【心 de 経営】『書話力』を高める 7105 目的を明確にし、印象に残る話し方
経営コンサルタント歴半世紀の経験から体得した『書話力』を皆さんとわかちたいと考え、図々しくここにご紹介します。あまりにも「あたり前」すぎて、笑われてしまうかも知れませんが、「あたり前のことが、あたり前にできる」という心情から、お節介焼き精神でお届けします。
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「日本人は、議論に弱い」「日本人は、論理的な話し方ができない」などとしばしば言われます。かくいう私も、そう言われる人間のひとりです。
しかし、経営コンサルタントという仕事を半世紀も続けているうちに、それでは通じず、次第に、私なりの話し方やビジネスの仕方が、不充分ながら身についてきたように思えます。話すだけではなく、書くことにも共通する「表現力」というスキルがビジネスパーソンには不可欠です。「書く力」「話す力」をあわせて『書話の力』といい、表現力というスキルの一翼を担わせています。
この体験は、当ブログ「【小説】竹根好助の経営コンサルタント起業」としてもお届けしています。
https://blog.goo.ne.jp/keieishi17/c/c39d85bcbaef8d346f607cef1ecfe950
どなたの言葉かは存じ上げませんが、「話の目的をシッカリとつかんだ話し手は、目的のきまった旅行者のようなものである」というような名言を聞いたことがあります。目的を持たない旅を「目的」としている旅行もありますが、一般的には「どこに行きたい」「何を見たい」「何を食べたい」などをイメージすることから旅行は始まります。
しかし、目的を決めただけでは、旅行をすることはできません。目的地に、効率よく到着し、目的に応じた場所に、どの様な順番で回るか、移動手段とそのタイムテーブルはどうか、そこで何を見たいのか、何をしたいのかなど、計画や方法を決めておく必要があります。
ひと様に話をするには、「何を言いたいのか」、すなわち話の目的に応じた準備が必要です。その準備ができて、どのように話をするのか、目的に沿った話し方が重要になってきます。
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話の目的について既述していますが、例えば「人を楽しませんる話」というのは、いきなり聞き手を笑わせることを切り出したとしても、多くの場合に失敗するでしょう。笑わせることだけが日的であれば、その道のプロである落語家や漫才師と互角と行かなくても、かなり近いレベルまで達していなければ、聞き手は飽きてしまうでしょう。
一方で、話題は別にあり、その中で笑いを誘うということはあり得ます。私のような話し下手の者に取っては、笑わせようとすると緊張してしまいます。聞き手の笑いを誘うことが上手な人は、「聞き手を笑わせようとせず、楽しんでいただこうと思え」「話し手自身がリラックスした態度で話せ」ということを心がけているそうです。
笑っていただく、楽しんでいただくためには、どの様な内容にするのか、話す内容が笑いを引き出せる、身近な題材をもとに脚色して話すでしょう。ある著名な漫談師は、平素からこれは面白いという話材に接すると、それをメモしておくそうです。
テーマが決まり、話の題材を選び、ストーリー構成をするときに、そのテーマに即した内容を、事例をそのままではなく、誇張したり、追加したりして、自分独自の話に昇華して作り上げるということを励行しているそうです。そして、笑いの雰囲気を高めてから、笑いのとれるような明るい口調で、時には、その対比的に思い話し方で淡々と、おかしなことを話して、その落差からも笑いをそそるようにするそうです。
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私達も、平素から話材集めをすることが、人受けのする話し方の第一歩であると考えます。私の場合は、自分の話材となるようなことを、ブログに書くようにします。それにより、実際に講演などで、それを話す時の骨格がブログとしてできていますので、その話材をどの切り口から話しても、まとまりある話になります。
問題は、どの様なタイミングやテーマの時に、何を話材として選ぶか、その選定が重要です。いうまでもなく、聞き手の興味をひく話題を、テーマに合わせて選ぶ力が必要です。
事実を伝えたり、情報を提供するような場合には、ウラのとれた事実をもとに伝えることが基本です。自分の考えや伝聞を伝える場合には、「これは私の考えですが・・・」とか「○○教授の話に寄りますと・・・」というように出典や事実性のレベルが相手に伝わるようにします。この時に、自分の言っていることは価値があるものであるというような押しつけ的な話し方や、話した内容をむりやり相手に認めさせようとしますと、逆効果になってしまうことがあります。
そのようなときに相手に理解や納得をしていただきたい時には、むしろ、クールに淡々と話し、重要と考えていること、強調したい点は、言葉や表現を変えて、同じ内容を繰り返すようにしています。また、「淡々と」とは真逆になるかも知れませんが、「この部分は、私が強調したいことであり、本日は、是非、これだけは記憶してお帰り下さい」と熱弁を振るっても良いでしょう。
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私は、『口癖言葉』というのを持っていることを別項で既述していますが、例えば「あたり前のことがあたり前にできる企業創り」ということの一環で「この場合の『あたり前』はなんでしょうか」というように『あたり前』と言う言葉を、機会あるごとに使うようにしています。
あるいは、自己紹介をするようなタイミングで、「私は『コンサルタントのためのコンサルタント』と、周囲の人からよく言われます」などと、自慢話風にならないように、さらりと挿入します。このような自慢話的な事項というのはマイナス効果に繋がってしまうことが多いですので、印象づけようと力が入った形で使ってしまいますと失敗に繋がる懸念がありますので注意が必要です。
このように自分を端的に表現する『スローガン的な表現』を複数持っていることも重要です。