レイモンド・カーヴァー最晩年の小説集。
7つの短編小説が収められている。
結論から言えば、
カーヴァーを初めて読むという人に
本書はすすめない。
カーヴァーらしくない
気の滅入る小説が多かった。
読みながら僕は、
カーヴァーも癌を告知され
平常心ではいられなかったのだな
と勝手に同情を寄せていたのだが、
訳者の村上春樹の解説によると、
告知後の作品は最後の『使い走り』の . . . 本文を読む
本書には村上春樹の37編の超短編小説と
それぞれに安西水丸の素敵なイラストが収録されている。
いずれも面白い作品で、僕は十分楽しませてもらった。
春樹氏は、このような小説は僕はいくらでも書ける
と言っている一方、エッセイなどでは、
自分にはたいした才能もないと書いている。
が、どうして、とめどなく溢れ出る素敵な感性の言葉の泉と、
それを統御する優れた知性を
兼ね備えていることこ . . . 本文を読む
村上春樹のこれまで未発表だった69篇の
文章を集めたものである。
内容は多岐にわたる。
受賞のあいさつ、音楽評論、CDのライナーノーツ、
作家論、本の解説、翻訳論、小説論、人物論、
なぜか未収録だった超短編小説
などである。
ファンにはこたえられない内容で、
僕も楽しませてもらった。
心に残ったのは、
中国の読者に向けたメッセージ
『遠くまで旅する部屋』の中で
こんな . . . 本文を読む
18篇のショートストーリーが収録されている。
いずれも都会的で洒脱でユーモアがあり、
初期の村上春樹のエッセンスが詰まっていると
言ってもいいだろう。
もし、普段本を読まない友人から、
「村上春樹を読みたいんだけど、
僕にも読める軽い小説を教えてもらえないか」
と尋ねられたら、
この本を紹介してあげたいと思う。 . . . 本文を読む
時代を感じさせる文章だった。
優れた小説というのは時代を越えて残ってゆくが、
たいていのエッセイは時とともに色褪せてゆく。
どうやら遠藤周作が活躍していた時代は、
自分が俗物であることを誇張して表現することを
良しとする風潮があったようだ。
本書を読んでいると親父の体臭がしてきそうで、
時々不快ですらあった。
キリスト教という僕と遠藤周作の関心事の
最大公約数を題材にしながら . . . 本文を読む
主人公:みつこは18才、両親と3人暮らし。
ある日母が亡くなり、
その半年後、父が石材店をたたみ、
近所では変人で有名なアルゼンチンババアと
同棲を始めた。
よしもとばななの日記を読んでいたら
父(吉本隆明)が珍しくこの小説を褒めてくれた、
と書いてあった。
「こういうのが小説っていうんだよなあという感じだった」
と言われたそうだ。
僕が思うに、主人公の父親に対する愛 . . . 本文を読む
レイモンド・カーヴァーの死から11年後に発見された
5つの短編小説が収められている。
どの作品も秀作だった。
現代アメリカ社会で地道にこつこつと生きている人たちの
ささやかな喜びや悲哀が
誠実な語り口で描写されている。
僕は、この中で特に
『必要になったら電話をかけて』に
心惹かれた。
お互いに浮気相手のいる、
もうどうしようもなくなった熟年夫婦の
別れを描いた作品だ。
. . . 本文を読む
午前0時近く。
大都会の盛り場にあるデニーズで若い女が一人
コーヒーを飲みながら分厚い本を読んでいる。
ふとそこに、今店に入ってきた若い男が
立ち止まり彼女に話しかける。
かなり面白かったお。
ストーリーも文章も登場人物も完璧だった。
村上春樹の円熟期の傑作である。
心温まるエンディングが素晴らしい。
200%の出来です。
村上春樹は僕にとって
憧れで、人生の師 . . . 本文を読む
女子高生のあかりはアイドル上野真幸のガチ推し。
写真、CD、DVDを集めることにとどまらず、
ライブに通い、彼に関するあらゆる情報をファイルにまとめて管理し、
推しのBLOGもつけている。
物語は、ある日真幸がファンを殴ったというスキャンダルから、
彼女の人生も狂っていく。
感想を総じていうなら、
未熟であるとしか言いようがない。
文章に説得力がなく、
読後感も感 . . . 本文を読む
毎回、天然のマルタちゃんに癒されてます。
このマンガの特色は、
ポルトガル料理の紹介はさておき、
メインは僕たちが見落としている日本文化の再発見にある。
今回出てきたのは、
秋の七草、ハゼの骨酒、松茸の土瓶蒸し、酉の市、ゆず湯、等々。
日本の良さは、
意外と外人さんのほうがよく知っているのかもしれないね。
さて、今回は第47話のナナクサ丼に挑戦してみました。
お話で . . . 本文を読む
1995年に起きた地下鉄サリン事件の被害者インタヴュー集である。
村上春樹が約一年をかけて62のインタヴューを行い、
できるだけインタヴュイーの話の内容を
忠実に再現するよう
細心の注意を払って紙面におこし、
一冊の分厚い本にまとめたものだ。
たいへんな労作だ。
実は、僕は1997年にこの本が出版されてすぐに購入していた。
のであるが、どれも似たような内容だな、と思って
途 . . . 本文を読む
聖羊祭日にドーナツを食べたがために
呪いをかけられた羊男が、
呪いを解くため穴に降り、その先で
幾多の冒険をするという絵本です。
佐々木マキの絵がハルキワールドによくマッチしていて
楽しく読むことができました。
コロナ渦のご時勢、
一服の清涼剤になりましたよ。
(まず、主人公が穴に降りて、
そこから物語が進展するという形が、
その後の小説の原型になっていて
興味深かっ . . . 本文を読む
毎回ほっこりさせられる内容です。
何というか、
マルタちゃんを見ていると
癒されて優しい気持ちになります。
紹介される料理も
作ってみたくなるものばっかりです。
その中から、QPは第31話のホットケーキに挑戦しました。
なんとこのホットケーキは炊飯器で焼くのです。
普通のホットケーキと同じ要領でタネを作り、
バターを塗ったお釜に
タネを流し込んで、スイッチON。
. . . 本文を読む
イエス受難後の原始キリスト教の歴史を、
使徒行伝、その他文献を参考にしながら、
遠藤周作がその小説家のスキルを生かして
各人物の心理になりきって分析し、
丁寧に解説したもの。
QP、使徒行伝は読んだことがあったが、
なにぶん頭がよろしいので内容は忘れていて、
いい復習になりました。
キリスト教がなぜ、世界宗教になりえたか。
遠藤周作は、つまるところ
イエスの持つXだ . . . 本文を読む
食いしん坊のマルタちゃんのマンガ。
第2巻も楽しく読みました。
今回も第1巻に負けず劣らず、
ユニークな料理がいっぱいでした。
QPはそれらの中から、
「イベリコ豚風ソテー」を作ることにしました。
これって、イベリコ豚は使わないんです。
そのかわりに、椎の実を炒って豚肉に埋め込み、
ソテーにするんです。
椎の実ってのは、どんぐりのことね。
でも、うちの近所にはどんぐりなんて落 . . . 本文を読む