中共の軍事脅威に対応するため安保法制が検討されている。
中共はこれを「安倍政権の右傾化」と宣伝している。
野党は確たる対案もなく、安保法制に言及もされていない「徴兵制」を持ち出して国民の不安を煽り、親中反日メディアはこれを後押し・・・というのが現在の図式ではないだろうか。
中共はこれを「安倍政権の右傾化」と宣伝している。
野党は確たる対案もなく、安保法制に言及もされていない「徴兵制」を持ち出して国民の不安を煽り、親中反日メディアはこれを後押し・・・というのが現在の図式ではないだろうか。
鍛冶俊樹の軍事ジャーナル 第193号(6月23日)
http://melma.com/backnumber_190875/
*徴兵制は必要か?
「解釈改憲が許されるなら徴兵制の導入も可能になる」との主張があるが、左翼の本質をよく示した主張である。というのも、そもそも自衛隊は解釈改憲によって合憲と見なされているのであり、解釈改憲が許されないとするなら自衛隊そのものが違憲の存在となる。
つまり、この主張は現在の安保関連法案に反対しているだけではなくて、自衛隊の存在自体に反対している訳だ。左翼の本来の主張は自衛隊違憲論だ。しかし今どき、そんな主張は一般の支持を得られない。そこで自衛隊を徴兵制に置き換えて反対論を形成している訳だ。
だが現在審議されている安保法案のどこにも徴兵制への言及はない。政府は戦後一貫して徴兵制の導入を否定してきており、徴兵制を検討した形跡すらない。徴兵制導入の意思が皆無であることは明らかだ。では何故左翼は徴兵制にこだわるのか?
私は10年以上前だが、左翼の勉強会で軍隊と徴兵制の関係について講演したことがある。無論、彼らから依頼されてのことである。そこで気付いたのは、左翼は「自衛隊を含めて軍隊は兵士を強制的に集めなければ成立する筈がない」と思い込んでいる点である。
だが現在、米軍も英軍も仏軍も独軍も徴兵していない。また歴史的に見ても英国が徴兵制を採用したのは第一次世界大戦から1960年の間だけである。英国は17世紀から19世紀までに世界の4分の1の面積を支配するに至る大英帝国を構築したが、その帝国は徴兵制なしで築かれたのである。
いうなれば徴兵制は軍隊にとって必要不可欠な制度ではない。そもそも近代徴兵制はフランス革命とともに始まった。革命政権を防衛し革命を推進する目的で制定された。だからフランスでは左翼が徴兵制賛成であり保守派は徴兵制反対なのだ。
ちなみにフランスは1990年代半ばに200年近く続いた徴兵を停止した。停止を命じたのは保守派のシラク大統領である。もっとも停止を命じた理由は革命原理を否定したからではなく、徴兵制が現代の軍隊にとって非効率だからだ。
現代の軍隊は科学技術の進歩に伴い、ハイテク化されている。当然兵士も高度な技術の習得が必要となり、1~2年の徴兵期間ではとても習得できないのである。長期勤務を希望して志願してくる人を採用する志願兵制の方が効率的なのである。
自衛隊でも事情は同じ事で、「徴兵しなければ自衛隊は維持されない」などという自衛官は一人もいない。将来、憲法が改正されて自衛隊が国防軍になったとしても、フランスの例を見れば明らかな様に徴兵制が施行される可能性はゼロである。
軍事ジャーナリスト 鍛冶俊樹(かじとしき)
1957年広島県生まれ、1983年埼玉大学教養学部卒業後、航空自衛隊に幹部候補生として入隊、主に情報通信関係の将校として11年間勤務。1994年文筆活動に転換、翌年、第1回読売論壇新人賞受賞。2011年、メルマ!ガ オブ ザイヤー受賞。2012年、著書「国防の常識」第7章を抜粋した論文「文化防衛と文明の衝突」が第5回「真の近現代史観」懸賞論文に入賞。
著書:
「領土の常識」(角川学芸出版)
http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=321212000089
「国防の常識」(角川学芸出版)
http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=201203000167
「戦争の常識」(文春新書)
http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784166604265
「エシュロンと情報戦争」(文春新書、絶版)
共著:「総図解よくわかる第二次世界大戦」
http://www.kadokawa.co.jp/product/301310010411/
監修:
「イラスト図解 戦闘機」
http://www.tg-net.co.jp/item/4528019388.html
「超図解でよくわかる!現代のミサイル」
http://www.tg-net.co.jp/item/486298102X.html?isAZ=true
インターネット動画配信中:
「現代戦闘機ファイル」
http://www.nicovideo.jp/watch/1411697197
「よくわかる!ミサイル白書」
http://www.nicovideo.jp/watch/1383640409
http://melma.com/backnumber_190875/
*徴兵制は必要か?
