観察館日記

藤前干潟の庄内川河口部にある名古屋市野鳥観察館の日記帳です。

藤前干潟のマイクロプラスチックの現状を知るために

2021-11-16 23:52:31 | 秋の藤前干潟

【来館時のお願い】

名古屋市野鳥観察館は、新型コロナウイルス感染拡大防止の対策をして開館しています。

来館時には、マスクの着用等のご協力をお願いします。

詳細はこちらをご覧ください。

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藤前干潟

今日の干潮時間10時05分 潮位 88cm

今日の満潮時間16時16分 潮位227cm

 

今日もお天気が良く、日中は暖かでしたね。

朝と昼間の寒暖差が激しく、着るものに悩む日々です。

 

いくつかのテレビニュース等で報道いただきましたので、すでにご存知の方もいると思いますが、

日曜日(14日)に藤前干潟では名古屋市環境局によって「マイクロプラスチック調査」が行われました。

→詳細は名古屋市HP(名古屋市環境局の報道発表資料「藤前干潟で海洋プラスチックごみの実態調査を実施します」

  〇メーテレの報道「名古屋の藤前干潟でマイクロプラスチックの実態調査 生態系への影響懸念」

  ※メーテレの他、NHK、東海テレビに取材、報道いただきました。

今回の調査には、名古屋市の職員だけでなく、藤前干潟クリーン大作戦実行委員会メンバー、と地元の南陽高校の学生さんも参加し、総勢30名ほどで調査を行いました。

藤前干潟クリーン大作戦実行委員会では、5月に一度、今回の調査が行われたのと同じ場所でマイクロプラスチックの状況をメンバー等で確認し、拾う試みもしたのですが、

今回は本格的な調査で、種類と数を調べるというかなり細かな作業が必要な調査になりました。

 

まずは、藤前活動センターで名古屋市環境局減量推進室の職員さんから今日の調査方法について説明がありました。

その後、7班に分かれて藤前海岸(南陽海岸)へサンプリングへ。

10月23日(土)には藤前干潟クリーン大作戦が行われ、多くの参加者に多くのごみを収集していただきましたので、ヨシくずや流木以外に大きく目立つごみはほぼありません。

しかし、しゃがんで、ヨシくずのたまっている場所をよくよく見ると、小さなプラスチック片や徐放性肥料の殻がたくさん・・・。

これがマイクロプラスチックなどなのですが、普段なら見過ごしてしまわれがちなものです。

実は、藤前干潟クリーン大作戦実行委員会のメンバーも、これらの小さなごみには数年前まではあまり注目していませんでした。特に、最も多く流れ着いている徐放性肥料の殻については、私は植物の種の殻だと思っていました・・・。

今回は、このヨシくずとマイクロプラスチックなどが混ざったもの(約15cm×約15cm×(深さ)1cm)を採取(サンプリング)して、種類と数を調べました。

採取したサンプル↓。

これを5mmと2mmのふるいでふるい5mm以上、2~5mm、2mm以下という3つの大きさに分類。

その後、大きさを分類した3つのサンプルを持って、藤前活動センターへ帰り、その後はひたすらプラスチックなどをソーティング(分類)しました。

今回の調査では、マイクロプラスチックを以下の4つに分類して数を数えました。

 ①徐放性肥料の被覆プラスチック(田んぼなどにまかれる肥料に使われています)

 ②発砲スチロール片

 ③レジンペレット(プラスチック製品の原料(中間材料))

 ④その他のプラスチック片

ヨシくずの中から大量の徐放性肥料などのマイクロプラスチックを取り出すのは、細かい作業で根気がいる作業でした↓。

ひたすら、分別・・・。(終了時には、目と肩にきました。)

分別後は、それぞれの数を数えるため、ひとつずつ、5mmの方眼用紙に貼り付け作業↓。

南陽高校の学生さんはチームワークも集中力も高く、作業スピードが早かったです。

貼り付け作業もなかなか大変でしたが、これだけの量のマイクロプラスチックがあると一目でわかるので、達成感もありましたが、とにかく「①徐放性肥料の被覆プラスチック」の多さには改めて驚きました(↓写真の左の方眼用紙が徐放性肥料、右は発泡スチロール片)。

こちらは、「④その他マイクロプラスチック片」の一部↓。緑色の人工芝の一部と思われるもの以外は、元は何だったのかよくわかりません。

 

今回の調査結果はまだ集計されておらず、詳細はわかりませんが、私の調査していた6班では、圧倒的に「①徐放性肥料の被覆プラスチック」の数が最も多く、次いで「③レジンペレット」が多かったです。

レジンペレットは、藤前干潟では昔よりは減ったといわれていますが、まだまだあるのだとびっくりしました。

また、「②発砲スチロール片」については、発砲スチロールの箱などが川や海を流れ、漂っている間に最初は1つのごみだったものがどんどんバラバラに粉々になって、無数のごみになっていくんだろうと思っていましたが、実際にこのような発砲スチロール片を見て、それが実感でき、恐ろしいことだと思いました。

そして、マイクロプラスチック化したプラスチックは、すでに脆く、分別や貼り付け作業をしている間にもパラパラと小さくなっていきました。

最初からめに見えないほどの小さなマイクロプラスチックももちろん非常に問題なのですが、マイクロプラスチックがさらに細かくなって目に見えない大きさになっていくことが、プラスチックごみの本当に怖いところだと思います。

目に見えなければ存在することすら容易にわからないですし、それこそ拾うことも無理でしょう(5mmサイズでもすでに困難ですが)。

 

今日の調査中には、「こんなにも多くのマイクロプラスチックを本当にどうしたら減らせるのか」、

「徐放性肥料のマイクロプラスチック問題についてもっと知ってもらうにはどうしたら良いか」、

という感想や議論がそこかしこで生じていました。

今回の名古屋市のマイクロプラスチック調査は、市民のみなさんに現状を知っていただき、プラスチックごみをなるべく生じない生活をしてもらうことを目指したものです。

まずは、現状と問題を多くの方に知っていただくことからなのだと思います。

藤前干潟クリーン大作戦でも、マイクロプラスチックについて発信し、さらなる取組みもしていきたいと思っています。

来年1月23日(日)には、「第10回ごみと水を考える集い」を開催し、マイクロプラスチックを主テーマにしたいと検討中です。

 

そして、名古屋市環境局減量推進室は、現在、主に若い人にプラスチックフリーな生活を意識してもらうための

「「えらいぞ!ジブン!」プラスチックフリー応援プロモーション」として、

動画配信や、「教えて!あなたのプラスチックフリー!キャンペーン(~12/13まで)」を実施しています。

→詳細は名古屋市HP(「「えらいぞ!ジブン!」プラスチックフリー応援プロモーション」を実施します!

ぜひ、動画を見たり、キャンペーンにご参加ください。

えらいぞ!ジブン!プラスチックフリー「マイタンブラー」編

 

えらいぞ!ジブン!プラスチックフリー「ちゃんと選ぶ」編

 

 

※明日は第三水曜日で休館日です。

明日の干潮時間10時42分 潮位 89cm

明日の満潮時間16時43分 潮位231cm

コメント
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