これは小説ではない、
と作者は前書きで述べている。
すべて友人等の語った事実を
原稿用紙に書き写したもので、
フィクションは混じっていないと。。。
でも、読者にしてみれば
事実かフィクションかはさしたる問題ではない。
僕にとっては、
いつもの春樹節が聴ける
優れた短編小説集だった。
楽しませてもらいましたお。。 . . . 本文を読む
新潮文庫のこの版は上演用のテキストだそうで、
やたらとト書きがうるさかった。
役者の立ち位置や照明や効果音楽まで
詳しく書いてありいささかうんざりしたが、
戯曲そのものはとても良かった。
こころがほんわかとなりました。
母:アマンダ、姉:ローラ、弟:トムの3人暮らし。
父親は16年前に蒸発したっきり。
アマンダが雑誌のセールス、トムが倉庫で働いているが、
一家の家 . . . 本文を読む
チェーホフ晩年の中・短編7編を収めたもの。
いずれも素晴らしい作品だった。
「中二階のある家」
T県のある田舎の村で
貴族の屋敷に居候している
風景画家の主人公は、
近くに住むリーダとミシュスの美人姉妹と知り合う。
姉リーダとは意見が合わず嫌われた主人公だったが、
妹ミシュスとは気持ちが通じ
ほのかな恋心を抱くが、
ある日突然ミシュスは
外国へと旅立ってしまう。
チェー . . . 本文を読む
村上春樹のTシャツコレクションのごく一部の
写真とそれにまつわるエッセイ。
まあ、毒にも薬にもならない本。
これで1,800円は高いと思うが、
写真集としてみれば仕方ないのか、、、。
Tシャツのデザインを見ているのは楽しいし、
それぞれの写真も
アスファルトの上に拡げて撮ったり、
本棚の前に掛けて撮ったりして
工夫を凝らしていて
目を楽しませてくれる。
エッセイの . . . 本文を読む
僕の心の奥底に響いた。
まったく優れた小説。
人物描写も情景描写もストーリーも
全てが完璧だ。
読めば読むほど村上春樹は素晴らしい。
大ベストセラーになったのも道理だ。
実は若い頃、この小説を読んだときには
少しもいいと思わなかった。
今にして思えば
僕の感性が未発達だったのだ。
奥手なのもたいがいだなあ。
63才になってようやく人並みになれたと感じている。 . . . 本文を読む
楽しませてもらった。
これは前作①『食堂のおばちゃん』の主人公:
二三(ふみ)の姑:一子の若い頃を綴った物語である。
東京オリンピック、ウルトラマン、
ミニスカート、大阪万博などが
背景として物語を彩り、
同時代を生きたQPは共感しきりだった。
登場人物も魅力的で
ネタバレは控えるがストーリー展開も面白く
一気に読み終えてしまった。
素敵な小説と出会えて本当に良かった。 . . . 本文を読む
東京の佃島で義母と食堂を営む一二三。
(は?なにそれ?)
「一」と書いて「にのまえ」と読む。
にのまえふみというヘンな名前のおばちゃんが主人公。
個性豊かな食堂の常連客や家族と織りなす
下町人情溢れる物語プラス美味しい料理が描かれています。
山口恵以子さんの飾らない文章がいいです。
楽しませてもらいました。
作家になる前は社員食堂のおばちゃんをしていたという山口さん。 . . . 本文を読む
妻と二人の娘と幸せに暮らしていた始(ハジメ)。
経営しているジャズバーにある日初恋の人が現れる。
煩悩について考えさせられたな。
主人公は恋を成就するために
家庭も仕事もすべて捨ててしまっていい
と思うんだよ。
僕はそんな恋とは無縁だった。
でも、性欲には随分と悩まされた。
あんなものないほうがよっぽどよかった、、、
ゲスな僕にとって、恋とは
性欲の先にあるものだっ . . . 本文を読む
またまた素晴らしい本と出合った。
名門ジャズレーベル:ブルーノート設立の裏話、
創業者精神、数多くの名盤の紹介、参加ミュージシャンの紹介、
ブルーノートが作ったジャズの歴史、
経営の危機、甦った現在のブルーノート
などが100話のコラムによってわかりやすく書かれている。
なかでも特に
ジャズを深く愛し、
ミュージシャンとファンのためだけに
一切の妥協を排除して
最先端のジ . . . 本文を読む
ジャズレーベル:ブルーノートの名盤100枚の解説書。
いい本とめぐりあえた。
執筆者が多いのにもかかわらず
ハズレがなく、
いずれも親しみやすい文章で、
おまけにジャズ愛、ブルーノート愛に溢れていて、
これも聴いてみたい、あれも聴いてみたい
という気持ちにさせられた。
ジャズファン必携の書である。 . . . 本文を読む
僕の通っていた高校は浄土真宗の学校だった。
週に一時間、現国や化学といっしょに仏教の授業があった。
1年生のときに宗教全般について、
2年生のときには仏教について、
3年生では浄土真宗の教えについて学んだ。
まだ純粋だった僕はとても影響され、
それがその後の人生を左右した。
キリスト教では「汝の敵を愛せよ」という。
浄土真宗でも「恩讐を越えて」という。
僕は社会人になって数年 . . . 本文を読む
著者の松本大輔という人はアリアCDの店主で、
クラシック関係の本を数冊書いている人だ。
本書はその大輔さんの中学一年生からの
クラシック体験を面白おかしく綴りながら、
クラシック音楽全体を俯瞰し、
有名な曲はどんな感じの曲か解説までしている、
わずか1か月前からにわかクラシックファンになった僕には
まったくうってつけの入門書だった。
ほんとにいい本と巡り会えたと
神に感謝する . . . 本文を読む
ベートーヴェンの最晩年の数か月、
シントラーという人物が秘書を務めた。
このシントラーが実に奸智に長けた人物で、
ベートーヴェンの死後、
すべて自分の都合のいいように脚色して
ベートーヴェンの伝記を書き上げ出版してしまった。
その後、あまたの伝記が出版されたが
その多くがシントラーの書いた伝記に影響されていたため、
「気難しい変人」という偏ったイメージが
ベートーヴェンに付与 . . . 本文を読む
第1部で仕掛けられた装置が
第2部で動き出した。
奥さんが失踪し、
「僕」は井戸の底に降り立った。
暗闇と静寂の中で
空腹と喉の渇きに苦しみ、
体は軋み始める。
異常な状況の中で空間に溶けていく意識。
なんで?
なんで村上春樹は主人公にそんなことさせるの?
読んでる側もつらかった。
苦悶にあえいだ。
それが加納クレタによる救出で物語が明るくなった。
彼女だっていい女じゃな . . . 本文を読む
長い小説なので第1部:泥棒かささぎ編を読み終えた時点で
一度記事をアップしておこうと思う。
力の入った長編小説だ。
村上春樹が自分の持てる力のすべてを
注ぎ込んで書いたといった印象だ。
前半はいつもの春樹ワールド。
失業中の主人公「僕」30才。
むずかしい奥さん。
奇妙な登場人物たち。
物語のアクセサリーとしての料理と音楽。
「僕」はのんびりと失業ライフを送っている。
そ . . . 本文を読む