風になれ

大自然のふところで山歩きを楽しむ生活。
いつの日にか、森にそよぐ風になれたら・・

康子十九歳 戦禍の日記

2016-08-17 | Weblog


 『康子十九歳 戦禍の日記』(文藝春秋)を読み終えた。ジャーナリスト門田隆将さんの著書だ。
 昭和20年8月6日、原爆によって死んだ広島市長、粟屋仙吉の次女の康子の日記を中心に終戦間近の日本の世相や勤労動員の若者たちの生き様や広島原爆前後の様子、粟屋家の家族の凄惨な状況が描かれている。
 あれから71年。平和そうに見える日本。今の日本は粟屋家の市井の家族の犠牲の上に築かれたことに思いを馳せると胸が締め付けられる。



 終章に記された著者門田隆将さんのことばを噛み締める。
「焦土の中から立ち上がった日本は、戦後、なぜかくも発展を遂げたのだろうか。
 私は、それを、日本人は絶望の中でも誇りと気高さを失わなかったからではないか、を思っている。------------
 日本とは、そして日本人とは----そのことを考える時、現在の日本が先人の尊い犠牲と、失われることのなかった誇りの上に成り立っていることを忘れてはならない、と思う」
 戦争の犠牲となった粟屋康子さんが紡いだ言葉に生きるということをあらためて考えさせられた。