ゴールは見えたが、まだまだ遠くに霞んでいる。
海岸沿いのスペースで古民具のような脱穀機を使っているご夫婦がいた。
写真撮ってもいいですか?と聞くと「ええ~?」と言われるも
「いいよ~」と言ってくださる。
小規模の脱穀ならこの人力の方が便利なんだそうだ。
「機械は塩害ですぐ駄目になっから」とご主人
なるほど、島ならではの理由もあるのね。
「今日はリュック背負った人が一杯走ってるね~」と言われるので
佐渡1周している事を伝えると驚きながら
「がんばってね~」と応援してくれた。
うろこ状な文様の巨岩
溶岩による奇妙な岸壁
短い距離に色々な景色が広がる。
後半の難所である激坂に入る。
もちろん走れるはずなど無い。
一時、道端の鈴蘭で現実逃避・・・
まだまだ続くよ~
海抜0mからここまで上って来た。
一気に下り小さな漁村を通過
下り坂でセレブ3人組のお姉さま方に追いついた。
次の坂が見えているのが微妙にイヤン・・・
次の上り坂に取り掛かる。
歩きは遅いので、セレブな方々に追い抜かれる。
上りきったところの蕎麦畠は今年も満開。
上った後はジェットコースター並みの下り坂
めっちゃ下る
再び海抜0mまで降りる。
下りでセレブな方々に追いつく。
この時の会話は、「自販機無いね」
陽が傾いてきたとはいえ、まだ暑く
2度の上りで消費して水分が少なくなっていた。
ここから4kmに渡るなが~い素浜
その間、自販機があった記憶は無い
中間辺りのトイレの前に水道はあったはずだが・・・
セレブな方々と4人で進んでいくと、青少年の家の脇に自販機を発見。
喜び勇んで駆け寄るも、シーズンオフですべての商品が抜かれており売り切れ中。
がっかり・・・
失意の為か、疲れが出てきたのか、セレブ3人組から遅れ始める。
まだまだ続く直線路。
セレブな方々は順調なペースで離れていき、ゴールまで出会うことは無かった。
素浜を3km行ったところでようやく水道に辿り着く。
ペットボトルに継ぎ足せた。
素浜の終わりが見えた頃に、マントをひるがえしたタイガーマスク女子が颯爽と現れ
ぶち抜かれる。
後で聞いた話だが、この方、小木と宿根木の2ヵ所でたらい舟に乗ったそうだ。
さすが川の道ランナー。
素浜の終わりに辿り着き、右に曲がり上り坂を上って行く。
振り返ると既に太陽は西に傾いている。
えっちらおっちら上って行くと国道350に復帰
早いものでもう17時
夕陽に映える弁天岩
2回目の夕陽に出会う頃
コース上、一番嫌いな坂に辿り着く。
上って上って、終わりと思うじゃん?
更に上って行くわけよ・・・
先の勾配がゆるくなって、ピークかと思うじゃん
嘘ピーク!
こんな嘘ピークが何度も続き、体力、気力を削り取っていく・・・。
2回目だから覚悟が出来ていたが、最初の時は絶望の連続だったなぁ
前回オアシスに思えた商店は18時半には閉店している。
そこからひとつピークを越えたら、ようやく下りに入る。
楽になるかと思えば、歩道が無く、交通量も多いので、
気を付けながら走るのも気疲れする。
ようやく海沿いまで下り、歩道も復活してホッと一息。
しばらくはフラットな道。
街の灯りが見えてくる。
真野の街に入る。
歩道は細く、でこぼこしている為、疲れた足には辛い。
交通量もまだ多く、油断も出来ない。
前回コースは、海沿いの歩道を走ったが、今回は佐和田の商店街を通る。
時刻は21時近く。
佐和田の町に入る頃には、車はめっきり少なくなっていた。
街中で何組かのランナーを抜いたが、皆、足を引き摺ったり蛇行している。
私も途中、酒屋さんの前で座り込んで、靴を脱いで休憩した。
もう、足の裏は痛いわ、坐骨神経痛はあるわ、ザック背負った肩は痛いわ
でも進まなきゃ終わらない。
商店街を通り過ぎると、海沿いの歩道に出る。
外灯も無く真っ暗だが、フラットなので走りやすい。
やっと来ました、県道45号への分岐
ここからめおと岩まで8.8kmの表示。
約200km 時刻は22時過ぎ。
ここから最後の難関が始まる。
分岐してすぐに強烈な上り坂が続く。
もう少しだと思えるから頑張れる。
ずっと歩き倒して下りに入る。
対岸の灯りが見える。
あそこから来たかと思うと感慨もひとしお。
その対岸から見えた火力発電所の横を通り過ぎると
小さな集落がある。
バス停の小屋でランナーが寝ている。
もう少しなのに、睡魔に耐えられなかったのだろう。
幸い、私は眠気は感じていない。
ただ、足裏やお尻は本当に痛くて、何度も立ち止まる。
何度か上り下りがあるが、もうずっと歩いているので、あまり関係ない。
300mくらい後方にヘッドライトの光がチラチラしている。
もうこっちは走れないし、抜くなら勝手に抜いてくれ~と思っているが、
距離は縮まないので、向こうも状況は同じなのだろう。
来るときバスから見えた、巨岩と合体している家の横を通り過ぎ、
「あと3kmくらいだっけ?」とか思っていたら
「めおと岩まで1km」の標識。
え? あとたったの1km!?
