ご紹介するのは、今年、今まで読んだ中で間違いなく最高の一書。
まだ3カ月残していますが、同書を弊ブログの「Book of the year」
に認定します。
これです。
[KABU-blogs' Book of the year:2015]
▼だいすきなパパへ
▽ジェシカ・バグリー作
(日本語版の翻訳-なかがわちひろ)
▽あすなろ書房
▽2015年7月30日発行
▼BOATS FOR PAPA
▽Jessixa Bagley
▽Roaring Brook Press
▽Published, June 30, 2015
・マクミラン(←出版社のサイトよりこちらが情報が豊富でした)
http://us.macmillan.com/boatsforpapa/jessixabagley
・あすなろ書房
http://www.asunaroshobo.co.jp/home/search/index.html
日本語版でも見開きを入れて40頁の小品。
φ(。。;)・・・40頁?
だって、<絵本>なんですもの。
でもね、<絵本>侮り難しですよ。
・英語の絵本--マイブーム紹介--
http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/bf8988ec0bd52b282caa054c00122649
・図書館には英字新聞と英語の絵本を
http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/1b63943ffc859507edd6165a843d4881
本書「だいすきなパパへ--BOARTS FOR PAPA」は、
この書き出しではじまります。
バークリーと ママは、うみべの ちいさな いえに すんでいました。
つましい くらしでしたが、バークリーには ママが、ママには
バークリーが いました。
Buckley and his Mama live in a cozy cabin by the ocean.
He loves to carve boats out of the driftwood he finds on the beach nearby.
・・・
・・・
・・・
【涙・涙・涙】←多分
【めでたし、めでたし、めでたし】←多分
著者のJessixa Bagleyは、アメリカの西海岸、あのシアトルマリナーズの本拠地、シアトルがあるワシントン州のすぐ南の州、オレゴン州は--盛岡市って感じの、州唯一の<都市>である--ポートランド出身。騒がしくはないがお茶目で聡明なアフリカ系アメリカ人の才女。ワシントン大学(University of Washington≒アメリカの東北大学?)を経て、その三つのちっこいキャンパスがシアトル近傍に点在するCornish College of the Artsの卒業生です。
б(≧◇≦)ノ ・・・ポートランド、懐かしい~♪
と、著者の略歴紹介で字数を稼ぎましたが、
本書のストーリーの紹介は割愛します。
だって、<絵本>なんですもの。
しかし、<絵本>だけれども・・・。
日本語版でも表紙を入れて42頁の絵本なのだけれども、本書は--海馬之玄関ブログもまたそれを称揚・希求してやまない--アメリカの健全な保守主義の世界観に貫かれたすぐれた<哲学書>でもあると思います。
もちろん、絵本の紹介ということもあり、「アメリカの健全な保守主義」なるものについては下記拙稿をご参照いただき割愛します。而して、おそらくアメリカではどちらかと言えばリベラル、そう、著者のJessixa Bagleyは、多分、「民主党支持者=デモクラット」でアメリカの社会の中ではリベラル派に属する人物かもしれない。しかし、Jessixa Bagley女史も(←著者サイトに「ファーストネームの「x」は「c」みたいに発音するねんで」と本人が書いていますから、これ以降、著者をファーストネーム(笑)でジェシカと呼びます)、私のいう意味ではまさに「アメリカの健全な保守主義」の体現者にして信奉者と言える、鴨。
・「あしながおじさん」を貫く保守主義の人間観
http://ameblo.jp/kabu2kaiba/entry-11150365080.html
・「あしながおじさん」を貫くアメリカ保守主義の精神
http://ameblo.jp/kabu2kaiba/entry-11150343327.html
>アメリカの健全な保守主義
海馬之玄関ブログの用語法で言えば、
>やわらかな保守主義
>より形式主義的な保守主義
畢竟、保守主義とは、そう、「アメリカの健全な保守主義」、すなわち、弊ブログが希求する「やわらかな保守主義」や「より形式主義的な保守主義」とは、次のような価値観と世界観、ならば、感覚と美意識、要は、感性と心性を包摂するものでしょう。すなわち、
