◆解題:
本記事はブログ友ぬくぬくさんの所からの「転載」です。尚、現在、日本の「非武装中立論」の代表的言説としての所謂「無防備地域・地区・都市宣言運動」については下記拙稿をご一読いただければ嬉しいです。
・元記事URL
http://blogs.yahoo.co.jp/nukunukupower/61120215.html
・無防備地域宣言と無防備宣言条例推進運動の落差
http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/19059406.html
・アーカイブ:無防備地区宣言の妄想と詐術(上)(下)
http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/241060.html
●今日って、憲法の何とかの日だっけ?
憲法の日って事で中立と非武装について考えてみましょうね
非武装を実現するとなると、何が必要でしょうか?
日米安保の廃止?
いえいえ、それはありえませんね。コスタリカが米州機構に加盟し、アイスランドがNATOに加盟しているように、現状で日本が選択しうる安全保障機構と言えば・・・、日米安保以外にないですからね。要するに、日米安保を維持した上で、基地提供を続ける事で、日本自体を非武装とした場合の、抑止力とするってことですね。
そして、それで全てが安心というわけではないのも確かです。
日本は周囲を海で囲まれています。
という事は、漁業権摩擦が起こる・・・。
皆さん「たら戦争」はご存知でしょう?
どことどこの争いでしたかね?
イギリスとアイスランドですよね。という事は、非武装国は、なんら近隣国と衝突を起こさないというわけではないんですね。しかも、日本の周辺国は、過去の事例を見ても、イギリスほどおとなしい対応をとる国ではないですね。
朝鮮戦争直後の韓国といい、冷戦崩壊後のロシアといい・・・
これらの国々を見ると、どう考えても非武装とは言いながら、実際に放棄するのは、軍隊のみで、警察機構である海上保安庁は強化さえ必要という結論になってしまいます。
確かに、アイルランド・コーストガードも武装船を保有していますよ。でも、日本が保有すべきは、たった1隻や2隻ではなく、現行の隻数は最低限維持しないといけませんね。これは、コスタリカが、海上警備力の不足を理由に米コーストガードの跳梁を許している事例を見ても明らかといえます。
そして、重大な点をもう一つ
確かに国際法上は、違反であったにしても韓国は日本が海洋調査をした場合、巡視船で阻止すると明言しましたね? そして、今は、日本側が韓国の調査船に巡視船を貼り付けています。これを見ても、開戦にいたらないと両国が判断すれば、逆に軍事衝突を伴わないだけに、武器使用の敷居が低くなる可能性だって考えれらるんですよね。つまり、警察力の行使や正当防衛という名で、簡単に武力行使が行なわれる危険性が、今より増すということになりかねないんですね。
確かに極論ではありますが、非武装だから平和だとは必ずしもいえません
これが中立だとなおさらですよね。再三ですが
【中立国の三大義務】
1.中立国は自国の領域が戦争当事国(交戦国)によって基地その他に
利用される事を防止しなければならない。(防止義務)
2.中立国は戦争当事国に兵員、武器、弾薬等を供給してはならない。(回避義務)
3.中立国は自国の民間商船等が戦争当事国の敵国に対し軍事的物資の
供給等を行なっている場合は、当事国がその商船を捕獲できる権利を
認めなければならない。(黙認義務)
ですので、仮にルシタニア号のようなことが起こっても、決して怒ってはなりません。今だと、航空機も入るのかな? なら余計ですね。大韓航空機のような惨事も、場合によっては黙認・・・。
★KABU註:
民間航空機は、国際民間航空条約(通称「シカゴ条約」)の第5章では軍需物資や兵器の輸送は禁じられていますが(但し、イラク派遣の陸上自衛隊員の帰国の際に左翼が大騒ぎした「人員の輸送」は禁じられていない)、同条約18章では「当条約は戦争時、国家非常時において、条約締結国の行動を何ら妨げるものではない」と定めています(尚、誰が「戦争時」「国家非常時」であるかないかを判断するかは自衛権行使の要件たる「危機の存在」「急迫性の存在」「対抗手段の相当性」の判断と同様、民間航空機を軍事徴用する当該の主権国家であることは言うまでもありません)。
よって、本件の場合、()中立国としての日本が民間航空機を軍事物資輸送に徴用する場合、()民間航空会社が国際民間航空条約および日本の国内法に反して(儲けのため、政治的目的のため、または、ズボラな事務処理ミスのために)違法に軍需物資輸送を行なう場合の二ケースが考えられますが、これまた国際法上はいずれのケースであれ、日本国籍の航空機は日本国の責任と権限の及ぶ法的対象ですから、「航空機にも中立義務-黙認義務」が適用されることになります。
そして、最大の問題が、日本の立地条件です。
スイスどころではありません。
アメリカにとっても、支那にとっても、ロシアにとってもこの上なく目障りです。
確かに、短期的には支那にとって、日本の中立は有効な緩衝材かもしれませんが、冷戦時のスウェーデンのように、どこの国の潜水艦だろうと、海生哺乳類だろうと(爆)爆雷攻撃をするようでは、日本の中立をしっかり保障してくれるかどうか分かりませんね。
現在は、中立国は中立に関する条約によりその中立が保障されるわけですが、日本の場合、アメリカ、ロシア、支那の調印無しにこの条約を結んだところで、中立が保障されたとはいえないでしょう。
さて、今の日本にこの3カ国を場合によっては3カ国共に不利になる条約への調印を促すだけの外交力がありますか?
