KANCHAN'S AID STATION 4~感情的マラソン論

マラソンを愛する皆様、こんにちは。
2022年は積極的に更新していく心算です。

輝け、日本マラソン大賞2004~特別賞vol.2

2004年12月29日 | 日本マラソン大賞
そろそろ完結したいところですが、まだまだ続きます。

ベスト・ブック賞
「オリンピック・アテネ大会 マラソン金メダルへのセオリー」 金哲彦 メディア・ファクトリー刊

「ベスト解説者賞」の有力候補でもあった金哲彦氏による、アテネ五輪のマラソンのガイド・ブックという性格の本だが、五輪代表決定以来、代表選手そっちのけで、落選した選手ばかり追い駆けまわすマスコミの姿勢にうんざりしていた僕には、実にありがたい本だった。
「日本の女子は金メダルの可能性が高く、男子にもチャンスはある。」
という予想は見事に的中した。彼のかつての上司であり、落選した選手の監督は、
「あのメンバーで金メダルは無理だ。」
などという暴言(なぜ、これを「暴言」と断じるメディアが無かったのか?)を吐いていたのだが。ちなみに、編集を担当している豊田たみさんは彼の奥さんである。(元リクルートの社員)

ベスト・アナウンサー賞
森脇 淳(東海テレビ)

今年の名古屋国際女子マラソンの中継を担当した人だが、「名セリフ賞」か「名実況賞」とも言えそうだ。なんといっても、30km地点まで、レースを積極的に引っ張っていた土佐に対して言った言葉、
「やはり土佐礼子は、土佐礼子でした。」

これが、僕としては、あの
「栄光への架け橋だ!」
よりも印象的だった。
このレースでは、土佐の逆転の瞬間、沿道から聞こえた、
「とされいこ、アテネが待っとるよ!」
これも名セリフだった。このレースのビデオ、何回見ただろうか。

ベスト・カンパニー賞
NTT西日本

「企業スポーツは冬の時代」と言われる中、「休部」というのは事実上、「廃部」と同義語である。そんな状況の中、会社からの支援を打ち切られる中、ニューイヤー駅伝に出場し、マラソンでも自己ベストをマークする選手が続出したNTT西日本広島の陸上部員たち。彼らの活躍が、国近友昭や細川道隆ら他チームに移籍した元チームメイトや、同様の環境でトレーニングを続ける大阪の大崎悟史らにも影響を与えたのだと思う。そして、彼らの活躍が会社を動かした。広島の主力選手たちが大阪の大崎らと合流する形で、新生NTT西日本が誕生した。
電電中国からの伝統を引き継ぐ、NTT西日本広島が消滅したことに一抹の寂しさを感じるが、NTT西日本本社の「英断」は評価したいと思う。

「マラソン大賞」というのは、結局のところ、僕自身にとって、この1年のマラソン界はどのようなものであったかを示すものなのである。
毎年、「最優秀特別賞」という賞を用意しているが、これは、僕が直接、面識を持った選手ならびに関係者に贈っている。去年、この賞を贈った、星野芳美さん、今年は愛媛マラソン、大田原マラソン、河口湖マラソンに優勝し、長野マラソンで自己記録を更新した。今年も「賞」に値する活躍ぶりだったと思う。

そして、もう一人。

村井啓一(NTT西日本大阪~NTT西日本愛媛)

土佐礼子の夫として、全国のマラソン・ファンにも知られるようになった人だ。土佐がインタビューで、
「支え続けてきた人に感謝して」
と口にする時、僕は彼のことを思い出していた。

今なら話してもいいと思うエピソードだが、村井君は3月まで、NTT大阪で大崎悟史とともに働いていたのだが、東京での彼の走りをDVDに録画し、昆明でトレーニングする土佐に送っていたのだという。名古屋での彼女の積極的なレース運びは、大崎のレースに影響されたものだったかもしれない。

僕もさまざまな面でお世話になった。土佐礼子の応援掲示板に誹謗中傷の書き込みが集中し、閉鎖せざるを得なくなった時にも、彼から励ましの言葉をいただいた。本当に、ありがとう。

土佐礼子はほとんど、今年の「裏マラソン大賞」という感じだが、最後に、これだけは言っておきたい。土佐は確かに僕の住む町で生まれ育ち、僕が卒業した大学の陸上部から実業団入りした選手だ。そのことが僕が彼女を応援してきた最大の理由である。アテネ五輪の酷暑の難コースでも、
「やはり土佐礼子は土佐礼子だった。」

もし、彼女が愛媛出身でなかったとしても、あるいは、もし僕が愛媛出身でなかったとしても、僕は彼女のファンになっていただろう。

アテネでの彼女のレースを見て、僕はそう思った。



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