今年の元旦、いつものように自宅で駅伝をスタートからゴールまで見て過ごす、というわけにはいかない事情があった。朝、雑煮を食べながら1区のランナーの走りを見て、タスキ渡しを終えた時点で外出し、帰宅したらちょうど5区の中継点だった。
見ていて、「あれ?」と思った。旭化成がいない!1区で、アテネ五輪代表の大野龍二が久しぶりに快走を見せ、トップから13秒差の4位でタスキをつないだのに、なかなか中継点にやって来ない。20位以内にも入ってないなんて?画面は昨年の箱根駅伝で「山の神」の異名をとり、トヨタ自動車九州に入った今井正人より10秒差でタスキを受け取り、あっさりと抜き去った中国電力の“神様、仏様、アツシ様”の佐藤敦之の姿と、トップを独走するコニカミノルタの坪田智夫の姿を映していて、旭化成の様子がわからない。何が起こったのか?しかも、カネボウもまだ来ない?「駅伝の2大古豪」に何が起こったのか?
昼食を摂った後、再び出かけなければいけなかった。
夕方帰宅し、夜ビデオを2区から再生し、ようやく事態が判明した。旭化成の佐藤智之にカネボウの瀬戸智弘、五輪のマラソン代表選考レースでの活躍が期待できる2人の「エース」が揃ってブレーキを起こしていたのだ。旭化成が37チーム中35位、カネボウが36位でタスキをつなぐ、というまさかの展開となった。瀬戸の失速の原因は右足ふくらはぎのケイレン。これは突発的な不測の事態だったのかもしれないが、佐藤はウイルス性の嘔吐下痢症だったというが、これはスタート前に分からなかったのだろうか?当日のエントリー変更の締切りに間に合わなかったのであろうか?
新年早々、見たくない光景だった。翌日の箱根駅伝での史上最多の3校棄権よりも胸が痛む光景だった。なんとかタスキをつなげたのが、救いだったが、両者とも今後のマラソンにも影響しそうである。
気を取り直して、他のランナーを見れば、確かにニューイヤー駅伝は2区こそが最大の見所だ。1区のトップから3秒差で太田崇からタスキを受け取った、優勝候補の筆頭、コニカミノルタは、昨年、5000mの日本記録保持者となった松宮隆行がトップに立ち、3区につなぐ時点で2位のSUBARUに1分20秒の差をつけた。22kmを1時間2分28秒で走り区間賞を獲得。区間2位は24人抜きのトヨタ自動車九州の三津谷裕で1時間2分46秒。2人の記録は、単純計算すれば、ハーフマラソンの日本最高記録を上回っている!!
最長区間の2区は、まさに「エースの競演」の場だ。松宮、三津谷ばかりではない。10人以上のごぼう抜きで大きく順位を上げたのは日産自動車の上岡宏次に、四国電力の野口憲司に、大塚製薬の井川重史に、JR東日本の藤原新。順位は下げてしまったが、今年も安川電機の飛松誠の肩をいからせた走りが見られた。彼が小学校時代にはわんぱく相撲の全国大会に出ていた、という事実には驚いたがある面では納得した。
個人的に溜飲が下がったのは、愛三工業の井幡政等と中国電力の尾方剛との並走シーンだった。箱根駅伝ファンならご記憶だろう。'94年の山梨学院大優勝時の1区(井幡)と10区(緒方)が14年後も実業団でエースとして堂々と走っている!!井幡を引き離した34歳の尾方と競り合ったのが、33歳の四国電力の野口、というのもたまらなかった。我が「準・地元」ともいうべき四電がこんな好位置で走るのを見るのは初めてだ。
7人抜きで4位に順位を上げた尾方だが、去年の世界選手権マラソン5位入賞という結果は、北京五輪代表に選ばれるにはまだ微妙だ。今日の走りもアピールのつもりだったろうが、まあ、彼ならこれくらいで走って当然、というところか。
外国人ランナーを2区に起用してはいけないという現行ルールには異議ありだが、今回は外国人ランナーを1区と3区、どちらに使うかでチーム事情を伺うことができた。1区に起用することで、先行逃げ切りを図ろうとするチームと、3区に起用することで、2区の日本人エースの失速を回復させようとするチーム。
1区の区間賞を獲得したのはSUBARUのエチオピア人ランナー、ギルマ・アセファだったが、2区の高橋憲昭がよくふんばり2位を確保した。NTNもジェームス・ムワンギから5位でタスキを受け取った北岡幸浩が3位に順位を上げた。逆に日立電線は2区で大きく順位が下がったし、トヨタ自動車や愛知製鋼は1区のケニア人が奮わず、それが後続にも影響した。
今回は3区に外国人を起用するチームが多かったが、区間賞を獲得した日清食品のガトゥニ・ゲディオンは瀬戸と佐藤同様に、予想外の不振だった徳本一善から27位で受け取り、13位まで順位を上げた。去年の福岡国際マラソンで初マラソンいきなりコースレコードのサムエル・ワンジルはトヨタ九州を2位まで押し上げたがコニカミノルタとの差は2分9秒。3位はホンダ、4位はトヨタ紡織と順位が大きく入れ替わる。
旭化成とカネボウはもはや上位争いには加われない。あろうことか、カネボウは「繰り上げスタート」まで食らった。
(つづく)
見ていて、「あれ?」と思った。旭化成がいない!1区で、アテネ五輪代表の大野龍二が久しぶりに快走を見せ、トップから13秒差の4位でタスキをつないだのに、なかなか中継点にやって来ない。20位以内にも入ってないなんて?画面は昨年の箱根駅伝で「山の神」の異名をとり、トヨタ自動車九州に入った今井正人より10秒差でタスキを受け取り、あっさりと抜き去った中国電力の“神様、仏様、アツシ様”の佐藤敦之の姿と、トップを独走するコニカミノルタの坪田智夫の姿を映していて、旭化成の様子がわからない。何が起こったのか?しかも、カネボウもまだ来ない?「駅伝の2大古豪」に何が起こったのか?
