稽古なる人生

人生は稽古、そのひとり言的な空間

少年指導について(昭和57年10月15日)

2018年08月04日 | 長井長正範士の遺文
〇精神面の指導
1.少年剣道指導の目的
2.指導のこつ。先ずほめること。あとで一つか二つ矯正する。三つ以上は不可。
3.黙想で両手の親指を合わせる理由。神仏を拝むとき、忍術をつかうとき。
4.竹刀の大切さ、竹刀の語源、袴の折目の大切さ、道具着装の大切さ。
5.参りましたと言う語源。神仏にお参りするところからくる。稽古中の礼儀。
6.少年に対する話は、たとえばなしを引用して理解すること。

〇技術面の指導
1.全剣連の剣道理念。元太刀=打太刀=己の修業=愛。
2.形を中心として考えること。
3.初心者には足の運用に充分時間をかける。それから撃剣→剣術→剣道に導入する。
4.初心者には三つの段階がある。打つようにして打たぬ、打つようにして打つ、打たぬふりして打つ。
5.指導者の心得として
 1)なやす→相手が打とうとすると、その剣先をうんとつめる。
 2)こなす→相手の手元を強くする為、表または裏から軽く攻めて刃の鎬でこなす。
 3)ねる→うどんを作るのに粉に水を混ぜてねるように、間をおかずに打ってやり、
     相手の心と肉体の統合点をねるのである。
 4)気合とかけ声は似て非なり。気合は心身の合一したもの。かけ声は心身技の合一したもの。
 5)気剣体一致の技は、剣と体を一致さす為、気でねり作りあげたもの。
 6)掛け声の出し方。構えた時は下腹。甲手は咽喉。面は上腹(水月)。突き、胴は下腹。
  間合に入る時は中腹。吐き息、止め息、吸い息、含み息、これが心身の鍛錬につながる。
 7)一面二甲手三突四胴は、六、八、九、十の手の内で打突することを言う。
6.切返しについて。一歩十歩の語源。左腰から下がることの大切さを教えてある。
7.打込みについて。どんどん前に出て打ち込んでゆくのである。
8.体当たりについて。精神的には何者にも恐れず勇猛果敢にぶつかってゆく。
 肉体的には足腰を鍛えるのが目的である。普通は正面打込みと体当りを併用する。
9.かかり稽古について。相手から打たれたり、なやされたりすることを気にしないで、
 相手の隙をねらって、打間と機会を重点において大きなかけ声でかかるのを言う。
10.その他。注:No6.7.8.9は実地で行なう。

【粕井注記】
撃剣(原文では旧字体の略字になっています)は、ここではチャンバラの意味です。
一歩十歩の切り返しについては遺文のNo.25に詳細があります。
まだまだ先ですが、これはいずれ書きます。
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