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集団的自衛権に関する政府解釈の見直しが目前に迫ってきているようです。感慨一入。嬉しさ実感。しかし、「迫ってきているよう」ではあるが、ここのところ揺れ戻しという程ではないけれどその動きにブレーキがかかっているようにも見える。というのも、見直し反対論が党内多数派とも伝えられる連立パートナーの公明党、そして、自民党内慎重派の顔を立てて安倍政権も見直しスケジュールを些か遅らせ気味にしているようにも見えるから。不愉快千万。
(ノ-_-)ノ ~┻━┻・..。
けれど、
けれども、
日本国民のマジョリティーが保守派だとしても、別に、日本の保守派を中心に日本は動いているわけではないし、--国際司法裁判所の調査捕鯨中止判決(2014年3月31日)を想起すれば思い半ばに過ぎるように--われわれ保守派の日本国民を中心に地球が廻っているわけではさらさらない。まして、いまだにリベラル派の中には、例えば、
①「軍隊はその国民を守らない」
②「集団的自衛権は「自衛権」ではなく「他衛権」だ」
③「集団的自衛権の政府解釈が変更されれば徴兵制導入が検討され、
そして、憲法9条が改正されれば徴兵制は間違いなく復活する」
などという主張を真顔で述べている向きもある。そう述べて保守派を攻撃したつもりになっている善男善女--「世間知らず」あるいは「世界知らず」とも言うべき人々--が少なくない現状を鑑みれば、私は、逆に、ここは春にこだわらず夏までスケジュールを延期しても、安倍政権にはしっかり国民各層に説明した上で、集団的自衛権の政府解釈変更はゆっくり急いで欲しいと思います。
ちなみに、①「軍隊は国民を守らない」。当たり前のことです。軍隊が守るのは国家であり、而して、国家を通して国民は守護されるかもしれないというだけのこと。実際、日本と言わず世界の保守派の論者の中に「軍隊は国民を守る」などと主張をしている向きは皆無でしょう。つまり、この①「軍隊は国民を守らない」は、リベラル派が勝手に自らの脳内で作り上げた<保守派の主張>をご自分で揶揄しただけの児戯。そして、②「集団的自衛権は「自衛権」ではなく「他衛権」だ」の経緯もこれとパラレル。
③「集団的自衛権の政府解釈が変更されれば徴兵制導入が検討され、そして、憲法9条が改正されれば徴兵制は間違いなく復活する」ってか。これまた保守派の誰がそんなこと言ってんの、です。呆れてものも言えない。
確かに、支那の如く失業対策システムとして軍隊を維持拡大している--「肥大」と言うべきでしょうか--国もないわけではない。また、グローバル化の中の格差拡大にともない、国民の国家への社会統合の揺らぎを是正すべく--貧富・教育・門地・性別・性的傾向性に関わらず--「平等」に国防の義務を課すことで、「貧富の差はあれど貴賎の差はあれどわれわれは同じ国民」という意識を涵養強化するイデオロギー装置としては徴兵制は無意味ではないかもしれない。
しかし、純粋に軍事組織におけるヒューマンリソースマネージメントの観点からは、高度化した現在の軍隊では、嫌々ながら入隊する素人などは足手まといでしかない。実際、世界では--ベトナム戦争終結後早々に徴兵制を廃止したアメリカに顕著なように、あるいは、軍隊が徴兵制の廃止を主張し、平等原則の融解を危惧する政治家がその廃止に最後まで抵抗したフランスに露呈しているように--軍隊の方は徴兵制を止めたがっているのですから。
而して、集団的自衛権に関する現在の政府解釈なるもの、
そう、例えば、
わが国が、国際法上、このような集団的自衛権を有していることは、主権国家である以上、当然であるが、憲法9条の下において許される自衛権の行使は、わが国を防衛する必要最小限の範囲にとどまるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであって、憲法上許されないと考えている。
(1981年5月29日の政府答弁書)
などは憲法論的には噴飯ものの言説。けれども、そんな噴飯ものの言説が1970年代半ばから40年近く維持されてきたということは不愉快ながら現実。すなわち、
(甲)集団的自衛権の政府解釈の優劣の説明
(乙)集団的自衛権の政府解釈変更の理由の説明
は別ものということ。ならば、われわれ保守派も(甲)だけではなく、--現行の政府解釈なるものがそもそも法理論的にも法論理的にもほとんど破綻している以上、朝日新聞の要求する如くその変更に「整合性」などは不要にしても--(乙)についても、政治的と憲法論的の両面で些か丁寧に国民に説明する方が、今後の改憲スケジュールを睨んだ上では得策なのかもしれません。尚、(甲)に関しては下記拙稿をご参照いただければ嬉しいです。
・国連憲章における安全保障制度の整理(上)(下)
http://ameblo.jp/kabu2kaiba/entry-11137361486.html
・集団的自衛権を巡る憲法論と憲法基礎論(上)(下)
http://ameblo.jp/kabu2kaiba/entry-11137373660.html
畢竟、マックス・ウェーバーが『職業としての政治』の最終パラグラフに記した言葉。「政治とは情熱と観察力を併せ持ちつつ、堅い板に力を込めてぎりぎりと徐々に穴を穿つ営みにほかならない」を反芻するとき、--政治とは、半歩前進よりも一歩前進、一歩前進よりも二歩前進を目指す、優れて妥協と説得の芸術である以上--安倍政権には、焦ることなく、しかし、急がず弛まずこの夏でも秋でもいいから、しっかりと集団的自衛権に関する政府解釈の見直しを成し遂げて欲しい。と、そう私は考えています。
而して、私の個人的な見直しの希望日は、出征した父の銃後を福岡県大牟田市で守っていた母が、遠く有明海の彼方に長崎原爆のキノコ雲を見た日。そう、日ソ不可侵条約を破棄したソビエト軍が満州の国境線を突破して怒濤の進撃を開始した日、よって、数多の民間の日本人が不条理と暴力の嵐の渦に巻き込まれることになった日。8月9日、鴨です。
б(≧◇≦)ノ ・・・頑張ろう日本!
