12月24日―――
今年は丁度日曜日だ。
おかげで公務も休日。だが、細かな仕事が片付いていないため、結局は一度行政府に出向いた。
(その方がいい。仕事をしている時の方が気がまぎれる。)
カガリは秘書も誰もいないデスクで昨日の彼女たちのやり取りを思い出す。
―――「明日は家族でホームパーティーなの」
―――「私は彼とデートで」
―――「大変!うちの子のプレゼント、まだ用意してなかったわ!」
(みんな幸せそうでいいな。)
少しばかりの寂しさを抱えアスハ邸に戻れば、マーナたちがクリスマスらしい七面鳥のローストやシャンパンなどを用意してくれていた。
「姫様、本日くらいは張り詰めたお気持ちを緩めてもいいのでは?」
そう微笑んでくれるマーナに、カガリは気持ちを切り替える。
(私にだって家族はいるんだ。)
「そうだな。折角だ!みんなで楽しく過ごそう。ほらほら、お前たちも席に着けよ。」
「か、カガリ様!?我々は従者であって―――」
「いいから♪ 今日は無礼講だ!」
メイドやバトラーたちも同じ席に着くように言い、つかの間アスハ家のクリスマスパーティーを楽しんだ。
だが、いざ自室に一人きりになると、忘れようとしていた寂しさがこみあげてくる。
「今頃みんな、楽しんでいるんだろうな…」
いいや、明日は月曜日だぞ?仕事があるんだぞ?
というわけで、早く寝よう!
「おやすみっ!」
寝れば次に瞼を開くころには眩しい朝日が差し込んでいる。そして、寂しさなんて感じようもないほど忙しい一日がまた始まるんだ。
そう言い聞かせてカガリは頭から毛布をかぶって、早々に寝ることにした。
<ボーン>
屋敷の時計が12月25日深夜0時を告げている。
いつもなら気にも留めない音なのに、なぜか目が覚めた。
「…早く寝すぎたからかな…」
もう一度布団にもぐれば次は朝だ。
だが
<カタ>
「…ん…?」
物音がしたのは気のせいか。風でも出てきたのか。
カガリはもう一度寝直そうとしたら
<カタン、カタカタ…>
「~~~っ!!なんだよっ!風か?もし泥棒だったら軍事教練を受けたこの腕で締め上げてやる!」
普通の女性なら恐怖で足も竦むだろうが、カガリにはそうはいかない。
(もし不審者なら、よくこのセキュリティーを越えたとほめてやりたいが、相手が悪かったな。己の不幸を呪うがいい!)
カガリがベッドから飛び起き、慎重にテラスに向かい、大窓からそっと様子を伺うと、そこには間違いなく人影があった
「っ!」
(やっぱり不審者の手合いか!?丁度いい、締め上げてやる!)
カガリが構えの姿勢をとる、すると、
「すまないな、泥棒じゃなくって」
(え…)
月明りを背に、聞き馴染んだ声が近づいてきた。
「こんばんは。サンタクロース…っていうには、格好が不釣り合いだな。」
自嘲する彼は確かに黒いコートに近い色のシャツ、そして黒のロンググローブに、ここだけクリスマスに近い臙脂のネクタイ。
夜空に溶ける髪色と、そして星の光を宿したような翡翠。
(夢?―――いや、違う!)
―――続きは、大人の方のみpixivへ♥
***
メリークリスマス!
皆さまはどんなクリスマスを過ごされましたでしょうか?
そんなこんなで、今年のクリスマスSS、最終話をpixivのほうにUPいたしました。
もちろんR18ですので、大人の方のみ、飛んで行ってみてください。
今回のテーマは、クリスマス、というより「香水」です。
いつ発売になるのかわからないのですが、前日SEEDキャラをイメージした香水が発売になる、というのを目にしまして。
最近キャラクター香水が流行っていますが、種もいつか出ないかな~と思っていましたら案の定(笑)
果たしてアスカガが、どんな香りになるのかわかりませんが、現存する香水の意味からイメージしてカキカキしてみました。
タイトルのフランス語は、訳すと「夜間飛行」になりますが、これはゲランの香水です。
男性に負けず、自分を貫く芯のある女性をイメージして作った、そうなので、カガリにぴったりだな、と。
で「エゴイスト」のほうですが、一見するとアスランらしくないですが、ある意味カガリに対しての個人的感情は「エゴイスト」であってほしい希望で(笑) ストイックな彼が、彼女の意志に反することはしないでしょうし、カガリも多分しないでしょうけれど、本音の部分で男女としての幸せを手にしてほしいなという思いを込めてます。
カガリは国の礎になるだけでなく、個人として幸せになってほしいんですよね。
果たして劇場版、この二人にどんな結末をもたらすのかわかりませんが、キララクもアスカガも、みんな幸せなエンドが迎えられることを祈ってます(ー人ー)