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書評:やなせたかし「クシャラひめ」

2013年11月01日 14時04分32秒 | 書評のコーナー



本書『クシャラひめ』(フレーベル館・2013年8月)は、あの「アンパンマン」の--というか私的には「ドキンちゃん」のですけれど--やなせたかしさんの実質的な<遺作>となった一書です。初版の発行は、1986年1月ですけれど、2013年8月付の著者の「あとがき」がついていますから(涙)。

本書の内容は、あとがきにも書かれている通り『美女と野獣』の道具立てを踏まえた--魔法をかけられて人間世界から<隔離>されている貴種を、心優しいお姫様が救うという例のパターンを踏まえた--ものですけれど、その<お姫様>の設定にやなせさんらしい一ひねりが加えられている。それ以上は、ネタバレになるのでここでとどめますけれど、

要は、自分の鼻が低いことにコンプレックスを抱えているお姫様。
だから、彼女は、ボール紙で作った三角形の鼻をいつも身に着けていた、と。


児童書で、文字も大きいのにページ数は「あとがき」を入れて79頁の小著。これ以上の、余計な解説は不要でしょう。而して、私が感じたのは--ボール紙で作った三角形の鼻を取った低い鼻の--「お姫様=クシャラひめ」のイラスト全8カットを見ても、素顔のクシャラひめは大変可愛いと思えること(特に、46頁と70頁の、クシャラひめは可愛い!)。

蓋し、これもまた私の言う<ほどほど>が一番可愛いと思う日本人の美意識(↓下記URLの拙稿参照)のなせる業でしょうか。


・日本人の究極の美意識としての<ほどほど>が一番可愛い?
 http://ameblo.jp/kabu2kaiba/entry-11644425055.html


いずれにせよ、本書は大人の鑑賞にも堪える良質の児童書だと思います。
ということで、機会がおありになるようであれば本書のご一読をおすすめします。

そして、いずれにせよ、

いずれにせよ、


やなせたかしさんのご冥福をお祈り申し上げます。



<(_ _)> <(_ _)>












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