箱根駅伝や男女の東京国際マラソンのコースでもあった第一京浜を走り続ける。反対車線のランナーたち、有力実業団チームや海外招待選手たちは皆過ぎ去って、サブスリーを目指すランナーたちが後を追い駆ける。1km4分を切るペースで駆け抜けていくランナーたちを見ていると、もっと早く、こんな大会が出来て欲しかったなとも思える、'90年代の後半、僕も1km4分前後のペースで42.195を走り通すことを夢見ていた。自己ベストを出したゴールドコーストはそんなペースでスタートした。周りに日本人ランナーは見当たらず、本当に「海外を走っている」ことを実感出来た。折り返してすれ違ったランナーたち。1km5分オーバーのペースで走るランナーたちの集団は大半が日本人だった。ツアーの参加者の中ではトップでゴールしたが、ガイドさんらはとても「意外」に思ったようだった。
分かっている。マラソンは記録を狙うことが全てではないことを、今、僕は1km5分30秒のペースで東京を走っている。そんな自分を卑下することはない。でも、かつてゴールドコーストを駆け抜けたスピードで、東京の街を見てみたかったなとは思う。
それにしても、3時間を切るペースを着ぐるみ姿で走っているランナーがいたのには驚きだ。すごく余裕があるのだろう。ガチで走れば2時間30分くらいで走れる人ではないか?
一際大きな集団とすれ違う。先頭を引っ張るランナーの胸には「3時間」という文字がプリントされている主催者が用意したペースメイカーだ。
あそこについて行きたかったな、といまだにふっ切れない僕。「4時間」のペースメイカーたちはまだずっと後ろだろうか。
品川を折り返す。沿道の人は多いが声援はスタート直後の新宿の人たちに比べると大人しい。「県民性」ならぬ「区民性」とも言うべき気質の違いがあるのだろうか。15km過ぎて、自分のペースが少しも上がっていないことに気がついた。10kmは55分台、15kmは1時間22分で通過。愛媛マラソンよりもかなり遅い。(愛媛は15kmを1時間17分台で通過。)当初の目標、愛媛と東京、2大会連続サブフォーでゴールが厳しくなってきた。足に痛みは無い。むしろ愛媛の直前よりもコンディションは良かったくらいだ。しかし、身体にリミッターが掛ったようだ。ペースを上げられない。少し、焦りを感じてきた。前半、もう少しペースを上げて入るべきだったろうか。後半のペースダウンを怖れて、臆病な入り方をしてしまったかもしれない。20kmを1時間57分台で通過した後、沿道の簡易トイレに駆け込んだ。
中間点を過ぎれば、そこから先は銀座、そして浅草である。立川談志のエッセイで知った話であるが、昭和一桁生まれの彼にとっては、「巨人軍栄光の背番号3」とは千葉茂のことだ、という。千葉といえば「猛牛」のニックネームを持ち、近鉄パールズの監督に就任した際に、「バッファローズ」とチーム名を変えさせた。(余談であるが、角のある牛の顔を図案化した、あのマークをデザインしたのは岡本太郎だったそうである。)
バッファローズの監督としては実績を残せなかったが、その理由を
「大阪とは相性が悪かった。」
せいだという。その理由は?
