車は田んぼの中を気持ちよく走った。
農家の住宅が散在する地域。見通しの悪い右カーブにさしかかった。
道路を作ったときに、住人が立ち退きに応じなかったらしい。
カーブのとこだけ道幅が少し狭くなっており、事故が多く、その為カーブミラーが立っている。
ミラー越しに黒い車が来るのがわかった。
しかも、かなり膨らんでいる。
ヤバイ。
キューピーは急ブレーキをかけた。次の瞬間、
ドッカーン
あーああ。
ベンツからサングラスをかけた若い男が外に出てきた。
「あら、みっくん。」とヒロコが言った。
「ヒロコォ!お前が他の男に会いに行くと言うから、追っかけてきたんだ。
この男がオカザキなんとかなのか?」
「ちが~う。この人はオカザキジローに会わせてくれるおじさん。
でも、この事故はみっくんが悪い。センターオーバーじゃない。」
「いやー、悪い悪い。」
「今から警察を呼びますから。」
言い出しにくかったが仕方が無い。
「いや、サツはやばい。俺、マークされてるから。
何とかこれで示談に応じてくれ。」
と人差し指を立てた。
10万円?
「お前、立て替えてくれないか?」
ヒロコはバッグから財布を取り出し、一万円札を一枚出した。
さすがベンツの方は当たり所が良かったのか、バンパーがへこんだ程度だが、
キューピーの愛車シビックはバンパーがボディにめり込み、ヘッドライトは割れ、
ボンネットも変形している。
修理費はどれだけ安く見積もっても30万円は下らない。
それを伝えると、
「じゃあ、3万で手を打って?」
とヒロコがほざく。
「3万じゃなく、30万!」と言うと、
ヒロコはみっくんに、
「あの人、変態なんだって。パン○ィ泥棒だそうよ。
洗濯物を盗んで天井裏に何百枚も隠してるんだって。
それに、さっきから私のオッパイや股間ばっかり見てるの。
ここに来る前も、私の手を握って歩くの。」
と、ささやく。
「なにい、このド変態、俺のヒロコに手出しやがったかあ?」
と本物のヤクザが凄んできた。
「わかりました、わかりました。3万円で示談に応じます。
警察にも連絡しません。すみませんでした。」
そう謝った。
これで原作料も露と消えた。
「お前、俺に3万よこせ。」
なにやら、気が変わったらしい。
「そうしないと、俺の気がおさまんないんだよ。
車ぶつけられた上にテメエのイロに手えだされたとあっちゃあ
ヤクザの面子がたたねえ。」
「今、8千円しか持ち合わせがないんですけど~。」
「みっくん、カタギの人には手を出さないって約束じゃない。」
「うっせえ、お前はすっこんでろっ!」
「この人に何かしたら、私、みっくんと別れるわよ。」
「おーお、上等じゃねーか。別れてやるよ。
そのかわり、きっちりオトシマエつけてやるからな。
お前、100万よこせ。」
どんどん値上がりするよー。
「そしたら、この女、お前にくれてやるよ。」
「あのう、貯金が20万しかないんですけどー。」
「親かダチにでも頼んでカネかき集めろよ、このド変態!」
最悪の展開!
こんな気分、小学生のときいじめにあって以来。
その時、
「あんた、どこの組よ。」
と2番がドスの効いた声で言った。
「寺下組の三宅だよ。」
「黒龍会の鷲尾竜次、知ってるわね。私の亭主なのよ。」
「ええっ?鷲尾の親分さんの姐さん!?」
鷲尾真知は、ワニ皮の分厚い財布から束になった一万円札を取り出すと、
みっくんの目の前にぶら下げて言った。
「これでベンツを直しな。そして○出さんとヒロコには今後いっさい手え出すんじゃないよ。
わかったかい?
何かあったら、黒龍会が黙っちゃいないよ。」
「へえっ、わかりました。」
農家の住宅が散在する地域。見通しの悪い右カーブにさしかかった。
道路を作ったときに、住人が立ち退きに応じなかったらしい。
カーブのとこだけ道幅が少し狭くなっており、事故が多く、その為カーブミラーが立っている。
ミラー越しに黒い車が来るのがわかった。
しかも、かなり膨らんでいる。
ヤバイ。
キューピーは急ブレーキをかけた。次の瞬間、
ドッカーン
あーああ。
ベンツからサングラスをかけた若い男が外に出てきた。
「あら、みっくん。」とヒロコが言った。
「ヒロコォ!お前が他の男に会いに行くと言うから、追っかけてきたんだ。
この男がオカザキなんとかなのか?」
「ちが~う。この人はオカザキジローに会わせてくれるおじさん。
でも、この事故はみっくんが悪い。センターオーバーじゃない。」
「いやー、悪い悪い。」
「今から警察を呼びますから。」
言い出しにくかったが仕方が無い。
「いや、サツはやばい。俺、マークされてるから。
何とかこれで示談に応じてくれ。」
と人差し指を立てた。
10万円?
「お前、立て替えてくれないか?」
ヒロコはバッグから財布を取り出し、一万円札を一枚出した。
さすがベンツの方は当たり所が良かったのか、バンパーがへこんだ程度だが、
キューピーの愛車シビックはバンパーがボディにめり込み、ヘッドライトは割れ、
ボンネットも変形している。
修理費はどれだけ安く見積もっても30万円は下らない。
それを伝えると、
「じゃあ、3万で手を打って?」
とヒロコがほざく。
「3万じゃなく、30万!」と言うと、
ヒロコはみっくんに、
「あの人、変態なんだって。パン○ィ泥棒だそうよ。
洗濯物を盗んで天井裏に何百枚も隠してるんだって。
それに、さっきから私のオッパイや股間ばっかり見てるの。
ここに来る前も、私の手を握って歩くの。」
と、ささやく。
「なにい、このド変態、俺のヒロコに手出しやがったかあ?」
と本物のヤクザが凄んできた。
「わかりました、わかりました。3万円で示談に応じます。
警察にも連絡しません。すみませんでした。」
そう謝った。
これで原作料も露と消えた。
「お前、俺に3万よこせ。」
なにやら、気が変わったらしい。
「そうしないと、俺の気がおさまんないんだよ。
車ぶつけられた上にテメエのイロに手えだされたとあっちゃあ
ヤクザの面子がたたねえ。」
「今、8千円しか持ち合わせがないんですけど~。」
「みっくん、カタギの人には手を出さないって約束じゃない。」
「うっせえ、お前はすっこんでろっ!」
「この人に何かしたら、私、みっくんと別れるわよ。」
「おーお、上等じゃねーか。別れてやるよ。
そのかわり、きっちりオトシマエつけてやるからな。
お前、100万よこせ。」
どんどん値上がりするよー。
「そしたら、この女、お前にくれてやるよ。」
「あのう、貯金が20万しかないんですけどー。」
「親かダチにでも頼んでカネかき集めろよ、このド変態!」
最悪の展開!
こんな気分、小学生のときいじめにあって以来。
その時、
「あんた、どこの組よ。」
と2番がドスの効いた声で言った。
「寺下組の三宅だよ。」
「黒龍会の鷲尾竜次、知ってるわね。私の亭主なのよ。」
「ええっ?鷲尾の親分さんの姐さん!?」
鷲尾真知は、ワニ皮の分厚い財布から束になった一万円札を取り出すと、
みっくんの目の前にぶら下げて言った。
「これでベンツを直しな。そして○出さんとヒロコには今後いっさい手え出すんじゃないよ。
わかったかい?
何かあったら、黒龍会が黙っちゃいないよ。」
「へえっ、わかりました。」
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