「解釈改憲が許されるなら徴兵制の導入も可能になる」との主張があるが、左翼の本質をよく示した主張である。というのも、そもそも自衛隊は解釈改憲によって合憲と見なされているのであり、解釈改憲が許されないとするなら自衛隊そのものが違憲の存在となる。
つまり、この主張は現在の安保関連法案に反対しているだけではなくて、自衛隊の存在自体に反対している訳だ。左翼の本来の主張は自衛隊違憲論だ。しかし今どき、そんな主張は一般の支持を得られない。そこで自衛隊を徴兵制に置き換えて反対論を形成している訳だ。
だが現在審議されている安保法案のどこにも徴兵制への言及はない。政府は戦後一貫して徴兵制の導入を否定してきており、徴兵制を検討した形跡すらない。徴兵制導入の意思が皆無であることは明らかだ。では何故左翼は徴兵制にこだわるのか?
私は10年以上前だが、左翼の勉強会で軍隊と徴兵制の関係について講演したことがある。無論、彼らから依頼されてのことである。そこで気付いたのは、左翼は「自衛隊を含めて軍隊は兵士を強制的に集めなければ成立する筈がない」と思い込んでいる点である。
だが現在、米軍も英軍も仏軍も独軍も徴兵していない。また歴史的に見ても英国が徴兵制を採用したのは第一次世界大戦から1960年の間だけである。英国は17世紀から19世紀までに世界の4分の1の面積を支配するに至る大英帝国を構築したが、その帝国は徴兵制なしで築かれたのである。
いうなれば徴兵制は軍隊にとって必要不可欠な制度ではない。そもそも近代徴兵制はフランス革命とともに始まった。革命政権を防衛し革命を推進する目的で制定された。だからフランスでは左翼が徴兵制賛成であり保守派は徴兵制反対なのだ。
ちなみにフランスは1990年代半ばに200年近く続いた徴兵を停止した。停止を命じたのは保守派のシラク大統領である。もっとも停止を命じた理由は革命原理を否定したからではなく、徴兵制が現代の軍隊にとって非効率だからだ。
現代の軍隊は科学技術の進歩に伴い、ハイテク化されている。当然兵士も高度な技術の習得が必要となり、1~2年の徴兵期間ではとても習得できないのである。長期勤務を希望して志願してくる人を採用する志願兵制の方が効率的なのである。
自衛隊でも事情は同じ事で、「徴兵しなければ自衛隊は維持されない」などという自衛官は一人もいない。将来、憲法が改正されて自衛隊が国防軍になったとしても、フランスの例を見れば明らかな様に徴兵制が施行される可能性はゼロである。
軍事ジャーナリスト 鍛冶俊樹(かじとしき)
1957年広島県生まれ、1983年埼玉大学教養学部卒業後、航空自衛隊に幹部候補生として入隊、主に情報通信関係の将校として11年間勤務。1994年文筆活動に転換、翌年、第1回読売論壇新人賞受賞。2011年、メルマ!ガ オブ ザイヤー受賞。2012年、著書「国防の常識」第7章を抜粋した論文「文化防衛と文明の衝突」が第5回「真の近現代史観」懸賞論文に入賞。
著書:
「領土の常識」(角川学芸出版)
http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=321212000089
「国防の常識」(角川学芸出版)
http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=201203000167
「戦争の常識」(文春新書)
http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784166604265
「エシュロンと情報戦争」(文春新書、絶版)
共著:「総図解よくわかる第二次世界大戦」
http://www.kadokawa.co.jp/product/301310010411/
監修:
「イラスト図解 戦闘機」
http://www.tg-net.co.jp/item/4528019388.html
「超図解でよくわかる!現代のミサイル」
http://www.tg-net.co.jp/item/486298102X.html?isAZ=true
インターネット動画配信中:
「現代戦闘機ファイル」
http://www.nicovideo.jp/watch/1411697197
「よくわかる!ミサイル白書」
http://www.nicovideo.jp/watch/1383640409