「大阪には銀座が無いからな。」
そしてもう一つ、大阪で生まれ育った友人から、
「東京と大阪の一番の違いって分かる?」
とたずねられたが、あまりにも漠然とし過ぎた質問なのでうまく答えられなかった。彼の答えは、
「大阪には浅草があらへんのや。」
だったのである。
銀座と浅草。この2つの街は、もっとも「東京らしい」場所だということなのかもしれない。走り始めるまでは、皇居から日比谷に品川のあたりを走ることを楽しみにしていた。実は、中間点を過ぎてからがこの大会の「メイン」だったということに、この後、気づかされることとなる。
沿道に集まった、多数のギャラリーから声援を貰った。しかし、僕自身への声援は少なかった。多くの声援を集めるのはコスプレ・ランナーたち。コスプレといっても、実にシンプルなもので、たとえば日比谷で僕の横にいたのは、ミニーマウスの被り物をした女性。当然、「ミニー」「ミニー」と声援を受けていた。
他には「キティちゃん」に、人気漫画「ワンピース」のキャラたち(実はこの漫画についてはほとんど知らないのだ。)、そして、愛媛マラソンでも何人か見かけたタイガーマスク、もいれば、タイガーのライバルだったブラックタイガーもいた。知り合いに4児の母であるランナーがいて、愛媛マラソンでは(娘から借りた?)セーラー服姿で3時間30分を切るタイムでゴールしていた。(かつての東京国際女子マラソンにも出場歴がある人だ。)
彼女は来ていないのかな?彼女なら大声援を浴びそうだな。ハーフマラソンではピカチュウの着ぐるみでも走っていたこともあった。
しかし、今日の天気は、コスプレランナーにはきつかったかもしれない。気温き上がっていて、今が2月であることを忘れさせてくれる。半袖シャツとランニングパンツで十分だった。
しかしながら、愛媛マラソンではTシャツのイラストを見て、
「とされいこ!頑張れ!」
という声援をけっこう受けたのに、ここではほとんど聞かれなかった。周囲のコスプレランナーたちの前に霞んでしまったみたいだ。ちょっと地味だったかな。
銀座四丁目の交差点を左折する。既に先頭ランナーは通り過ぎた後だ。女子の先頭も過ぎた後のようで、最初にすれ違ったのは大平美樹だった。
「おおひらさん!」
と声援を送ったがさすがに手を上げて声援に応える余裕はもう無かったように見えた。
もし、今度ここを走る時は、男子の先頭ともすれ違いたいな。そのためには、3時間40分くらいではゴールできる力をつけていないといかんな。そう言えば、かつて河口湖の湖畔を2周する河口湖マラソンに出た際、何度もこのコースを走っているというランナーから、
「3時間45分を越えると、先頭ランナーに追い抜かれますよ。」
と聞かされたことを思い出した。今の僕なら河口湖に出たら、周回遅れになってしまうな。あそこも、また出てみたいと思わせるもののある(富士山の美しさが最高!)大会であったが。
一際大きな声援が反対車線の沿道で起こった。今や「走るタレント」の実力ナンバー1の猫ひろしだ。おなじみの「猫魂(ねこだまし)」のTシャツ姿の小柄な彼に、2人のランナーが食らいついている。
そして、その後には嶋原清子。世界選手権のマラソン入賞者であり、昨年のアジア大会の代表ランナーだ。猫が嶋原を凌ぐペースで走っている!
分かっている。マラソンは記録を狙うことが全てではないことを、今、僕は1km5分30秒のペースで東京を走っている。そんな自分を卑下することはない。でも、かつてゴールドコーストを駆け抜けたスピードで、東京の街を見てみたかったなとは思う。
それにしても、3時間を切るペースを着ぐるみ姿で走っているランナーがいたのには驚きだ。すごく余裕があるのだろう。ガチで走れば2時間30分くらいで走れる人ではないか?
一際大きな集団とすれ違う。先頭を引っ張るランナーの胸には「3時間」という文字がプリントされている主催者が用意したペースメイカーだ。
あそこについて行きたかったな、といまだにふっ切れない僕。「4時間」のペースメイカーたちはまだずっと後ろだろうか。
品川を折り返す。沿道の人は多いが声援はスタート直後の新宿の人たちに比べると大人しい。「県民性」ならぬ「区民性」とも言うべき気質の違いがあるのだろうか。15km過ぎて、自分のペースが少しも上がっていないことに気がついた。10kmは55分台、15kmは1時間22分で通過。愛媛マラソンよりもかなり遅い。(愛媛は15kmを1時間17分台で通過。)当初の目標、愛媛と東京、2大会連続サブフォーでゴールが厳しくなってきた。足に痛みは無い。むしろ愛媛の直前よりもコンディションは良かったくらいだ。しかし、身体にリミッターが掛ったようだ。ペースを上げられない。少し、焦りを感じてきた。前半、もう少しペースを上げて入るべきだったろうか。後半のペースダウンを怖れて、臆病な入り方をしてしまったかもしれない。20kmを1時間57分台で通過した後、沿道の簡易トイレに駆け込んだ。
中間点を過ぎれば、そこから先は銀座、そして浅草である。立川談志のエッセイで知った話であるが、昭和一桁生まれの彼にとっては、「巨人軍栄光の背番号3」とは千葉茂のことだ、という。千葉といえば「猛牛」のニックネームを持ち、近鉄パールズの監督に就任した際に、「バッファローズ」とチーム名を変えさせた。(余談であるが、角のある牛の顔を図案化した、あのマークをデザインしたのは岡本太郎だったそうである。)
バッファローズの監督としては実績を残せなかったが、その理由を
「大阪とは相性が悪かった。」
せいだという。その理由は?