時刻はもうすぐ0時
不思議なものである。
3kmだと思っていたら1kmだった。
もうすぐ日付が変わってしまう。
後ろからランナーが迫っている。
気が付けば、痛くて痛くてしょうがなかった脚で走り出していた。
とてもラストスパートとは言えないスピードだが、走っていた。
途中で日付が変わってしまったが、それでも走り続ける。
やっぱり気持ちなんだよねぇ。
コーナーを回ると、見覚えのある二つの岩が迎えてくれる。
階段を這うように上り、温かそうな光の中へ
ゴーーーール!!
スタッフ、その場に居たランナー達が迎えてくれる。
佐渡島1周 208km 42時間02分
とても褒められたタイムでは無いが、現状の私ではこれが精一杯
完走出来ただけでも満足
「ビールとかハヤシライスとかあるよ」と言われたが
「先に汗流しにお風呂いってきま~す」と部屋へと戻る。
帰り着いた部屋は真っ暗で、皆様爆睡中
起さないよう、そっと着替えを取り、浴室へ
身体を洗い、ゆっくりと湯船に浸かる。
風呂から上がるとロビーへ
ハヤシライス、ポトフ、ビールを貰い、
その場に居たランナー達と、かんぱ~い!!
暑かったね~!後半の坂イヤだね~!たらい船乗った~?
などと、各々の経験を語る。
ビール、もう1本くらい行きたかったが、残念ながら自販機は売り切れ~。
諦めて眠りにつく。
前回は早く寝たので、早起きして最終ランナーを出迎えたが
今回はギリギリまで爆睡
起きると荷物をまとめ
朝食と言う名の宴会に突入。
完走した人も、リタイアした人も
ランナーもスタッフも関係なく
話題は佐渡島1周
私も、いつも会うウルトラ常連さん、沖縄組、みちのくジャーニー、友達繋がりの
人達といろんな話もできた。
新しい出会いも沢山あった。
表彰式に続き、壇上で私の番号と名前が呼ばれる。
なんだろう?と思っていると
日付変わって24日の最初のゴールということで
飛び賞が当たったのだ
副賞は佐渡米のコシヒカリ・・・・重っ!!
楽しい時間もやがては終わる
宴会はお開きとなり
大会側が用意してくれたバスへぞろぞろと乗り込む。
普通の路線バスなので、ほとんどが立ち乗り。
立ち乗りはいいんだけど、つり革に掴まっている指が攣るのにはまいった・・・。
両手3本づつくらい攣って、1人で「イテテイテテ」と悶絶しておりました。
帰りのフェリーは4回目にして初のおけさ丸
ときわ丸よりは古い感じですね。
さらば!佐渡島!!
皆さんはラウンジで集まり2次会をしているが
私は、朝宴会だけで既に呑み過ぎで2等客室でダウン。
寝ている間に船は新潟港へ
混み混みなバスで新潟駅まで行くと、新幹線で一路東京へ。
無事帰宅。
後日送られてきた完走証。
ゴール写真、撮ったはずなのに集合写真になってた。
自分のスマホでも撮ってて良かったよ。
佐渡島は本当に魅力的な島で、いずれは山のほうも探検してみたいです。
この大会は制限時間も長く、宿も基本皆一緒のパッケージになっているので
超ウルトラ入門にはぴったりじゃないでしょうか?
もちろん、マジに走っても走り応えのあるコースです。
あなたも秋の佐渡島を走ってみませんか?