飯沼雅行先生より標記の新刊(清文堂出版、2023年10月、A4判、全324頁)を1冊、私にも贈ってくださりました。ありがとうございます。
江戸時代の畿内淀川流域は、幕府直轄地のほか藩領・旗本領などさまざまな支配形態が混在するような社会でした。幕府機関は、支配領域の垣根を越え一定の村々に対して同じ役目を課すことがあり、それを幕府広域役と呼んでいます。飯沼先生は、朝鮮通信使・琉球使節といった外国使節の淀川通航を素材にしながら、その幕府広域役のありようを描きだしました。同じく公用通行の補助をテーマにしつつ、玉井建也氏や私が瀬戸内の芸予・防予海域という藩領世界を対象にしたのとは対照的な研究です。第2部「地域から見た淀川筋綱引役」第1章「綱引役の命令と情報の伝達」における研究史の整理で、私の研究に言及してくれています。