б(≧◇≦)ノ ・・・頑張ろう英語!
Government may put off decision on collective self-defense
The government may postpone until the summer officially changing its constitutional interpretation to enable the country to come to the defense of allies under attack, amid calls from within the ruling coalition for a careful debate on the matter, government and coalition sources said Sunday.
The government of Prime Minister Shinzo Abe had planned to change the interpretation through a decision by the Cabinet by the June 22 end of the current session of the Diet.
But at a meeting on March 6, Abe and others, including Shigeru Ishiba, secretary-general of the Liberal Democratic Party, agreed that such a decision should not be made hastily, the sources said.
The plan has already been conveyed to a senior official of the LDP’s junior coalition partner, New Komeito, which has been cautious about reinterpreting Article 9 of the Constitution in a way that would allow Japan to lift its self-imposed ban on exercising the right to collective self-defense, according to the sources.
The Abe government still plans to maintain its existing policy of seeking changes to the Self-Defense Forces law and other legislation during the next Diet session in the fall to reflect the envisioned reinterpretation of the Constitution in the revision of the Japan-U.S. defense cooperation guidelines.
But to accommodate the postponement, the government and the coalition may put off such legislative moves until the regular session of the Diet next year, the sources said.
Besides the reservations within New Komeito, the LDP itself remains divided, with Masashi Waki, secretary-general of the LDP caucus in the House of Councilors, telling a news conference earlier this month that there is a need for further internal debate.
For decades, the government has maintained that Japan has the right to collective self-defense but cannot exercise it due to limits imposed by Article 9, which forbids the use of force to settle international disputes, because doing so would go beyond the minimum necessary to defend the country.
(322 words)
【出典:Kyodo, Mar 17, 2014】
【語彙】
decision on:~に関する意志決定や判断, collective self-defense:集団的自衛権, constitutional interpretation:憲法の解釈, come to:~するに至る, amid:~のまっただ中で, ruling coalition:連立与党,
the current session of the Diet:現国会の会期, secretary-general of the Liberal Democratic Party:自民党幹事長, convey:情報や思想や意向を伝える, lift ban:禁止/禁制, self-imposed ban:自らが自己に科した禁制, exercise:権利などを行使する/権限を運用する,
the Self-Defense Forces law:自衛隊法, reflect:物事がある内容を反映する/光などを反射する, envision:想定する, the Japan-U.S. defense cooperation guidelines:日米防衛ガイドライン, accommodate:~を織り込む, legislative moves:立法処置, regular session of the Diet:通常国会(cf. special session of the Diet:特別国会),
Besides:~に加えて, secretary-general of the LDP caucus in the House of Councilors:自民党参議院幹事長, to settle international disputes:国際紛争を解決するために, the minimum necessary to defend the country:日本を守るための必要最小限の措置
【読解躓きの石】
副詞の位置について復習しておきましょう。
述語動詞と文修飾の副詞の位置の確認。
例えば、次のフレーズはどんな意味なのでしょうか。
such a decision should not be made hastily
そのような判断は・・・
①手続を幾らかスキップしたりして、慌ただしく行うべきではない
②数年くらいじっくり時間をかけるべきで近々に行うべきではない
もちろん、「正解」は①です。
その理由は?
はい、副詞のhastilyが目的語の後ろに置かれているから。
つまり、動詞修飾だからです。
cf. We should not make such a decision hastily.
