平和国家日本に暮らしているとアジアで起きているキナ臭い動きにも鈍感になってしまいがちだ。中国がフィリピンとベトナムの間の南シナ海の暗礁を造成して軍事施設の建設が進んでいる。オバマ大統領は習近平と会談した際に工事を中止するよう強く要請したが、「主権の範囲内」と一歩も譲らず、ついにオバマ大統領は南沙諸島の人工島の領海に相当する12海里内に米軍が艦船や航空機を進入させることを承認したようだ。
この人工島は満潮時に水没する低潮高地(暗礁)なので国際法上は領有権や領海は主張できない。国際世論や国際法も無視して軍事施設の建設を進める中国の動きをもはや米国としても黙認するわけにはいかなかったようだ。中国政府の「昔からの領土」論の一方的な主張はますます歯止めが効かなくなっている。
集団的自衛権はホルムズ海峡を想定して議論されてきたが、南沙諸島こそ喫緊の課題だ。集団的自衛権はこれらの中国の動きと国際的な世論に呼応して、日本が平和国家を守るため主権国家としてようやく国家防衛の形をなし得たことを改めて噛みしめている。