「大阪には銀座が無いからな。」
そしてもう一つ、大阪で生まれ育った友人から、
「東京と大阪の一番の違いって分かる?」
とたずねられたが、あまりにも漠然とし過ぎた質問なのでうまく答えられなかった。彼の答えは、
「大阪には浅草があらへんのや。」
だったのである。
銀座と浅草。この2つの街は、もっとも「東京らしい」場所だということなのかもしれない。走り始めるまでは、皇居から日比谷に品川のあたりを走ることを楽しみにしていた。実は、中間点を過ぎてからがこの大会の「メイン」だったということに、この後、気づかされることとなる。
沿道に集まった、多数のギャラリーから声援を貰った。しかし、僕自身への声援は少なかった。多くの声援を集めるのはコスプレ・ランナーたち。コスプレといっても、実にシンプルなもので、たとえば日比谷で僕の横にいたのは、ミニーマウスの被り物をした女性。当然、「ミニー」「ミニー」と声援を受けていた。
他には「キティちゃん」に、人気漫画「ワンピース」のキャラたち(実はこの漫画についてはほとんど知らないのだ。)、そして、愛媛マラソンでも何人か見かけたタイガーマスク、もいれば、タイガーのライバルだったブラックタイガーもいた。知り合いに4児の母であるランナーがいて、愛媛マラソンでは(娘から借りた?)セーラー服姿で3時間30分を切るタイムでゴールしていた。(かつての東京国際女子マラソンにも出場歴がある人だ。)
彼女は来ていないのかな?彼女なら大声援を浴びそうだな。ハーフマラソンではピカチュウの着ぐるみでも走っていたこともあった。
しかし、今日の天気は、コスプレランナーにはきつかったかもしれない。気温き上がっていて、今が2月であることを忘れさせてくれる。半袖シャツとランニングパンツで十分だった。
しかしながら、愛媛マラソンではTシャツのイラストを見て、
「とされいこ!頑張れ!」
という声援をけっこう受けたのに、ここではほとんど聞かれなかった。周囲のコスプレランナーたちの前に霞んでしまったみたいだ。ちょっと地味だったかな。
銀座四丁目の交差点を左折する。既に先頭ランナーは通り過ぎた後だ。女子の先頭も過ぎた後のようで、最初にすれ違ったのは大平美樹だった。
「おおひらさん!」
と声援を送ったがさすがに手を上げて声援に応える余裕はもう無かったように見えた。
もし、今度ここを走る時は、男子の先頭ともすれ違いたいな。そのためには、3時間40分くらいではゴールできる力をつけていないといかんな。そう言えば、かつて河口湖の湖畔を2周する河口湖マラソンに出た際、何度もこのコースを走っているというランナーから、
「3時間45分を越えると、先頭ランナーに追い抜かれますよ。」
と聞かされたことを思い出した。今の僕なら河口湖に出たら、周回遅れになってしまうな。あそこも、また出てみたいと思わせるもののある(富士山の美しさが最高!)大会であったが。
一際大きな声援が反対車線の沿道で起こった。今や「走るタレント」の実力ナンバー1の猫ひろしだ。おなじみの「猫魂(ねこだまし)」のTシャツ姿の小柄な彼に、2人のランナーが食らいついている。
そして、その後には嶋原清子。世界選手権のマラソン入賞者であり、昨年のアジア大会の代表ランナーだ。猫が嶋原を凌ぐペースで走っている!
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