びわ湖毎日、名古屋国際女子と世界選手権の代表を決める最終選考レース、いずれも僕の予想(願望)は大ハズレとなった。しかし、それはそれで悪いことではない。男女とも思いもよらぬ選手が好結果を出し、代表に選ばれた。
男子
高岡寿成(カネボウ) 34歳
入船 敏(カネボウ) 29歳
尾方 剛(中国電力) 32歳
奥谷 亘(冨士重工業) 30歳
細川道隆(大塚製薬) 29歳
女子
弘山晴美(資生堂) 36歳
小まり(ノーリツ) 30歳
大島めぐみ(しまむら) 29歳
江田良子(ヤマダ電機) 29歳
原裕美子(京セラ) 23歳
「ベテランなのに、フレッシュ」と評した報道もあった。年齢は今年の8月の時点での満年齢なのだが、男子の平均年齢が30.8歳、女子は29.4歳。それでいて、五輪、世界選手権のマラソン代表歴があるのは尾方のみである。
だからと言って、所謂「遅咲き」という言葉が似合いそうなのは奥谷くらいだろう。高岡、弘山は日本を代表するトラック・ランナー。大島も五輪に2回出場、入船と小も世界選手権出場歴がある。奥谷も含めて、駅伝でも主要区間を走る「スピード・ランナー」のイメージの強い選手たちが揃った。
トラックで実績を持っている選手だけに、意外とマラソンキャリアが浅い。一番マラソン回数が多い選手でも尾方の9回。おそらくは、一番知名度が低かったかもしれない江田(結婚前の姓を聞いて、思い出した人も少なくなかったろう)は6回走っていたが、初マラソンはまだ注目度が低かった'98年のベルリンだった。(2時間36分55秒で8位)
ハーフマラソンや駅伝で、目を大きく見開き、口を開けて、精一杯の表情で走る原に注目していたファンも多かったかもしれないが、ベテラン揃いの中、初マラソン初優勝の「新人賞候補」ランナーが代表入りしたことも、北京以後を考えれば、明るい材料だ。
所属チームも、カネボウ、京セラのような老舗から、冨士重工、ヤマダ電機のような日本代表を初めて送り出すチームもある。もっとも、ヤマダ電機はかつてのみずほ銀行の選手とスタッフをそのまま引き継ぎ発足されたチームで、みずほ銀行が冨士銀行だった頃には、片岡純子や原万里子を世界選手権の代表に送り出した実績があるので、実質、奥谷が冨士重工初の代表選手となる。
この奥谷、西脇工業卒業後にダイエーに入社、その後、前監督の佐藤進さん(故人)が監督を務める積水化学に移籍、現在の富士重工の監督もダイエーOBで、世界選手権のマラソン代表に選出されながら故障で辞退した経歴のある小指徹さんである。今は無き名門「ダイエー」のDNAを引き継ぐランナーと呼びたくもなる。
びわ湖では、終盤にコニカミノルタの松宮祐行との3位争いに勝ち、代表の座を得たが、これまた、今は無きチームとなった積水化学男子陸上部の本拠地に近い、びわ湖で結果を出したのも因縁めいている。
因縁と言えば、名古屋でトップを争った原と大島。原を指導する京セラの大森国男監督はかつては高校駅伝の強豪、埼玉栄高校の監督をしていた人で、大島も教え子の一人だった。昨年の名古屋では、土佐礼子に逆転を喫した大島に、実業団女子駅伝で土佐を追い上げながら届かなかった原。ともに土佐の背中を見て悔し涙を流したランナーが今回代表入りしたことも、土佐ヲタ(苦笑)な僕には感慨深い。
さて、高岡の東京国際の快走に寄せて、
「これで、世界選手権のマラソン代表の平均年齢が30歳を越えれば。」
と予想めいたことを書いた。とかく、10代の選手ばかりを持て囃す日本のスポーツ・マスコミ
のトレンドに逆らってみたかっただけなのだが、この予想だけは当たってしまった。男子の平均年齢30.8歳。女子は29.4歳。もし、原が失速し、5人目の代表が橋本康子('75年生)か嶋原清子('76年生)になっていれば、女子も平均年齢が30歳を越えていた!
既婚者が7人、そのうち女子が3人というのも初めてのことだ。その先駆者は弘山だが、もし、土佐が東京か大阪を走っていたら、という想像もしたくなる。
年齢ばかりで盛り上げてもいけない。今回の代表、トラックの実績のあるランナーが揃ったと書いたが、男子の代表のうち、10000mの日本記録保持者の高岡に入船、細川は27分台のタイムを持っている。尾方もアテネでトラックの代表に目標を切り替えていたし、奥谷も28分19秒57のタイムを持っている。
男女ともに5000m、10000mのベストタイムの平均を出してみると、
男子
5000m 13分31秒14
10000m 27分57秒75
女子
5000m 15分26秒16
10000m 31分48秒31
男子も5000mの持ちタイムは全員13分台。女子も全員が15分台である。江田だけが10000m32分29秒79だが、他は全員31分台。大島は10000mのベストタイム31分34秒01を、昨年の日本選手権(アテネ五輪代表選考レース)で出している。大島がそのレースで2位、弘山が3位で福士加代子とともに10000mのアテネ五輪代表に選ばれたのだが、そのレースで6位だったのが小だった。
もはや、トラックのスピードが無ければ、マラソンで世界のトップと戦うことができないことは、アテネで野口みずきが証明してみせたが、今回の代表は、そんな21世紀のマラソン界の流れに沿ったものと言えそうだ。
最高の平均年齢でありながら、「ベテラン」と呼ぶのが憚られそうな(この言葉、欧米ではいい意味には使われないらしい。)強豪揃いである。
この10年の五輪、世界選手権では最強のメンバーではないか?