そして、中立である以上、中立国としての義務を果たすのは当たり前ですよね。つまり、平時から周辺諸国の軍事動静に気を配り、自国の軍事力や外交に生かさなければなりません。そうなると今はタブーとされている一般大学への軍事学講座の開講と、予備役軍人養成機関の設置が必要になると思います。
ここに示した問題点を解決できなければ、非武装も中立も実現は不可能だと思いませんか?
皆さん、非武装論に、アホな愚問はぶつけないでくださいね。
日本が攻められたらどうする?
え~っとね。
そんな確率の低いものより、もっと現実を見ましょうよ!
日本が攻められる確率を考えてみてください。
少なくとも、5年10年は大丈夫ですよ。
そんなことより、
A・現在不法占拠・合意不履行となっている事案をどうお考えですか?
B・他の非武装国の実態は、なぜ公表して話を進めないのですか?
C・非武装において、現実に採りうる政策を速やかにご提示下さい。
質問していいのは、この3点ではないかと思いますよ。
Aの質問にどう答えるんでしょうね。楽しみな面もありますね。なんせ、すでに相手は、威嚇、実力行使として武力を背景に行動している訳ですから、どういう非武装のアプローチがあるのか、ボンクラの私には、想像もつきません。
Bの質問に対して、しっかり非武装国の実態を公表すると、実は日米安保の補強・擁護発言になってしまう気がするんですよね。
有名どころ
コスタリカ→米州機構加盟国、集団的自衛権行使、イラク戦争支持(開始時点)
アイスランド→NATO加盟国、米戦略部隊(冷戦終結により撤退)、
海兵隊が駐留。自国駐留米軍の撤退に反対を表明
太平洋諸国→基本的に米国、オーストラリアの保護国。あるいは、
先進国の飛び領土。ですからね。
Cの質問。私は、墓場列島・富豪列島くらいしか思いつきませんので・・・
非武装を謳うのは大変結構なことですが、それによりこれまで、「自衛官や海上保安官に背負わせていた責務をあなたは肩代わりできますか?」と言う最大の問題があることに目を瞑ってはいけませんよね。自衛官や海上保安官のやっていた責務をいくばくがでも、自分たちが肩代わりできないと言うなら、まったくの責任放棄ですよね。
ただし武器を持たないと言うのであれば、自衛官・海上保安官以上のリスクを背負い込むわけですから、口が重たくなるのも分かりますよ。
中立論の話。まずは、上でも出したこれ、
中立国の3大義務
1.中立国は自国の領域が戦争当事国(交戦国)によって基地その他に
利用される事を防止しなければならない。(防止義務)
2.中立国は戦争当事国に兵員、武器、弾薬等を供給してはならない。(回避義務)
3.中立国は自国の民間商船等が戦争当事国の敵国に対し軍事的物資の
供給等を行なっている場合は、当事国がその商船を捕獲できる権利を
認めなければならない。(黙認義務)
この三つを果たせる事が条件ですが、まあ、なかなか難しいですね。
これまでの歴史を見ると、
ベルギー→第一次大戦時永世中立国。
戦場として蹂躙される。
スウェーデン→第二次大戦時永世中立国。
中立かどうか疑わしいほどのナチとの親密ぶり。
スイス→元祖。
第二次大戦時、数々の事情により連合国、ドイツ双方より爆撃を受ける。
そして、冷戦時に中立国となった、フィンランド、オーストリアも含め、東西陣営にはさまれた全ての中立国が徴兵制を実施していたわけですからね。中立とは難しいものですね。日本では、軽々しく「中立国は・・・」と、平和国家みたいに言いますが中立国ほど戦時体制の整った国はないと言うのが実情な気がしますね。
ここまで来たらついでに・・・
中立国の核開発の歴史
【スイス】
第二次大戦直後、1946年に原子力委員会を設置し、
核武装研究を始める。
48年にドイツ、ベルギーよりウランを輸入、最終的に5.5tを
ベルン南東30kmのウィミスの施設に秘密裏に保管。
68年に広島型200ktの核爆弾200発など、
核爆弾400発の配備計画を立てる。
74年に核爆弾に必要な諸設計を完了。
86年「2年以内の核保有可能」な状態へ。
88年冷戦終結を見越して、計画は中止。
【スウェーデン】
1940年代後半より核兵器の極秘研究を開始。
57年ストックホルム南方のアゲスタの地下に天然ウラン重水炉を建設。
63年より運用を開始、プルトニウム抽出などの本格的研究開始。
72年に、小規模地下核実験を実施、
74年費用対効果を考え、NATOの核に依存する事になり地下原子炉を停止。
94年、「地下原子炉の再稼働を数か月で可能」とIAEAに通告。
と言うわけです。
中立の議論がしたいなら、この基礎を知った上で議論しましょうね!!
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