(―――「アスラン、どうしよう…相手役の男子とキスしなきゃいけなくなって…」)
心細そうに、瞳を潤ませてアスランを見上げるカガリ。
(―――「…アスラン…助けて…」)
アスランの脳裏は、切なげに懇願する彼女の姿で溢れかえっていた。(注意:実際の本人は何も考えず、ジュースを黙々と飲んでいます。)
―――「だったらやるしかないじゃないか!!」――
「…やる…」
「え!今言ったね?「やる」って言ったよね!はい、ちゃんと録音しましたー!!」
マユラがどこに隠し持っていたのかスマートフォンを高く掲げて見せると、演劇部三人娘の歓声とハイタッチが6畳の部室に響き渡った。
アスランはしばらくぽかんと口を開けたままだった。
やられた…策士であっても、人間関係や心の機微を体験してこなければ、頭脳も全くの愚具である。上手く立ち回るどころか見事に3人娘に乗せられてしまった。今更ながら他者との交わりを最低限に抑えてきたことに後悔が過った。
「で、今年の演目は何なんだ?」
カガリが気を取り直して問えば、今まで背中を向けていたジュリが台本を二冊、アスランとカガリの前に置いた。
「『ロミオとジュリエット』? へ~大作だな。」
カガリが感心したように、台本をパラパラとめくる。確かに今までは童話が中心だった演目が、いきなり演劇の最高峰を行うとは。しかも正規部員じゃない二人に演じさせるという。
アスランは自分以外の誰かがカガリに触れる上に彼女とハッピーエンドになるなんて、演技であっても抵抗感があり「やる」と言った手前断れないが、この題目では悲劇だ。家柄は敵同士、しかも互いにすれ違った結果、二人とも死を選ぶという悲しい結末を迎えるストーリー。「シェークスピアの4大悲劇」。これではカガリとは結ばれないのだから、演劇部3人娘に一杯食わされてしまった気がする。
すると―――
・・・続きはこちらから。
―――今回は「ニクイあんちきしょう、その1」登場!
心細そうに、瞳を潤ませてアスランを見上げるカガリ。
(―――「…アスラン…助けて…」)
アスランの脳裏は、切なげに懇願する彼女の姿で溢れかえっていた。(注意:実際の本人は何も考えず、ジュースを黙々と飲んでいます。)
―――「だったらやるしかないじゃないか!!」――
「…やる…」
「え!今言ったね?「やる」って言ったよね!はい、ちゃんと録音しましたー!!」
マユラがどこに隠し持っていたのかスマートフォンを高く掲げて見せると、演劇部三人娘の歓声とハイタッチが6畳の部室に響き渡った。
アスランはしばらくぽかんと口を開けたままだった。
やられた…策士であっても、人間関係や心の機微を体験してこなければ、頭脳も全くの愚具である。上手く立ち回るどころか見事に3人娘に乗せられてしまった。今更ながら他者との交わりを最低限に抑えてきたことに後悔が過った。
「で、今年の演目は何なんだ?」
カガリが気を取り直して問えば、今まで背中を向けていたジュリが台本を二冊、アスランとカガリの前に置いた。
「『ロミオとジュリエット』? へ~大作だな。」
カガリが感心したように、台本をパラパラとめくる。確かに今までは童話が中心だった演目が、いきなり演劇の最高峰を行うとは。しかも正規部員じゃない二人に演じさせるという。
アスランは自分以外の誰かがカガリに触れる上に彼女とハッピーエンドになるなんて、演技であっても抵抗感があり「やる」と言った手前断れないが、この題目では悲劇だ。家柄は敵同士、しかも互いにすれ違った結果、二人とも死を選ぶという悲しい結末を迎えるストーリー。「シェークスピアの4大悲劇」。これではカガリとは結ばれないのだから、演劇部3人娘に一杯食わされてしまった気がする。
すると―――
・・・続きはこちらから。
―――今回は「ニクイあんちきしょう、その1」登場!