自己責任の原則の尊重。他者によっても生きられているこの同じ世界にそんな他者とともに生きている自分という自己認識、つまり、現象学流に言えば<他我>たる他者との<絆>の存在の確信。就中、家族や民族や国民の<絆>の存在と価値の確信。よって、過去の<他我>からの贈り物の蓄積である文化や伝統に価値を置く態度を好ましいとする世界観的と美意識。ならば、自分が家族や地域や民族の一員である<偶然>を好ましく誇りに感じる感覚・・・。
逆に言えば、アトム的な<個>なるもののみに価値の根拠を見いだすリベラリズムへの嫌悪と軽蔑。更には、例えば、マルクス主義や天賦人権論、地球市民共同体や社会契約論などのあらゆる教条を忌避し軽蔑する感覚。換言すれば、人間の有限性の自覚、よって、人間が作る政府や国家権力にあまり多くを期待しない傾向、要は、人間の万能感と権力の万能感--その裏返しとしての、「国家=必要悪」説的な国家理解や民族理解--の嘲笑・・・。
このようなアメリカの健全な保守主義の精髄が「BOATS FOR PAPA」には一閃している。
そう私は考えます。そして、幸いなことに日本語版の訳も秀逸。
・海馬之玄関ブログはより形式主義的な保守主義の再構築を期めざします
http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/95af6165e9056f2eceb4ed7470f63c8d
・保守主義-保守主義の憲法観
http://ameblo.jp/kabu2kaiba/entry-11144611678.html
・保守主義の再定義(上)~(下)
http://ameblo.jp/kabu2kaiba/entry-11145893374.html
>なかがわちひろ訳『だいすきなパパへ』
本書の日本語版『だいすきなパパへ』は秀作。
残念ながら、絵本翻訳の世界でも実はそう多くはない秀逸な日本語版。
そう考えれば、本書の日本語版の出版の意味は今の日本の社会にとって
地味だけどかなり大きい、鴨。
蓋し、しかし、
けれども、白黒はっきり言えば、
日本語版と原書は少し違います。
というか、それは似て非なるもの、鴨。
例えば、これまた最近読んだから覚えていて対照するだけですが、先月、岩波少年文庫で復刊されたオリバー・バターワース『大きなたまご:THE ENORMOUS EGG』(岩波書店・2015年←学習研究社・1968年, 松岡享子訳)を基準にして--「オリジナル版-日本語版」の落差を--比べるときそう言わざるをえない(ちなみに、『THE ENORMOUS EGG』は、すこし本格的に、「アメリカ憲法を勉強したいんですけどぉー」と思っている大学学部生以上の方には美味しい副読本です。絶版ではないはずだから、是非、原書で読んでみてください。閑話休題)。
しかし、けれども、
けれども、しかし、
繰り返しますが、私は、なかがわちひろ訳の
この日本語版は秀逸な作品だと思っています。
何を私は言いたいのか、
なかがわさん訳の日本語版は原書の本物と比較するとき、
似て非なるものかもしれない。だが、しかし、
ある意味、それは本物より本物らしいとも言える。
と、そう私は考えているということ。
蓋し、なかがわさんの訳には本書の思想はもとより騒がしくはないがお茶目で聡明な
ジェシカのテーストが上手に日本語の意味空間に逢着し華開いている。
例えば、オリジナルと違いますが冒頭の「つましい くらしでしたが、バークリーには ママが、ママには バークリーが いました」には衝撃を受けました。衝撃を受けた理由を書くとストーリー分析、つまり、ネタバレになるので自粛しますが、間違いなく素晴らしい<訳>だと思います。
б(≧◇≦)ノ ・・・みごと~♪
б(≧◇≦)ノ ・・・中川千尋、侮り難し!!
蓋し、本書は日本語版とともに原書もあわせて読めば
感動は2倍ではなく2乗になる<絵本>なの、鴨。
(もちろん、元の「数」は2以上、為念)
蓋し、本書『だいすきなパパへ:BOATS FOR PAPA』は
そんな<絵本>だと思います。
>なにー?
>うち英語苦手だっぽ、
>ですとぉー(笑)
本書の英語はすごく簡単だから大丈夫ですよ。そう、見開き2頁に2~3個くらいかな、辞書ひかなければいけないのは。そして、単語の意味を適宜説明すれば、年長さんから上のお子様なら理解できます。これ原書も日本語版も同じでしょう。で、そうなれば、原書での読み聞かせは英語の勉強にもなる、鴨。
児童英語教育も実は専門だったりする私がそう断言します。
V(^◇^)ノ 一挙両得
V(^◇^)ノ ウマウマ
ということで、本書『だいすきなパパへ:BOATS FOR PAPA』を
下は年長さんから上は年齢制限なしですべての保守派の皆様に推薦します。
というか、本書を好ましいと感じた方は<保守派>なんですよね、多分。
ではでは、ここまで読んでいただき有り難うご・・・
・・・ありがとう、とう、
とう、と、あっ、あ、
重要なこと忘れるところでした。
>読み聞かせを始めるときには
>ハンカチの準備忘れないように
<(_ _)> <(_ _)> ←KABU&元KABU