昼食を摂った後、再び出かけなければいけなかった。
夕方帰宅し、夜ビデオを2区から再生し、ようやく事態が判明した。旭化成の佐藤智之にカネボウの瀬戸智弘、五輪のマラソン代表選考レースでの活躍が期待できる2人の「エース」が揃ってブレーキを起こしていたのだ。旭化成が37チーム中35位、カネボウが36位でタスキをつなぐ、というまさかの展開となった。瀬戸の失速の原因は右足ふくらはぎのケイレン。これは突発的な不測の事態だったのかもしれないが、佐藤はウイルス性の嘔吐下痢症だったというが、これはスタート前に分からなかったのだろうか?当日のエントリー変更の締切りに間に合わなかったのであろうか?
新年早々、見たくない光景だった。翌日の箱根駅伝での史上最多の3校棄権よりも胸が痛む光景だった。なんとかタスキをつなげたのが、救いだったが、両者とも今後のマラソンにも影響しそうである。
気を取り直して、他のランナーを見れば、確かにニューイヤー駅伝は2区こそが最大の見所だ。1区のトップから3秒差で太田崇からタスキを受け取った、優勝候補の筆頭、コニカミノルタは、昨年、5000mの日本記録保持者となった松宮隆行がトップに立ち、3区につなぐ時点で2位のSUBARUに1分20秒の差をつけた。22kmを1時間2分28秒で走り区間賞を獲得。区間2位は24人抜きのトヨタ自動車九州の三津谷裕で1時間2分46秒。2人の記録は、単純計算すれば、ハーフマラソンの日本最高記録を上回っている!!
最長区間の2区は、まさに「エースの競演」の場だ。松宮、三津谷ばかりではない。10人以上のごぼう抜きで大きく順位を上げたのは日産自動車の上岡宏次に、四国電力の野口憲司に、大塚製薬の井川重史に、JR東日本の藤原新。順位は下げてしまったが、今年も安川電機の飛松誠の肩をいからせた走りが見られた。彼が小学校時代にはわんぱく相撲の全国大会に出ていた、という事実には驚いたがある面では納得した。
個人的に溜飲が下がったのは、愛三工業の井幡政等と中国電力の尾方剛との並走シーンだった。箱根駅伝ファンならご記憶だろう。'94年の山梨学院大優勝時の1区(井幡)と10区(緒方)が14年後も実業団でエースとして堂々と走っている!!井幡を引き離した34歳の尾方と競り合ったのが、33歳の四国電力の野口、というのもたまらなかった。我が「準・地元」ともいうべき四電がこんな好位置で走るのを見るのは初めてだ。
7人抜きで4位に順位を上げた尾方だが、去年の世界選手権マラソン5位入賞という結果は、北京五輪代表に選ばれるにはまだ微妙だ。今日の走りもアピールのつもりだったろうが、まあ、彼ならこれくらいで走って当然、というところか。
外国人ランナーを2区に起用してはいけないという現行ルールには異議ありだが、今回は外国人ランナーを1区と3区、どちらに使うかでチーム事情を伺うことができた。1区に起用することで、先行逃げ切りを図ろうとするチームと、3区に起用することで、2区の日本人エースの失速を回復させようとするチーム。
1区の区間賞を獲得したのはSUBARUのエチオピア人ランナー、ギルマ・アセファだったが、2区の高橋憲昭がよくふんばり2位を確保した。NTNもジェームス・ムワンギから5位でタスキを受け取った北岡幸浩が3位に順位を上げた。逆に日立電線は2区で大きく順位が下がったし、トヨタ自動車や愛知製鋼は1区のケニア人が奮わず、それが後続にも影響した。
今回は3区に外国人を起用するチームが多かったが、区間賞を獲得した日清食品のガトゥニ・ゲディオンは瀬戸と佐藤同様に、予想外の不振だった徳本一善から27位で受け取り、13位まで順位を上げた。去年の福岡国際マラソンで初マラソンいきなりコースレコードのサムエル・ワンジルはトヨタ九州を2位まで押し上げたがコニカミノルタとの差は2分9秒。3位はホンダ、4位はトヨタ紡織と順位が大きく入れ替わる。
旭化成とカネボウはもはや上位争いには加われない。あろうことか、カネボウは「繰り上げスタート」まで食らった。
(つづく)
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