都民として新国立競技場の問題はやはり常に気になっております。
明治神宮外苑は野球を見に行ったりイチョウ並木を楽しんだり、都民には親しみのある場所ですよね。しかも僕の場合、聖徳記念絵画館(80枚の絵画で明治天皇の人生、明治という時代に起きた出来事を知る事が出来る)に曾祖父の絵が飾られているので、たまに行く事があります。
新国立競技場を巡る諸問題は取りあえず置いておいて、良く考えてみればあそこに何もない、という景色が見られるのは今だけ。ふと思い立って、昨日国立競技所跡地周辺を歩いてみる事にしました。
昼ごろ信濃町の駅に到着して、まずは腹ごしらえ。前から気になっていた、水明亭というちゃんぽんと皿うどんのお店に直行です。
外苑前周辺は飲食店があまりないのですが、このお店は木立の中にポツンと建っています。
店内はお昼時という事もあり、サラリーマンで満席。ちゃんぽんは素朴でありながら野菜の旨味がしっかりスープに染み出しており、絶品でした。皿うどんも最高!
ここはなんと、前回の東京オリンピックの選手達も食べた、というくらい歴史があるお店なのです。店内にはその歴史を感じさせる写真が飾ってありました。
腹も満たされた所で、いよいよ国立競技場跡地へ。とはいえ水明亭からは目と鼻の先。すぐに到着しましたが、ここで予想外の事実が判明。跡地の周辺は殆ど工事用フェンスに囲まれていて、しっかり中が見られるポイントが殆どないのです。
仕方が無いので、一周ぐるりと歩いてみてポイントを探す事に。それにしてもあの大きな競技場が無くなってしまったので、何となく自分がどこを歩いているのか分からなくなってしまいます。途中ホープ軒が見えてようやく、「ああ、このあたりは競技場の真横だったんだよな」という実感を持ちました。
半周程歩いた所で、フェンスが若干低くなっている場所を発見。ようやく中が見えました。
当たり前ですが、綺麗さっぱり何もなくなっていました。でもかつてそこに競技場があった事を証明するように、跡地はすり鉢状になっていましたね。
古いものが壊され、新しいものが作られる。その両極だけに注目してしまいがちですが、当然その間には過程もある訳で。東京ドームを作る時、確か後楽園球場を徐々に壊しながらだったので、二つとも存在する期間があった筈なんです。そういう景色って、町が変わりゆく様を如実に物語っているので、とても貴重な気がします。
今回思いつきでしたが、この景色を見ておいて良かったな、と思いました。
そして当然、奴も現れてくれました。
取り壊された競技場は今でこそ話題の中心ですが、100年も経ったらもう誰も覚えていないかも。そういう歴史の移り変わりの中に、誰かが落としていった片手袋も存在していた、というのは何かを象徴しているような気がしました。
…例によって“気がした”という名の妄想でしかないのですが。
まだ暫くはこの景色が見られそうです。皆さんも良かったらぜひ。