以前にも触れたネタだが、世界のクロサワ
=黒澤明監督の作品について。
クロサワの作品で不朽の名作とされるのは
『七人の侍』だ。
現代人で武士と同じ装束で何かをやって
いる方々には是非一度ご覧になってもらい
たい映画作品だ。
この作があったからルーカスやスピルバーグ
が映画の道に進んだのだし、シュワルツネッ
ガーをはじめとする多くのハリウッド俳優が
役者になろうと決意した。
『七人の侍』は、野伏せりから農民を守る
七人の剣士の傭兵物語である。
その『七人の侍』の中では「薪割り流を
少々」と言ってた林田平八がなかなか味が
ある。七人の侍の旗を造ったのも彼だし、
傭兵チームのムードメーカー的な存在だっ
た。
ところで、名作映画『七人の侍』(1954年)
は世界初の傭兵映画作品なのだが、登場
する七人の傭兵はリーダー以外全員名前が
数字と関係してるというのはご存じだろう
か。
名前に数字が隠されているのは事実なの
だが、その真意の意図については詳らか
にはされていない。
これはクロサワの隠し砦に観客を招き入れ
るトラップ作戦のような気がする。
『七人の侍』は製作討議段階で、まず
勝四郎のキャラから設定された。
最初は三船敏郎がその役として想定して
脚本練りが進められたが、後に新キャラ
を三船に与えることになる。このあたり
は映画マニアは詳しいことだろう。
私は、クロサワとその一味による、キャラ
作りの際の発想の連綿性と数字の連鎖と
いう作品の作り手の手法に着目したい。
キャラクタ設定の検討段階でまず数字の
4の名前から命名したのも、当初その役
に充てようとしていた三船敏郎が3の数字
を持つ者ゆえ、そこからの展開のように
思えるのだ。
そしてその三船の役名に千を持って来たの
は千秋実(平八役)からの連綿だったりする
ことが窺える。この二人のキャラはとて
も密接な心の繋がりとして作品で描かれる。
それくらいの名前に含まれたトリックの
カラクリは、クロサワならば隠し味と
して組み込みそうだ。
平八は作品の中で、百姓出身の菊千代
(三船)を最初は一番からかっていたが、
やがて半分農民半分侍として認めて旗に
描いたのだった。
物語は、七人の傭兵の中で一番最初に
ムードメーカーだった平八が死亡する。
だが、落胆するメンバーを鼓舞して今度
はムードメーカーになったのは平八が
からかいながらも一番気にかけていた
「できそこない」の菊千代だった。
そして、菊千代が最後に死ぬ。
この人的相関性は、脚本の中で描いた
クロサワの心の絆のバトンとチームワーク
というロジックとしてのトリックだった
ろうと私は読んでいる。
<七人の侍たちの名前の数>
・島田勘兵衛・・・リーダー(数無し)
・菊千代(三船敏郎)・・・1000
・岡本勝四郎・・・4
・片山五郎兵衛・・・5
・七郎次・・・7
・林田平八(千秋実)・・・8
・久蔵・・・9