あるいは、親ロシア政権を倒した今般のマイダン革命の目的を幾らかでも具現するために、いますぐにでもウクライナが手をつけるべきことの中には、あらゆる種類の経済的と政治的な腐敗に対して迅速果敢な改革の措置を取ることが含まれてないはずはあるまい。・・・税制の簡素化、規制の改革、そして、司法制度の改革もまた腐敗根絶につながるかもしれない。
But to take all these actions requires political legitimacy, and this can only be acquired through new presidential and parliamentary elections. The European Union pact, any kind of I.M.F. program and large-scale moves against corruption require a government that can make long-term commitments and demonstrate political strength.
The current government was selected after violent street demonstrations and early on revealed an anti-Russian stance that is at odds with keeping the nation unified and with harmonizing relations with Russia. Until there is political capacity to achieve significant reduction in corruption, Ukraine’s growth prospects and its ability to remain unified, remain limited.
しかし、ウクライナの政府がこれらのどの措置を取るにせよその政府には政治的な正当性が不可欠であり、而して、その正当性は次の大統領選挙と議会選挙を経ないことには生起することはない。そのいずれもがウクライナ国内の腐敗には眉をひそめている、EUの対ウクライナ支援協定、IMFの諸々の支援プログラム、あるいは、「金も出すけど口も出すわよ」というタイプにならざるを得ないそれなりの規模の支援プログラムは、政治的に安定しており、かつ、指導力を備えたウクライナ政府を支援の条件として要求している。
現在のウクライナ政府は街頭デモの暴力の嵐の中で形成されたものであり、それは政権成立のかなり早期の時点で反ロシアの旗幟を鮮明にした。而して、ウクライナの国家的統合の維持強化と対ロシア関係の正常化という観点からは反ロシア姿勢の明確化というのは【鳩山由起夫の「東アジア共同体構想」ほどではないにせよ】馬鹿げたことというほかはない。いずれにせよ、国内に蔓延する腐敗を目に見えて除去することが可能な政治体制が成立しない限り、ウクライナの経済成長の見込みと国家統合をウクライナが維持する能力にはそう多くを期待できない。と、そう我々は考えている。
(以上、海外投稿記事紹介終了、余滴に続く)