タイトルだけ覚えてて、内容に関しては、なんとなく戦争映画というくらいしか知らなかった。
つい最近、映画評を見て、いてもたってもいられなくなり、レンタルした。
ニューギニア戦線は、食糧補給もないまま、行軍を続け、泥水を飲み、生きているものなら何でも食べる
という極限状態であったという。その帰還兵である奥崎謙三のドキュメンタリー。
戦地で終戦後に上官に処刑された兵士の真相追及がメインテーマである。
かつての上官を探し、そして真相を暴いてゆく。その手法は、恫喝と暴力。殴る、蹴る。
派手な宣伝カーに乗り、アジテーションする冒頭、この男の精神が破たんしていると思えた。
しかし、その言行動は、逸脱しているが、「戦争を許さない」という貫かれた意志に気づいたとき、
至極まともな人間に思えた。
最近、主張のマイノリティーについて考えさせられる。
正論は怒涛のごとく、いとも簡単にマイノリティーを押しつぶすことをいとわない。
しかし、少数の反対意見は、数は少なくとも重みがある場合も多々ある。
そこを見誤るといずれ権力者の意のままにされはしまいか。
「はだしのゲン」は、そもそも人気マンガなので、今さら閉架がどうこうというのは、ナンセンスなのだ。
すなわち、そこでの批判は多数であることがすでに前提の安全な批判である。
残虐さゆえに戦争を否定するのは、動機として弱いと思う。だから、「はだしのゲン」をはじめ、
そういったショック描写を反戦の根拠に据えるのは稚拙ではあるまいか。
戦争は、国民が騙され続けたが故に否定されるべきだと思う。国が国民を欺くなど本末転倒。
戦争について考えることを再スタートさせられた。