渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

ナイフ用手入れ油 ~ヤマハ・バルブオイル・ビンテージ~

2017年07月25日 | open



私は日本刀も和式小刀も洋式ナイフも、手入れはこのヤマハ・バルブ
オイルのビンテージグレードを使用している。
この100%合成油の防錆力といったら頭抜けている。

よく油のことを知らない人が、CRC5-56を日本刀にシューッとやって
いるようですが、はっきり申し上げてよした方がいいです。
理由はいろいろありますが、それは研究なさってください。
スプレータイプがお手軽だからと求めているのならば、エアガン用の
シリコンスプレーを塗布したほうがまだいい。
5-56に防錆効果を期待する方がおかしい。5-56は酸化鉄を分解して
崩落させて錆を落とすための油で、ベースオイルさえ不明の物に灯油
混ぜたような物ですから。
あれならば、普通のミシン油を日本刀に塗ったほうがまだマシです。

日本刀には旧来から丁子油等が使われてきましたが、植物油は24時間
ほどで酸化するので扱いが難しいものです。
なので、昔の刀身などは丁子油での「油焼け」を起こしたり、固まって
黄化してこびりついたりしていましたよね。
その後、昭和時代に鉱物系の刀剣用良質オイルが開発されて、それに
丁子の芳香剤を混ぜることが流行しました。
私自身は丁子油のあの鼻にツンと来るような香りは、刀身の臭い消しの
役目を持たせるための先人の工夫だと思うのですが、日本刀の刀身は
臭いがある物と無い物があるのは事実で、臭う刀身はどんなに研いでも
臭いが取れないとも言われています。
そういえば、出刃包丁などは、どう洗っても刀身の魚臭さが消えません。
これはお湯に浸けても中性洗剤で洗っても、全体を研いでも消えない。
多分、日本刀で臭いが着いている刀身も何かしらの物理的な事があって
臭いが着いているのでしょう。
数百年も臭いが消えないものかと自分でも信じがたいのですが、実際に
臭う刀と臭わない刀があることは事実ですので、何かしらの原因がある
かと思います。

実はヤマハ・バルブ・オイルは、防錆剤が添加された管楽器のバルブ
(金属可動部分)の潤滑防錆油としてヤマハが開発した物で、たぶん
音楽部門のヤマハではなくヤマハ発動機のレーシングオイル開発などの
ノウハウとジョイントしているだろうことは想像に難くありません。
楽器屋さんがオイルなんて開発できないもの(^^;
まあ、油そのものを作っているのはヤマハではなくて石油会社である油脂
メーカーなのですが。
余談になりますが、ヤマハの2ストオイルはかなり優秀で、そこらのレー
シング2ストオイルなどよりも良好だったりします。
これも、多分ですが、油脂会社との共同開発でかなりのデータをヤマハ
が提供したのではと思います。
ヤマハ2スト青缶は、東日本と西日本で別会社が製造しており、
それは日石とシェルです。

私がヤマハ・バルブオイルを日本刀に使用するにあたっては、約1年半
自分の刀剣数種で試験したところ、極めて良好な結果が出たので使用
状況の公開に踏み切りました。
私の周囲でも日本刀にヤマハ・バルブオイルを愛用している人も増えて
います。
最大のメリットは、その防錆力もさることながら、航空機の機内持ち込み
および手荷物預けがヤマハ・バルブオイルは可能であるということです。
一般の刀剣専用油は成分が公開表示されていないために一切航空機
で運搬することができません。これはANAもJALも。
一方、ヤマハ・バルブオイルはOKと認可されています。
このことはとても大きい。
そもそも、私が一般刀剣専用油の代替油を探し始めたのは、日本刀と
一緒に手荷物預けしようとした刀剣油を旅客機搭乗の際に断られた
ことによります。
日本刀自体はアルミ製のとても頑丈な専用コンテナ(銃砲類用と一緒)
で厳重に航空会社が無料で梱包してくれるのですが、刀剣油だけは
ゲートでかなり時間をかけて問い合わせ等してくれたのですが、持ち
込み不可でした。
受け付けゲートで出発までまだ時間があったので、高価な刀剣柴田の
刀剣油(刀手入れ箱に納めた分と銀座柴田で大人買いした分)を羽田
空港カウンターの宅配便に託して自宅に送付することができましたが、
もし時間がぎりぎりだったら、数万円かけて購入した柴田刀剣油をその
場で廃棄処分しなければなりませんでした。

(その時に購入していた銀座柴田の刀剣専用油。太田製。最高級の
品質の刀剣専用油で東京国立博物館でも使用されている。しかし、
航空機内には手荷物だろうと預けだろうと一切持ち込みが禁止され
ている)


航空機で刀剣手入れ用の油が運搬できるかできないかということは、
刀を武術で使われる方で北海道の方、九州・沖縄の方、四国の方、
そうした遠隔地の方々で航空機を利用される剣士にとっては死活
問題となります。
ネルに染み込ませた刀剣油も旅客機では運搬できませんので、くれ
ぐれも航空機運航関連法規に抵触しないようにご注意ください。
ヤマハ・バルブオイルであるならば、飛行機での移動の際も運搬が
OKです。

ヤマハ・バルブオイル、ビンテージグレード。
管楽器用の潤滑防錆オイルですが、刃物油としても質が最高です。
本当におすすめ。
実勢価格600円~750円程度。





※オイルの使用は自己責任でお願いします。