毎年、秋分の頃の三日間、福島八幡宮で放生会の奉納行事「燈籠人形」公演が行われます。最終日に観に行きました。城下町時代の旧往還、神社前の本町一帯は秋の祭りで賑わっていました。
町の消防団ポンプ庫は詰め所に。
燈籠人形は江戸時代から続くからくり人形芝居です。舞台は2階建て3層構造で、参道の傍に一週間かけて組み立てられます。舞台前のベンチと玉石垣が観客席です。石垣の上の高台は立見席。
まずは八幡宮にお参り。舞台の前を通って石段を上がった所が本殿です。
からくり芝居が開演しました。今年の演目は「玉藻之前」。能や歌舞伎でお馴染みの殺生石の話です。時は平安時代、鳥羽上皇に仕える玉藻之前が実は九尾の白狐の化身だったという物語です。上手に陰陽博士の安倍泰成が座っています。飾り人形で動きません。
左から橋が出て来て玉藻之前が踊りながら登場します。左右の子どもは後見役です。祭りの期間中、子ども達が交代で務めます。高台から人の肩越しに撮っているので、ちょっとピンボケです。
上手からも橋が出て来て合体し、玉藻之前が渡ります。からくり人形の見どころの一つです。左の橋は一旦、引っ込みます。手前の下にいるのは雑役の童子です。
玉藻之前と童子が舞いの所作をします。
下手袖に玉藻之前の侍女が現れました。
侍女も橋の上に出て来て舞います。
からくりの見せ場である衣装の早変わりです。まず童子が。
続いて侍女と玉藻之前も。童子はもう一度衣替えです。
玉藻之前は安倍泰成に見破られて狐の本性を現しています。この後、狐は逃げ去ります。残念なことに、玉藻之前の頭が白狐に変わる瞬間を見逃しました。
からくり舞台の全容です。2階には唄、三味線、太鼓、鼓などの唄・囃子方が陣取ります。生演奏です。舞台の左右は人形を横から操る横遣い。それぞれ6人で動かします。橋を渡る「送り渡し」は左右の横遣いの息の合った操作が肝心。舞台下には下遣い。6人で操作します。後見役を含めて数十人がかりの公演です。
この後、逃げ去った白狐は三浦上総之介に討ち取られます。しかし狐の怨霊は殺生石となって人々に祟ることになります。
百年も経ったころ、高僧の玄翁和尚が狐を供養し、仏の道に導こうとします。
玄翁和尚が法事を執り行うと殺生石が割れ、白狐は成仏して昇天します。
ここで終わりと思っていたら、2階の囃子方から太鼓が出て来て二つに割れ、白狐が宙を舞います。ここで狐の宙乗りが見られるとは思っていませんでした。飲酒運転防止の垂れ幕はご愛敬です。この後、2階から子ども向けの風船が投げられて舞台は終演です。
燈籠人形は国の重要無形文化財。上演時間は30分ほどですが、堪能しました。最終日の千秋楽の公演では障子などが全て開け放たれて、囃子やからくり遣いの様子を見られます。ただ帰りの時間が遅くなるので、高齢者にはちょっとしんどい。
八女の町をぶらぶらと歩いて帰ります。
時刻は8時前。最終公演を前にまだ人通りは多いです。このあたり、古民家をリノベーションして新しい商売をする例が増えました。古い街並みと伝統の祭りはいいですね。
ここは別の通り。元は造り酒屋だった建物。いまは市の観光施設になっています。
燈籠人形の説明は下記をクリックして下さい。八女市観光案内所のホームページにリンクします。PDFファイルです。
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