『ネクスト』(2007年)
ニコラス・ケイジの主演作にはあまり
外れはない。
だが、どういう訳か、変なシーンが
多い作品が目に付く。
例えば、構えた銃のハンマーがコック
されているのに、次の瞬間それがオフ
になっていたりとか。
この『ネクスト』でもそのようなミス
カットがいくつかある。
そのひとつ。
FBIが核兵器を奪取したテロリストたち
に港湾で襲撃をかける。
そのシーンで、コンテナの角で遭遇
したテロリストをFBI突撃チームが
ハチの巣にする。
だが、その時、ヌボ~ッと他人事の
ように突っ立っている人物が右端に
映り込んでいる。これは撮影スタッフ
だろうか。
一瞬のシーンだが、現実的な殺し合い
の激しい銃撃戦の中ではあり得ない
事だ。
しかもFBIの左のアタッカーの銃の
弾道線上の扇状エリア内に突っ立って
いる。
ないすね、これは、絶対に(笑)。
この場面の映像シーンは、もうシッ
チャカメッチャカの激しい近接戦闘
です。そこに棒立ちは自殺行為。
ミステイクだろうなぁ。
撮りミスの意味を含めてのミステイク。
爆発シーンも多い銃撃戦なので、撮り
直しができなかったのだろう。
たぶん、製作者はラッシュ以前の
フィルム編集の際には判っていた筈。
え~い、わかりゃしねえだろ、使っち
まえ、だろうなぁ。
撮り直し不能なので仕方なく使った
有名なミスシーンには邦画の『たそ
がれ清兵衛』がある。
城先の河原での決闘シーンで、大杉漣
さんがどでかい指輪を左手にしたまま
テイクしてしまったのだ。
山田洋二監督は編集終了後に気づいて
アガガ!と思ったのだが、出演者のスケ
ジュールがどうしても都合つかず、止む
無くそのまま映画作品にしてしまったの
だという。
そこらあたりがクロサワとは違うところ、
とか言いたいのだが、黒澤明作品でも
そのような大ミスは結構ある。
『七人の侍』でも、ワンシーンなのに
カットが変わると久蔵の刀が別な刀
になっていたりする(七郎次が百姓
たちに鬨の声の訓練をつけている
シーン)。
映画という映像作品では、たとえ大監督
という人たちでも、そのようなミスが
かなり多かったりするようだ。
スピルバーグもルーカスもやらかして
いるよ(笑)。
だが、映画やドラマはミステイクで済む
が、ドキュメンタリーなどのヤラセは
シャレにならない。
ニセモンの大嘘の兜割りとかね(笑)。
どうしてあんな出鱈目を映像に残る
形にしてしまって平然とできるのだろ
うかと思う。映像は嘘をつかない。
ヤラセがしっかり視覚的現認ができる
形で映像に残ってしまっているのに。
まあ、9.11の時のペンタゴン突入航空機
の茶番出鱈目ニセ説明も国家レベルで
あるくらいだから、兜割りの嘘つき
などはまだ可愛いもんだ。
映画ロケに出てきそうな風景だ。
農道と田畑となだらかな坂と雑木林が
2020年10月
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