男子
高岡寿成(カネボウ) 34歳
入船 敏(カネボウ) 29歳
尾方 剛(中国電力) 32歳
奥谷 亘(冨士重工業) 30歳
細川道隆(大塚製薬) 29歳
女子
弘山晴美(資生堂) 36歳
小まり(ノーリツ) 30歳
大島めぐみ(しまむら) 29歳
江田良子(ヤマダ電機) 29歳
原裕美子(京セラ) 23歳
「ベテランなのに、フレッシュ」と評した報道もあった。年齢は今年の8月の時点での満年齢なのだが、男子の平均年齢が30.8歳、女子は29.4歳。それでいて、五輪、世界選手権のマラソン代表歴があるのは尾方のみである。
だからと言って、所謂「遅咲き」という言葉が似合いそうなのは奥谷くらいだろう。高岡、弘山は日本を代表するトラック・ランナー。大島も五輪に2回出場、入船と小も世界選手権出場歴がある。奥谷も含めて、駅伝でも主要区間を走る「スピード・ランナー」のイメージの強い選手たちが揃った。
トラックで実績を持っている選手だけに、意外とマラソンキャリアが浅い。一番マラソン回数が多い選手でも尾方の9回。おそらくは、一番知名度が低かったかもしれない江田(結婚前の姓を聞いて、思い出した人も少なくなかったろう)は6回走っていたが、初マラソンはまだ注目度が低かった'98年のベルリンだった。(2時間36分55秒で8位)
ハーフマラソンや駅伝で、目を大きく見開き、口を開けて、精一杯の表情で走る原に注目していたファンも多かったかもしれないが、ベテラン揃いの中、初マラソン初優勝の「新人賞候補」ランナーが代表入りしたことも、北京以後を考えれば、明るい材料だ。
所属チームも、カネボウ、京セラのような老舗から、冨士重工、ヤマダ電機のような日本代表を初めて送り出すチームもある。もっとも、ヤマダ電機はかつてのみずほ銀行の選手とスタッフをそのまま引き継ぎ発足されたチームで、みずほ銀行が冨士銀行だった頃には、片岡純子や原万里子を世界選手権の代表に送り出した実績があるので、実質、奥谷が冨士重工初の代表選手となる。
この奥谷、西脇工業卒業後にダイエーに入社、その後、前監督の佐藤進さん(故人)が監督を務める積水化学に移籍、現在の富士重工の監督もダイエーOBで、世界選手権のマラソン代表に選出されながら故障で辞退した経歴のある小指徹さんである。今は無き名門「ダイエー」のDNAを引き継ぐランナーと呼びたくもなる。
びわ湖では、終盤にコニカミノルタの松宮祐行との3位争いに勝ち、代表の座を得たが、これまた、今は無きチームとなった積水化学男子陸上部の本拠地に近い、びわ湖で結果を出したのも因縁めいている。
因縁と言えば、名古屋でトップを争った原と大島。原を指導する京セラの大森国男監督はかつては高校駅伝の強豪、埼玉栄高校の監督をしていた人で、大島も教え子の一人だった。昨年の名古屋では、土佐礼子に逆転を喫した大島に、実業団女子駅伝で土佐を追い上げながら届かなかった原。ともに土佐の背中を見て悔し涙を流したランナーが今回代表入りしたことも、土佐ヲタ(苦笑)な僕には感慨深い。
さて、高岡の東京国際の快走に寄せて、
「これで、世界選手権のマラソン代表の平均年齢が30歳を越えれば。」
と予想めいたことを書いた。とかく、10代の選手ばかりを持て囃す日本のスポーツ・マスコミ
のトレンドに逆らってみたかっただけなのだが、この予想だけは当たってしまった。男子の平均年齢30.8歳。女子は29.4歳。もし、原が失速し、5人目の代表が橋本康子('75年生)か嶋原清子('76年生)になっていれば、女子も平均年齢が30歳を越えていた!
既婚者が7人、そのうち女子が3人というのも初めてのことだ。その先駆者は弘山だが、もし、土佐が東京か大阪を走っていたら、という想像もしたくなる。
年齢ばかりで盛り上げてもいけない。今回の代表、トラックの実績のあるランナーが揃ったと書いたが、男子の代表のうち、10000mの日本記録保持者の高岡に入船、細川は27分台のタイムを持っている。尾方もアテネでトラックの代表に目標を切り替えていたし、奥谷も28分19秒57のタイムを持っている。
男女ともに5000m、10000mのベストタイムの平均を出してみると、
男子
5000m 13分31秒14
10000m 27分57秒75
女子
5000m 15分26秒16
10000m 31分48秒31
男子も5000mの持ちタイムは全員13分台。女子も全員が15分台である。江田だけが10000m32分29秒79だが、他は全員31分台。大島は10000mのベストタイム31分34秒01を、昨年の日本選手権(アテネ五輪代表選考レース)で出している。大島がそのレースで2位、弘山が3位で福士加代子とともに10000mのアテネ五輪代表に選ばれたのだが、そのレースで6位だったのが小だった。
もはや、トラックのスピードが無ければ、マラソンで世界のトップと戦うことができないことは、アテネで野口みずきが証明してみせたが、今回の代表は、そんな21世紀のマラソン界の流れに沿ったものと言えそうだ。
最高の平均年齢でありながら、「ベテラン」と呼ぶのが憚られそうな(この言葉、欧米ではいい意味には使われないらしい。)強豪揃いである。
この10年の五輪、世界選手権では最強のメンバーではないか?
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