基本ですが、そう、綿貫陽『基礎からよくわかる英文法』(旺文社)にも
簡潔明瞭に書かれている通り(14章2節§2-副詞の用法と位置)、
(1)述語動詞が自動詞の場合→動詞の後
(2)述語動詞が他動詞の場合→目的語の後
(3)述語動詞が助動詞+動詞の場合→両者にサンドイッチ
(4)文修飾の場合→文頭または動詞の前
尚、(2)で目的語句が長目の場合、あるいは、
発話のリズムによっては、
(2')述語動詞が他動詞の場合→動詞の前
も文法的には全く正しいセンテンスです。
同書から例文を借用させていただければ、
Mr. Brown teaches us English earnestly.(◎)
Mr. Brown earnestly teaches us English.(◎)
よって、次の一連の文修飾と動詞修飾のペアは意味が全く異なる。『基礎からよくわかる英文法』の同所、および、安井稔『納得のゆく英文解釈』(開拓社)の「はしがき」から例文を借用させていただければ、次の通りです。
Happily the cat did not die.(文修飾:その猫は幸いにも死ななかった、よかった!)
The cat did not die happily.(動詞修飾:その猫は幸せな死に方をしなかった、可哀想!)
Suddenly he stopped the car.(文修飾:どういうわけか、ふと彼は車を止めた)
He stopped the car suddenly.(動詞修飾:彼は【急ブレーキをかけて】車を止めた)
He foolishly opened the door.
He opened the door foolishly.
(文修飾:開けるなといっていたのにドアを開けたんだよ、KY! うんにゃ馬鹿か!)
(動詞修飾:力はそんないらないのに【馬鹿力で】ドアを開けたんだよ、田舎もの!)
久しぶりに『基礎からよくわかる英文法』を紐解いたついでにもう一つ、基本の確認。
関係代名詞の制限用法と非制限用法の意味の違いの復習です。次も同書の有名な例文。
She had two sons who became doctors.
She had two sons, who became doctors.
彼女には医者になった二人の息子がいた・・・
(他にも警察官やラーメン屋さんの息子がいたかもしれないけれど)
(実は、この二人の医者の息子の他には息子はいなかったけれども)
(ibid, 10章1節§1-関係代名詞の一般的用法)
尚、全く別の事柄ですが、関係節の意味把握に際して重要なことは、
関係詞の非制限用法は主節に接続副詞的なニュアンスも同時に付け加えること。
だから、非制限用法は「そして」や「ところで」だけでなく、
「けれども」とか「幸いに」とか「不幸なことに」とかとか、前後の意味の
流れを踏まえていくらか訳を膨らませる必要がある場合も少なくないことです。
【和訳】
政府、集団的自衛権を巡る判断先送りも視野に入れた模様
政府は、その変更が行われれば、攻撃を受けている同盟国軍隊を日本も守ることができるようになる、憲法の政府解釈の変更をこの夏まで先延ばしする模様だ。この件に関して連立要党内で巻き起こっている丁寧な議論を求める声を受けたもの。政府と連立与党の複数の情報筋が日曜日【2014年3月16日】そう明らかにした。
安倍晋三総理率いる日本政府は、元々、6月22日が会期末の現在の国会会期中に内閣の判断【閣議】によって集団的自衛権の解釈変更を予定していた。
それら情報筋によれば、自民党幹事長の石破茂氏を含む何人かと安倍首相との3月6日の会談の結果、しかし、安倍政権としてもこのような判断は議論を尽くすことなく慌ただしく行うべきではないという線で合意した由。
集団的自衛権の政府解釈見直し延期の方針は連立与党のパートナーである公明党幹部にもすでに伝えられた。而して、他の幾つかの野党は知らず公明党は【関係代名詞の非制限用法のニュアンスをこう訳します】、日本が自らに課してきた集団的自衛権行使に関する制約の廃止を意味する憲法9条のこのような解釈見直しにはこれまで一貫して慎重な姿勢を堅持してきた。と、そうも情報筋は語ってくれた。
安倍政権は、しかし、既定方針を粛々と実行する構えを崩してはいない。すなわち、日米防衛ガイドラインの修正に集団的自衛権に関して想定される憲法解釈見直しの結果を反映させるべく、秋の次の国会では自衛隊法等の幾つかの法改正を安倍政権は目指しているということ。
情報筋によれば、しかし、今回の政府解釈の変更延期という事態を織り込めば、政府と連立与党は自衛隊法等の改正に着手するのを来年の通常国会まで先送りせざるを得なくなるかもしれないということだ。
公明党の留保とは別に自民党内もこの件に関しては意見が分かれている。参議院自民党幹事長の脇雅史氏は今月初旬の記者会見で、集団的自衛権の政府解釈の見直しについては自民党内で更に議論が尽くされるべきだと述べているのだから。
ここ数十年間、日本の政府は次のような憲法の政府解釈を維持してきた。すなわち、日本は国際法上、集団的自衛権を保有しているけれども憲法9条の制約によってその集団的自衛権は行使できないだろう、というのも憲法9条は国際紛争を解決する手段としての武力の行使を禁じており、ならば、集団的自衛権の行使は日本防衛のための必要最小限の措置という範囲を超えてしまうことになるだろうから、と。
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