(東京都港区麻布台2丁目4−9 商業界会館)
老舗業界雑誌「商業界」をはじめ「食品商業」「販売革新」などを発行する「商業界」(東京都港区麻布台)が、2020年4月1日に事業を停止し、事実上倒産した。
商業界ゼミナールなどでも広く知られた商業界は1948年に蜂谷経一氏、新保民八氏、倉本長治氏らが創刊した老舗業界雑誌。そのほかにも「食品商業」「販売革新」など多くの小売業界雑誌や「日本スーパー名鑑」を出版していた。
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今は無きホワード株式会社に入社して、初めて商業界という雑誌を見た。
その頃、父の粕井貫次はホワードの社長で、社長室の本棚には「商業界」と「販売革新」いう雑誌が並んでいたのだ。
当時、粕井貫次は商業界のエルダーでもあったので、雑誌には度々記事を投稿していた。
商業界ゼミナールは商業界が主催する勉強会である。
商業界ゼミナールにはホワードのお客様と一緒に何回か出席した。
冬の箱根で行われることが多く、大きなホテルを全部借り切ったセミナーは、
各講義毎に部屋が分かれた2泊3日の朝から晩までの大掛かりなものだった。
商業界ゼミナールとは、倉本長治が提唱した、
「店は客のためにある」 「損得より先に善悪を優先しよう」
というスローガンを元にした正しい商いの実践を学ぶ商人道場である。
以下、コピペになるが紹介する。
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日本の敗戦により、国土は荒廃し、街にはまだ砲火の残り火が立ち込めていた頃、若き商人たちは、国民の消費生活に欠くことのできない物資を探し求めて全国を渡り歩く日々が続いていました。「店」とは名ばかりの焼け跡に建てられた手づくりの小屋に、ようやくかき集めてきた物品を並べて、これを代価に換えることから商売が始まったのです。
「商業界」創立者である倉本長治主幹(1899-1982) 後に商業界創立者となる男、倉本長治はそういう時代から日本を駆け巡って、闇取引の根絶を叫び、今こそ商人が将来の社会的信用確保のために立つべきときだと説いて歩いていました。
雪深い北国ではゴム長靴を借りて、一軒また一軒と店主と懇談して歩いたそうです。「先の見えない暗い環境でも、(倉本)主幹の話だけには闇がなかった」と当時を知る商人は言います。
しかし、それは苦しい困難の道でした。あの当時は、各地の市役所も商工会議所も、商店の常道化などを顧みる余裕がなかったし、そういう運動のための費用も持っていませんでした。
一宿一飯だけという条件でも、今後の商人の在り方を説く会合は体よく拒否されて、倉本はさびれた乗り換えの小さな駅で空しく一夜を明かすことさえもありました。その挙句の果てはGHQによる公職追放という処分で報いられたものでしたが、それでも経営問題の遊説は禁止事項ではなかったので、倉本はその後も全国を隅々まで観察し、教導し、日本の商店の再建に努めたのでした。
その情熱に動かされた友人たちが倉本不在の中、雑誌『商業界』を発刊し、倉本の追放解除とともに一切の事業を倉本に引き渡すという友情が商業界誕生の真実です。その後も一円の蓄えもない倉本の啓蒙講演は続きました。そして、1951年2月に箱根で行われたのが『第1回商業界ゼミナール』。参加者は全国から集まった130人ほどの商人たち。今日「商業界エルダー」と呼ばれる人たちの中には、その頃の同友が多いのです。
こうして始まった商業界ゼミナールは、日本の革新的商人の歳時記的行事となり、1年のけじめの一つとなり、そしてまた毎年必ず繰り返して参加する結集点となりました。
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私は将来、ホワード株式会社を継ぐかも知れない・・という立場だったので、
父親(粕井貫次)の勧めで商業界の主催する2世後継者の交流勉強会「商業界スパークル」にも参加した。
すでに倉本長治先生はお亡くなりになり、故倉本初夫先生が主幹として執務されていた。
藪下雅治先生に出会ったのも、この商業界がきっかけだった。
(商業界スパークル20周年大会、私は最上段右から4番目に顔を覗かせている)
(一番右側でタバコをくわえているのが私、薄着で寒くてこのあと風邪をひいてしまった)
(商業会館の中で撮ったものだと思うが定かでは無い、倉本初夫先生の後ろのVサインが私)
ホワードは親戚の内紛で、父は追われ、私も閑職の身になり紆余曲折の中で独立し今に至っている。
30代から20年ぐらいかかって毎年更新し作り上げてきた「ホワード再建計画書」は紙くずとなった。
しかしながら、あの頃に学んだことは、少なからず今の自分の商売に対する考えの基礎となっている。
ここに、感謝の念を込めて、当時習った商売十訓と、新保民八の言葉を紹介しておく。
商売十訓
1.損得より先きに善悪を考えよう
利益を無視しろというのではなく、その商品やサービスがお客様の為になるのか、便利なのか、有利なのかということを優先するべきである。
2.創意を尊びつつ良いことは真似ろ
軽率に他店の真似をするのではなく、その精神や技法を取り入れて創意工夫をしていく姿勢が大切である。
3.お客に有利な商いを毎日続けよ
一人のお客様が繰り返し来店していただくことで繁盛する。その為には、お客様に有利さを提供し続けることが大切である。
4.愛と真実で適正利潤を確保せよ
お客様のことを思い、正直な商売をすることが大切であり、それを維持継続するための費用は商売そのものの中から生まれてくるものである。その為、適正な利益を得られるようにすることが大切である。安売りをする結果、商売の存続が危ぶまれるならば、それは、お客様を守る道ではない。
5.欠損は社会のためにも不全と悟れ
利益を伴わない商売は、お客様に対してより良いサービスを継続して提供できないばかりではなく、社会的貢献活動もできない
6.お互いに知恵と力を合わせて働け
一人でできないことも、店内や他店の人達と知恵を出し合い、協力し合うことで可能になることもある。経験や知恵を共有し合う姿勢が大切である。
7.店の発展を社会の幸福と信ぜよ
商売はお客様を楽しくさせ、得させることであるから、店が発展しその繰り返しがされていくことは、世の中を幸福にすることである。
8.公正で公平な社会的活動を行え
商売とは社会的活動であり、それは公生で公平なものであるべきだ。
9.文化のために経営を合理化せよ
商売を継続するには、古きを捨て、新しきを得ることである。つまり、価値の無くなった商品やサービスを捨て、新しいものを生み出すことで継続することができる。これが合理化である。そして、商売の継続は一つの文化を成していく。商人よ、あなたの文化をつくれ!
10.正しく生きる商人に誇りを持て
正しい商人は、単なる儲け主義者ではない。お客様と取引先と社員の利益を考え、社会的な責任を全うしようとする者である。誇りを持って正しき商人をめざせ。
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新保民八(商業界主筆)の言葉
正しきによりて滅ぶる店あらば、滅びてもよし、断じて滅びず
関連記事(2023年9月12日)追記
「久々にホワードの夢を見ました」
https://blog.goo.ne.jp/kendokun/d/20230912/
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